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お箏を弾く人のための「初めての楽典」

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お箏を弾く人が初めて「楽典」という音楽の基礎を学ぶ時の入門書です.西洋音楽の「楽典」に拠らずに、「平調子」や「雲井調子」といった五音音階の仕組みから始まります.
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2022年3月の記事一覧

§2 楽典とは              お箏を弾く人のための「初めての楽典」   

第2回 「楽典」とは この連載には「お箏を弾く人のための『初めての楽典』」というタイトルをつけましたが、それでは「楽典」とはいったい何なのでしょう。 「楽典」とは音楽を学ぶ基本の中で主に「楽譜」について勉強するものです。「楽譜」の読み方や書き方、「楽譜」からどのような情報を読み取ることができるのかを学びます。「楽典」を学ぶことによって音楽をする人たちが同じ理解のうえで話し合う、語り合うことができるようになります。 しかし、「楽典」の勉強を始めるには少なくともある程度は「

§1 五線の話              お箏を弾く人のための「初めての楽典」   

これは何でしょう。 これは楽譜です。音符をひとつ置いてみましょう。 この音は何ですか? 線の本数が多すぎてわかりませんか? 私たちは普段5本の線で記された「五線譜」の中で音楽を考えることに慣れています。しかし、音はそのような狭い範囲だけにあるわけではありません。ピアノの鍵盤は88個ありますが、その音をすべて楽譜に表すには44本の線が必要になります。そもそも44本も線があったら見ただけではすぐには読み取れません。 そこで工夫されたのが「音部記号」です。 上の楽譜に「ト音