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現実じゃない写真の世界。 【連続小説8日目】

写真が好き。
善治は写真が趣味だ。NIKONを愛用し、休日はよく写真、いわゆるスナップ写真を撮りに外出する。

特に5月から6月が好きだ。まだ暑さが本格化する前、光は強く夏の太陽になった時期が。

今日は月島に出かけた。田無から電車を乗り継ぎ、月島へ。特別、月島に撮りたいものがあったわけじゃない。ただ、古くからの友人が住んでおり、夕方からもんじゃで一杯と約束していたからだ。

駅前の喫茶店で少し休んでから撮影へ。

休日だが公園にもあまり人がいない。この辺の子は習い事が忙しいのだろうか。ずいぶん立派な公園だ。水遊びもできるようだし、もっと子供でごった返しても良さそうだけど。

日差しは素晴らしい。年間ベスト休だ。

写真の魅力とはなんだろう。善治は静寂性だと思っている。

賑やかな公園でも、商店街でも。

写真にすると音を切り抜ける。無音になる。

その瞬間だけが残る。

自転車に乗った女性。光が指す部分を通った瞬間にシャッターを切った。

マンションの横には緑が植えられている。男性が通った。トトロの森に入る瞬間のような。普通ならなんてことないシーンだけど。


写真が切り取った世界。現実とは違う物語が生まれる。

善治はそんな写真の世界が好きだった。

さて、来週はどこに行こう。

30代サラリーマン2児の子持ち。某メディアで勤続10年あまり。写真と本と日々思いついたことを書いていきます。カメラはa7iii。下手の横好き。贔屓チームはヤクルト。