最初の仲間ができました。
こんにちは。
愛知県豊川市の自家焙煎珈琲豆店「スペシャルティコーヒー蒼(そう)」です。
ハンドドリップコーヒーに特化した移動販売車から始め、現在は、2台の移動販売車でイベントやマルシェの出店を行ったり、豊川インター近くにある店舗(焙煎室)、WEBSHOPを運営しています。
今回は初めてのスタッフ、最初の仲間、「みっちー」について綴ります。
きっかけは「ふらっと来ました。」
2014年春。このころは、移動販売車での営業は週6。金曜日は焙煎室をオープン。その合間を縫って焙煎と、売上は全然なかったですが、多忙を極めていました。
今思うと考えられないくらい目まぐるしい日々・・・。
そろそろ忙しいイベント出店時だけでも、誰かに手伝ってほしいなーと考えていた時でした。
5月のGWが明けた最初の土日。
とても良い季節の時期で、アグリステーションでコーヒーを淹れていました。
同じ日、別の場所で「森道市場」という人気のフェスイベントが大盛り上がりをしていました。
県下の人気のキッチンカーやイベント出店者はこぞって森道市場へ出店。
SNSをひらけば「森道へ行った!」「森道楽しい!」「森道出店中です!」など投稿が多くあふれており、なんだか羨ましいな、
取り残されてる感じするなと、ちょっと寂しい気持ちになってました。
そんな時、コーヒーをオーダーしてくれた夫妻が現れました。
それが、「みっちー」との出会いです。
「森道行ったんですけどね、蒼さんのコーヒーがずっと気になってて、
森道は切り上げてアグリステーションまで飲みに来ちゃいました」(みっちー)
森道市場というイベントの会場とアグリステーションなぐらは同じ愛知県内なのですが80キロくらい離れてるんです。ちょっと近所だからコーヒー飲み行こ、の距離じゃないわけです。
え、どうして?ウチの事、気にになってくれたんだ。人気のイベントより、ウチのコーヒー選んできてくれたんだ。わざわざ設楽まで。なんてやつだ!(僕の心の声)
実はみっちー、今では豊川市の国府エリアで超人気カレー店「cojigoro(コジゴロ)」の店主です。
将来は自分のお店を持ちたい、その中でも一つ、キチンとしたコンセプトとか、軸になるものをもちたくて、コーヒーの勉強を出来たらいいなと思っていた様なのです。
突然の事でしたので、その日は少しの会話でおわり、「またどっかの出店先に遊びに来てね」と別れました。そして翌日、別の出店先にも遊びに来ました。
二日連続でみっちーは僕の前に現れ、その時に、ゆっくり彼の話を聞きました。
今の仕事がつらくてやめたいこと。
仕事にキリをつけて、自分のお店をいつか持ちたいとぼんやり考えていること。
コレという自信を持てるものがなく、まずはコーヒーを勉強したいということ。
でも夢はまだ漠然としてて、この先の人生が不安なこと。
だからまずは最初の一歩を踏み出してみたこと。
彼の話の内容には、
立派な夢と計算つくされた計画があった訳ではありません。
潤沢な準備金や資金調達の目途があるわけでもありません。
あるのは漠然とした不安。
自分らしく生きたいなー。でもどうやって生きていこうかな。だけど何か一歩をふださなくては。
そんな気持ちを感じた私は、かつての自分と重ねていました。
自分自身、まだまだ成長段階で、本当にこれから自分の生きる道を作り上げていく最中でしたが、彼に言ってあげたくなったのです。
この先の人生が不安でも、きっとどうにかなるよ。
前みて生きてりゃ自分の居場所はどこかに作れるよ。
それは自分に対しても言い聞かせたい一言で、
そんな風な答えを僕自身も模索している真っ最中で、
一人じゃ無理だけど、仲間がいればできることもあるかもなと、新しい一歩を踏み切った瞬間でもありました。そうして、当店の最初のスタッフ「みっちー」は蒼の一員となりました。
2014年のFacebook記事
みっちーと一緒に焙煎室の棚をDIYしたり、焙煎を手伝ってもらったり。
今までは全部一人だったけれど、一緒にやること、
教えてあげることで自分自身も情報が整理され、スキルアップになることをしりました。
このころみっちーとの関係は、
「教える」相手というより「ともに学ぶ」仲間という感じでした。
出店から帰ってくると、その日の現場で起きたことを、長時間二人で話し合い、
どうしたら良かったかとか、次はこうしようとか、去年の今頃はどんな売り上げだっかのか?とか昔の資料見返し始めたり、雨が降ったらどうだとか、風が吹いたらこうしようとか、何時くらいにはこういう対応がいいとか、どのBGMがこの現場には合うのかとか、毎日のように延々と遅くまでしゃべっては解散。
少しずつ、整理しながら、
僕たち蒼はこういうお店です。
というお店の人格みたいなものをつくっていったのだと思います。
みっちーとのその時間は教育でもなんでもないけど、今思えば、お互いにとっての学びの時間だったのだと思います。
5年後に。
みっちーが入ってきてもう一つの大きな変化。半年後に車を1台増やし、移動販売車が2台になりました。
蒼の車は移動販売車としては非常に小さく、以前の記事に上げたように提供能力もそんな高くないのです。色んな大きなイベントに出る機会もふえ、その場の売上をしっかりあげるには、もっと大きな車にグレードUPするべきというのが、普通の「キッチンカー屋」さんの考え方です。
この時、いろいろ考えました。
「うちは全く同じ車をもう一台作ろう。」
売上単価を上げるのではなく、
売上頻度を上げる。
2箇所で売り上げる。
2箇所で知ってもらう。
2箇所でお客様と出会う。
当時大きなイベントは愛知県に一杯ありましたし、キッチンカーはまだ少なかった時代。
当面の売上UPと効率を考えれば、当然大きなキッチンカーで色んなものを売ったりして一回の売上単価を上げたほうが効率が良いのです。
大きな売り上げではなく、
「出店頻度、出店機会、変わらぬサービス」
この為に全く同じ車を買い、全く同じ改造をしました。
それから、僕は僕の出店場所へ。みっちーはみっちーの出店場所へ。
2台移動販売車を駆使しながらあらゆるところでハンドドリップを提供していました。
みっちーとの仕事の仕方が見えてきて、2台体制で頑張る道筋が見えてきたころ、
やはり彼の夢を実現させてあげなくてはと思っていました。だから、漠然とした目標をもう少し明確な目標にしてあげるべきだなと考えました。
「5年後に卒業だ!そして自分のお店をやろう!」
そう彼に伝えました。
初めてできたスタッフで、車も2台になって、さぁこれからというとき。
出来ればこのままずっといてほしい。これからずっと時間をかけて蒼を大きくしていってほしい。本心はそう思っていました。
初めてできたガールフレンドと付き合いたての時期に、
1年後には別れよう!というような気分・・・!
でも漠然とした目標をきちんと形にすること、それは自分自身も挑戦していることだし、彼自身にも実現してほしいとそう思っていたこと。
折角成長したスタッフが抜けてしまうのは、一次的にはピンチだけど、そうやって切磋琢磨したことがきっと僕自身の成長にもつながるはずだと、そう信じることにしたのです。
自分でやってみる。
僕の中の思いとしてあるのが、一緒に手取り足取り教えても大事だが「1人でやってみること、挑戦してみること」こそが経験につながると思っています。
みっちーが初めてアグリステーションで1人で出店したときのこと。
この日は平日かつ雨の日。ほとんどお客様もいなく、散々な売り上げで泣きそうになりながら焙煎室に帰ってきた。
「今日散々だったんです。けれど、雨の中お客様が震えながらコーヒーをオーダーしてくれれてありがとうと言ってくれた言葉に、すごく救われたんです。この1杯は絶対忘れないって思いました」と。
僕は「そうそう!イベントでいっぱいコーヒーが売れて良かったねよりも、その1杯は忘れないという気持ちが大事なんだよね。そっちの方が記憶に残っているんだよ」と伝えた。
移動販売は一人で準備をして、一人でお客さまと向き合って、
急に突風が吹いたり、思いもよらないハプニングが起きたり、
現場で起きる全てをその時その時の状況判断で対応する。
そういう力が求められます。
1人で全てをやることで、いろんなことが見えてくるし糧にもなる。それらが磨かれて経験として重なっていく。
そこからみっちーは移動販売の回数を重ねていき、1年後の2015年春くらいからはバリバリと働いていて、アグリステーションの担当=みっちーになった。
みっちーが働き始めて2年くらい経った時。豊橋市にある工具専門店のファクトリーギアさんから「飲食許可をとったカフェスペースがあるけど、蒼さんで使ってよ」という話をいただきました。
当時みっちーは賄いで僕たちにカレーを作っていましたが、一般のお客様に提供するなんてまだまだこれからって時。計画すらもしていない頃でした。
よし、これをみっちー企画にして、カレーを提供しちゃおう!と話をしたのがきっかけで、コーヒーとカレーを提供することになった。
自分が全部の責任を負って企画をやってみる。
告知や集客や仕込みから現場での販売、収支の計算。
そうして毎月みっちーはカレーとコーヒーのイベント企画をファクトリーギアさんと一緒にやっていくことになった。
そして5年後に卒業ね。と約束し、
蒼に入ってからぴったり5年後。
みっちーはスパイスカレーとコーヒーの店
「コジゴロ」はオープンしました。
スパイスカレーとコーヒーのお店
「コジゴロ」
愛知県豊川市八幡町28-17
11:00-19:00
定休:水・木
テイクアウト可
https://www.instagram.com/cojigoro_spicecurry/?hl=ja
そして、次のスタッフで入ったのがまみちゃん。
話は戻りますが、2014年ころの真冬。
移動販売車を使い金曜日のみ焙煎室の前で細々とオープンしていました。
毎週のようにある女の子がやってきて、ココアを1杯飲んで帰っていった。「コーヒーはのまない?不思議な子が来るな」と。
「コーヒー屋さんで働きたい」と相談を受け、働きたいって思うところに行ったらいいんじゃないとアドバイスをしたら「ここで働きたいです!」と連絡が。
そしてみっちーとまみちゃん、僕の3人で移動販売車で各地を巡るようになった。
当時のまみちゃんはお店を持ちたい!とか
みっちーさんほどの覚悟はないというような感じでしたが、
「自分らしく生きる術を見つけたい」
今思えばそう悩める若者の一人だったのだと思います。
まみちゃんは、土日の大きなイベントに手伝ってもらったりと経験を積み、その後、豊橋市にある中央図書館を任せたりと、色んなイベントに出店し、お客さんからも「まみちゃん!」と呼ばれるようになった。
その後まみちゃんも独立し、
自分らしく、無理のないスタイルで、
今は豊橋水上ビルで楽しそうにコーヒースタンドを営んでいます。
「mumei coffee stand」
愛知県豊橋市駅前大通3丁目118
11:00-18:00
水曜定休
スタッフの育成をめちゃくちゃ頑張った、というわけでもないのですが、
自分も思ってた、「こんな自分でもやれることがある」を
スタッフには伝えてきたと思います。
開業はゴールじゃない。スタートにすぎないから、未熟な自分でもいいからやってみようと。
それは僕自身に対してのメッセージでもありますね。彼らとともに今後も成長し続けていけたらと思います。
次回へ続く
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スペシャルティコーヒー蒼
住所 〒442-0005 愛知県豊川市本野ケ原1-35
TEL 0533-74-3194
営業時間 11:00-18:00
営業日 毎週水~土曜日
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