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ヒーローになりたかった少年の唄2021㉙

金は天下の回りもの

「金(かね)は天下の回りもの」というコトワザを聞いて、「その通り!」と思う人は、とても性格のいい人だろうけど、きっとあまりお金を持っていない人だろう。

現在、お金は天下だけではなく、天上の回りものにさえなっていない。

せめて、天上で回ってさえいてくれたら、安倍政権の言ったトリクルダウンで、少しは下々の生活も潤うはずだが、今の世の中は天上の人たちが金や物の流れをSTOPさせて、一日でも多く出し惜しみをすればその分利益が出るという、消費者にとっては非常にマズイ状況になっている。

インフレ、更にはスタグフレーションと言われる状況だ。

人々の給料は上がらず、物価だけが上昇する状況というのは、一般大衆にとっては目の当てられない惨事だが、実は天上の人たちにとってはオイシイ状況でもある。

もちろん、動きを間違って多大なアオリを喰う金持ちたちもたくさんいるが、そういうのはいわゆる「成金」であって、本当の上流階層の人たちにとってスタグフレーションは、自分たちのロビー活動の成果であり、いくらでも実のなる木やフリーエネルギーを手に入れたようなものなのだ。

異常な物価上昇が起こると、例えば10億円の物資の価値が、次の週には11億円、また次の週には12億円というようにドンドン上がる。

金持ちたちは大量に物資を買って、それを倉庫にしまったままなかなか売らない。

腐ったりして価値の減るものでない限り、なるべく物価上昇の天井付近で売った方が儲かるからだ。

工場では大量の物資が生産されて、売り上げは上がっているのに、市場には物資が出回らないという現象が起こる。

しかし人々は必要な物資を求めるので、それがどんなに品薄でもなんとか手に入れるしかない。
そこで、仕方なくプレミアムな値段のついた物資を買うはめになる。

これは大手電機メーカーに勤める身内から聞いた話だが、半導体を求める下請け会社から普段の5倍くらいの値段でも手に入らないと、相談を受けているという。

3万円の半導体が30万円でも、1000万円の機械が出来なければ一銭にもならないのでとにかく高くても探してくれと要請されているらしい。

こんなふうにして更に物価上昇が加速するという具合だ。

一般従業員の給料が売上と同じ比率で上がってくれていれば、物の値段が上がることにそんなに怯えることはない。

しかしほとんどの大手企業は、売上を社員の給料アップには回さず、株主配当と内部留保に宛ててしまう。

いつどんな時代が来るかもわからないのに、社員の給料なんていう、どうでもいい所にお金が使えるか!
税金のかからない海外の島にでも貯めておけ!!という声が聞こえる。

大企業にとっては株主さえ潤って、儲かったからいくらでも投資してやるという状況があれば、社員なんてもんはその辺からいくらでも湧いて出てくるのだ。

一度こういう感じの状態に陥ると、国の政治を動かすほど力を持ったグローバルな富豪たちはその居心地の良さに満足して「この状況を変えようとするやつは俺たちの敵だ」と思うようになる。

大衆が大きな運動でもしてひっくり返さないと、なかなかこういう時代を動かすのは難しい。

しかし、昔のような社会運動をやったとしても、そのうち運動家の中に奴らの手先が紛れ込んで、内部で派閥をつくり、その派閥同士が争いをはじめて、もともとの運動はどこかにいってしまい、二派の骨肉の争いになる。そのうち支持者たちはそんな幹部の言動を見てやる気を全くなくし、活動は尻つぼみになる。
最近の社会派の活動はほとんどそうやって封じ込められてきた。

※写真はイメージです

現行のマネーゲームをリセットするには、単に闇雲な社会運動ではなく、社会運動と連動した何か大きなきっかけが必要だ。

そういう意味で「デジタル通貨化」というのは、今までの「お金」に対する価値観を一新するチャンスになりうるだけのインパクトがあると思う。

国の紙幣が変わるとか、株取引の法律が変わるとかいうくらいのことでは、なかなか根本的な価値の見直しにはなり得ない。

しかし、世界が同時にデジタル通貨に移行するという歴史的イベントであれば、これを機会に「お金」というものの本質をもう一度理解しなおそうという動きが至る所で出てきても、誰も止められないだろう。

例えばある一定の大金を資産として持つ場合、ずっと使わないでいると少しずつ減っていくようなシステムを新しく作れば、こういった内部留保でトリクルダウンがいつまで経っても起きない問題も解決するかもしれない。

デジタル通貨であればちょっとした作業でそのくらいのことは可能である。

一般大衆向けには、お金に困った友達にデジタルマネーを援助してやると税金が免除されるシステムなんかも面白いかもしれない。

専門家からみたらアホかと言われるアイディアかもしれないが、なにがしかそういったアイディアを専門家が出し合って、この「デジタル通貨化」を「お金」の本質を見直す未曾有のチャンスにして欲しい。

とにかく、まずお金を天上で回してくれない限りは天下の人たちには回すお金などないのだ。

そこだけはとにかく強制して欲しい。

天下の人たちの中には、法律などなくてもお金がありさえすればしっかりと周りに回していけるだけの精神性を持った優しい人がたくさんいる。
一部の変態や守銭奴以外はとても平和的ないい人たちなのだ。

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