けっこんしたい、


とおもうひとがいる

けっこんするのかもな、ともおもう


たとえば、そのひとは、初めて会ったときからかんがえていることが手にとるようにわかった

(わたしははなしやすいとよくいわれるけれど、ほとんどの場合、相手のきもちの流れがほとんどわかっていないで、わらってごまかしているだけだ)

さいきん本をよんでいると何度かめにした、”夫とは会ったときから兄妹のようなかんじだった”、というのもぴったりあてはまっている


なによりも明瞭にいままでとちがうのは、かけひきのない恋だということ


昔、好きになったひとに好いてもらえるのがふつうだとおもってしまうほど恋がうまくいっていたころも、”両想い”になるためにきをひこうとしたりかわいいそぶりをしてみたりバレンタインをつくったり、それなりの「かけひき」をしていた

大学にはいって、ちょっとすきかもっておもったひとにも めっちゃすきだなっておもってたひとにも、片方は伝わって もう片方はそうでなかったけど、やはり「かけひき」をしていた

今回は、ちがう 初めはとにかくともだちのようにだいすきになり、一生このひととは仲がいいんだろうなあ、とおもっていた

なんとなく、loveというよりlike専門、みたいなひとだから、親しくなってきても、いいおにいちゃん、っておもっていた

いまかんがえると、酔っているときにひざにのっかってくるのなんて女ではじぶんだけだったし、なんとなくの流れで酔ってへやにはいってくるようになったときには(シェアメイトなのでおなじいえに住んでいる)、さすがに意識しはじめていた、でも、酔っているから、を理由にしんじられずにいた


仲のよさが度を超えたのは、ふたりとも酔っていたときで、案の定いつもどおり

おれなんて死んでもいいよね、いなくなってもだれも悲しまないよね

っていいながらへやにはいってきて、んなことないよ っていいながらかわいいなっておもっていたところで、

あっちが、扉をしめた

そういうことになってもいいってことだよね、って心でたずねて、もうこっちはとっくにキスしたいきもちでいっぱいだったので、クローゼットのまえでならんで座って抱きしめて、撫でながら耳からくちに控えめにキスした

拒まれないかびくびくしていたけれどそのようすはなかった お酒のせいもあってあんまりじぶんがコントロールできなくて、つい わたしはだいすきだよ ともいってしまった

そのときの表情がくらくてみえなかったのが心残りだけれど、これも拒まれたわけではなかったらしい




はたしてこれがのちに馴れ初めになるのかはわからない

しかし目のまえでスマホいじってるこのひとがいまはとにかく愛しい なるようになればいい、とおもっている、平成最後の夏




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