夢の端22

老朽化した集合住宅に関するニュースがテレビで流れる。
その建物の一階に設置され地域の名所となっていた共同浴場が、近々無くなるそうだ。
その目的は不明だが、僕たちはそこを実際に訪れてみることになった。
春、快晴の日、青空が眩しいくらい。
進行方向右側に5階建ての老朽化したマンション。
壁はところどころ蔦に覆われており、ベランダからちょっとした灌木が生えている。
住居部分はもう随分前から廃墟化しているのだろう。
一階、正面向かって一番左側が例の共同浴場になっている。
そこに向かって歩いて行くと、マンション前のスペース(そこもまばらに草木が茂っている)に車が何台か乗り捨てられている。
一番手前にある黒いセダンはまだ新しそうだ。
中を覗き込むと、そこには40代位の男女の姿があった。
二人は後部シートに重なるように座っている。
ふたりとも首をうなだれ、顔は見えない(それでも雰囲気からなんとなくその年齢は察しが付く)。
眠っているのか、まさか心中でもして……。
僕は見て見ないふりをして、その場を離れる。
ところで、このフィールドワーク?には、男女二人(30代くらい)の同行者がいる(この瞬間にそれを思い出す)。
この二人も、車内の二人に気づく。
その時、車内の二人が同時に目を覚まし、体をゆっくり起こす。
僕は安堵する。
結局、共同浴場場をろくに視察しないまま僕たちはその場を立ち去る。

かなり大きな国道を歩いて東へ進む。
国道脇には、どちら側にもフランチャイズの飲食店ばかりが立ち並ぶ。
「どこもかしこも同じようなチェーン店で全然面白くない」
「せっかく出掛けたんだから入ってみようかな、と思えるお店がない」
僕は愚痴をこぼす。
その時、同行していた男性から「それは好みの問題ですよ。そういう店のほうが良かった、と思う人も少なくないでしょう」と諌められる。
更に歩みを進めると、国道の南側に南国風木造建物のカフェレストランが見える。
僕たちはその店に入る。

入口の扉を開ける。
蜘蛛の巣が掛かっている。
僕は店内の観葉植の緑色した枝を折り、その枝でその巣を絡め取る。
いつの間にか僕は、その店でアルバイトをしていることになっている。
店には二人の先輩(男女)がいる。

男の方は嫌なヤツで、僕に嫌味を言ってくる。
しかし、そいつはどうやら店長から怒られてるようだ。
ざまあみろ、と僕は溜飲を下げる。

突然キリキリと腹痛が襲う。
僕は店を飛び出し路上に嘔吐する。
膵炎だろうか。
検査をすることになる。
早回しのように時は進み、検査結果が出る。
弁護士相談が必要との回答が届く。

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