ねろ

全てがまやかし。

ねろ

全てがまやかし。

最近の記事

寒夜の習作

ヨルなんて名付けたばかりに亡くしてもなお夜を打つその鈴の音や フリースペース(居場所)などいらなぬそんな洒落たもの 公民館の余白を返せ

    • 晩夏の習作

      右折車の注意深さでこの夜を 視認するのは死人の僕か 干からびた紙おしぼりを取り出した その手に知った この世の重さ 送料無料の数合わせみたいに 僕をカートにクリックしてよ

      • 影売り(再)

        僕が出合った3匹の黒猫たちは、とても気まぐれ。 垣根の下をひょいひょいとくぐったり、    昼寝に最適な柔らかな膝の上(しかも小皿1杯分のミルクつきだよ)を提供してくれる女性宅にそろりと上がりこんだりする身軽さで、 時間だとか空間だとかを自由に往来しているんだ。     でも、余りにも頻繁に時と世界を飛び越え続けたものだから、 過去に居るんだか未来に居るんだか、ここに居るんだかリスボンに居るんだか、 自分でも訳がわからなくなってしまっている。 だから、僕には3匹のように見えた

        • +2

          パンダ食堂

          夢の端23

          夕暮れ時だった。 街の情景は薄暗くなってきている。 僕は自転車に乗っている。 坂道を降りていく。 ここは狭山市駅西口の坂の街みたいだ。 懐かしい。 なぜここにいるんだろう。 ひたすら坂道を降りていく。 坂道の終わりでは、道路工事用の特殊車両2台が互いにぶつかりながら作業をしている。 僕はこれ以上先に進めない。 いつの間にか自転車からおりている。 住宅街の外れの池の畔にいるようだ。 釣りをしている。 辺りは随分暗くなってきているのに、僕はインストラクターから投げ方を指導されて

          夢の端23

          じゃあ

          書くよ。

          本当は

          本当はaiだろう? じゃないなら 鉛の言葉で返書してよ

          本当は

          夢の源泉さえも枯れ果てた。 時間は僅かなたわみも有さない。 緊張感を覚える余裕すらなく、ただ鉄の棒になり無自覚なまま世界に違和を与え続ける。 みんな去った。 ばかみたいな青空が金属音を煌めかせると、実物の僕よりよほどリアルな僕の影だけが先をゆく。

          夢の源泉さえも枯れ果てた。 時間は僅かなたわみも有さない。 緊張感を覚える余裕すらなく、ただ鉄の棒になり無自覚なまま世界に違和を与え続ける。 みんな去った。 ばかみたいな青空が金属音を煌めかせると、実物の僕よりよほどリアルな僕の影だけが先をゆく。

          夢の端22

          老朽化した集合住宅に関するニュースがテレビで流れる。 その建物の一階に設置され地域の名所となっていた共同浴場が、近々無くなるそうだ。 その目的は不明だが、僕たちはそこを実際に訪れてみることになった。 春、快晴の日、青空が眩しいくらい。 進行方向右側に5階建ての老朽化したマンション。 壁はところどころ蔦に覆われており、ベランダからちょっとした灌木が生えている。 住居部分はもう随分前から廃墟化しているのだろう。 一階、正面向かって一番左側が例の共同浴場になっている。 そこに向かっ

          夢の端22

          原付で転倒した話①🛵

          神戸の街全体を真っ白に塗り込めるほどの積雪は、20数年ぶりだったらしい。 らしい、と言うのは、僕がこの街で働き出してからまだ15年しかたっていないからで、白銀に覆われた港湾都市の記憶など当然僕にはなかった。 機械的な陰影も不揃いな色彩も、一夜にしてすべて白が消し去っていく。 そのギャップを考えると、都市の降雪は、それだけで十分ドラマチックな存在なのだと思う。 まぁ、このエピソードに雪は直接関係しないのだけれど、イントロダクションを多少でも盛り上げたくて、無駄話をしてみた次第。

          原付で転倒した話①🛵

          夢の端21

          イタリアの地方都市。 急峻な山を見上げている。 標高は数百メートルくらいだろうか。鮮やかに晴れ渡った空。 山腹の岩肌から幾重もの地層がのぞいている。 僕はこの山を登っている。 あっという間に頂上まで進む。 頂上は、テーブルマウンテンのようになっており、意外にも平らな土地が広がっている。 そこに一人の男性がすっと現れる。 30代後半だろうか。 長い黒髪、イタリア人だろうか。 「不思議な場所ですね」と声をかけてみる。 「そうでしょう。こうして頂上に街が広がってるからそう思ったの

          夢の端21

          そんなん言わはんねや

          じゃぁ何書いたらいいか教えてよ

          そんなん言わはんねや

          夢の端20

          アニメーションの世界にいた。 500平方メートルほどの大きな池を南に望む高台に立っている。 抜けるような青空、池の面も空を映し青く輝く。 風は吹かず、水面はまさに水鏡。 池の畔には木製の柵が廻り、その柵の近くには制服姿の中学生たち。 一クラス分の人数が集まっている。 僕は、彼らに自分の存在を気づかせねばならない。 大きな声で叫ぶ。 しかし、全く反応はない。 意を決し、高台から水面に向けダイブする。 水面すれすれのところで両手を広げると、僕は浮力を得ることに成功する。 グライダ

          夢の端20

          あの夜の習作

          酔いしれの孤独を一つ携えて 海橋をゆくあの夜の影 十字架の飛行機雲にかかる月 祈りを捧ぐ夜を清めて 例えばで始まる言葉のなれ果ては 例えようすらできぬたわ言 どこからが夜か決めよう 西の空グラデーションをなぞる示指  

          あの夜の習作

          夢の端19

          淡い光の空間、白っぽい部屋(広大な住居のような建物の2階らしい)。 水の流れる音が途切れなく聞こえてくる。 居室内には白い螺旋階段がある。 その階段を下りると、開けた空間が広がっている(100㎡ほどだろうか)。 いつの間にか自分の傍らにパートナーがいる(いつのパートナーかはわからない)。 この広い空間の端に、別の空間につながる細い通路がある。 二人はそこに入り、次の目的地に向かおうとしている。 その通路は、薄暗く、視界も非常に悪い。 その時、女性の声が聞こえてくる。 とても

          夢の端19

          うそつき

          遥か遠い海原の低気圧が、上昇気流に乗せ浚ってきた低層雲。 潮の香りをたっぷり含み、自転と同調する速度でこんな内地の街さえ飲み込んでいく。 空はとっくに行方不明で、重たい夜気が実在と不在の境を隠す。 白木蓮は、風も無いのに震え、静謐な言葉で闇に話しかけている。 あの夜と何もかも一緒だ。 苦しくて窒息してしまいそうな夜を繰り返していた。 あの夜、一番の高みから僕の世界を嘲り笑う偽ものの月に腹を立てた僕は、そいつを手鏡の中に映し、捉え、地中深く埋めてやった。 -本物の月は相棒の黒猫

          うそつき