夢の端19
淡い光の空間、白っぽい部屋(広大な住居のような建物の2階らしい)。
水の流れる音が途切れなく聞こえてくる。
居室内には白い螺旋階段がある。
その階段を下りると、開けた空間が広がっている(100㎡ほどだろうか)。
いつの間にか自分の傍らにパートナーがいる(いつのパートナーかはわからない)。
この広い空間の端に、別の空間につながる細い通路がある。
二人はそこに入り、次の目的地に向かおうとしている。
その通路は、薄暗く、視界も非常に悪い。
その時、女性の声が聞こえてくる。
とても落ち着いた大人のトーン。
あれ・・この声・・母親の声に似てるいるな・・。
「誰かの声に似てるよね?」僕は隣にいるはずのパートナーに声をかける。
返事はない。
視界はますます暗くなる。
ほぼ何も見えない。
「お母さん、神社に全部寄付しちゃったよ。」
嬉しそうに話す声。
やはり、この声の正体は僕の母なのだろうか。
「えーいくら?」
僕はその声に語り返す。
「数百万円くらいかな。」
あっけらかんと声が応える。
それじゃ、借金を重ね母を苦しめた父と何も変わらないじゃん・・、と僕はすごく悲しい気持ちになる。
半年前、母に60万円貸したけど、結局その神社の寄付に回されたんだろうな‥。
この暗がりの通路には、時折赤い光のシグナルが浮かび上がる。
通路は階段につながっており、その階段を昇って行く。
地上に出たようだ。
恐らく薄暮の時間。
5、6人の子どもたちが駆け回る小さな人工的な公園。
みな私服姿で、年齢はバラバラ。
小学校低学年から中学1年生くらいまで。
男女はほぼ半々。
ここも奇妙に白っぽい空間。
遊具も地面のコンクリートも、公園内の建物もみな白い。
ここは施設関連の場所だろうか。
子どもたちはみな親がいないらしい。
何らかの支援が必要なのだろう。
一人、10歳くらいの女の子がいる。
白いロングのワンピースを着ている。
男の子なのかもしれない。
この子はベンチに腰掛ける僕にの横に来て、くるっと猫みたいに丸まってる。
僕も一緒に横になり肩を抱く。
パートナーに、この子と僕らが特別養子縁組を結べないか打診しようと僕は考えている。
施設の入り口前には階段がある。
その階段を昇り、扉を開け中に入る。
古い病院の外来のような空間。
壁の一部が隠し扉になっている。
その扉を押すと、地下への階段が現れる。
一人ぎりぎり通れる幅の階段を、ゆっくり降っていく。
15段ほどで、とても広く開放的な部屋に着く。
地下のはずなのに、室内は意外なほど明るい(十分な採光)。
派手すぎないシャンデリア、白を基調としたシンプルな家具類。
白ソファに一人の中年女性が腰掛けている。
明らかに高級な服を身に纏っている。
彼女は、子どもの養子縁組にかかる違法なビジネスををしていて、子供を求める資産家から高額な報酬を得ているらしい。
あくまでも闇ビジネスであるため、こうして地下に身を潜めているのだ。
階段の入り口に扉が設置されているの。
その扉は、すりガラスがはめられており、階段の向こうがかすかに見える。
ガラス越しに、先程の子どもたちがここまで降りてきている姿が見える。
子どもたちは、女の存在などとっくに知っていたのだ。
女からお菓子やおもちゃなどを手に入れている。
逞しく生きている。
不思議な共生関係。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?