キャンディスのモチーフ考察[原神]
今回はキャンディスのモチーフ考察を行いました。
月の要素が強いデザインでありながら、太陽神ラーをモチーフとした要素も多いキャラです。
また、水神・ネイトの要素も感じます。
名前
由来について実装前にも触れたことがありますが、キャンディスという名前は、カンダケ(kandake)をヨーロッパ風にした呼び名です。
カンダケはクシュ王国(今の南エジプト)の女王の称号と言われています。
※厳密にいうと、クシュとエジプトは別物ですが、信仰は似ている上に原神では混ぜて考えられているようなのでそれに倣って記載します。
デザイン
セノのモチーフ考察🔗の時にも触れましたが、キャンディスも額にホルスの目を意識したような模様がついています。
ホルスの目は月(左目)と太陽(右目)であり、セノは特に太陽神ラーの目とも言われる右目がモチーフとなっていました。
対してキャンディスはどちらかといえば月を意識したデザインとなっており、セノがホルスの右目であるならば、キャンディスは左目なのかもしれません。
キャンディスの左右の目の色が異なるのはホルスからインスピレーションを得たからかもしれませんね。右目は夜空を思わせる深い青、左目は月明かりのような金色です。
衣装全体的に夜空を表す青、そして金色の月が装飾になっています。
エジプトにて月といえばホルス以外にも「コンス」という月神がいます。コンスは頭に三日月をのせていました。
また、キャンディスは胸元に「アンク」と呼ばれるエジプト十字をつけています。
アンクは生命の象徴であると共に、死者の魂の行く末を表すと言われており、上の丸くなっている部分は神々がよく握っている持ち手です。
また、キャンディスは盾を取り出しますが、盾には太陽神ラーの模様が描かれています。
首飾りの後ろにも太陽神ラーの装飾がありますね。
古代エジプトは弓、槍、盾を持って戦うことが多かったからか、キャンディスも槍と盾を持っています。
もしくは、2本の矢と盾を頭に乗せていたエジプトの水神・ネイト由来かもしれません。ネイトは女神でした。
※矢の要素は天賦の説明で出てきます。
キャンディスの腰には古代エジプト人がよくつけていたロインクロス(前に細長い布を垂らす)があります。
天賦
聖儀·蒼鷺による庇護
古代エジプトにおいて、ベンヌ(青鷺)は再生や不死の象徴である聖なる鳥として扱われていました。浸水期にナイル川に戻ってくるからです。
太陽神ラーはベンヌにあたためられて生まれたとも言われており、ラー自体がベンヌだとする説やラーの魂だとする説もあります。
死者の書では死者の魂がベンヌになるもしくはベンヌが導き手になるとも言われていて、かなり重要な聖鳥です。
この天賦は死者の魂を青鷺が守るという儀式を表しているのかもしれません。
聖儀·灰鴒の呼び潮
ベンヌは青鷺以外に鶺鴒(セキレイ)でもあったとされているので、灰鴒=ベンヌのことだと思います。
砂漠のことを天賦の説明文で砂海と読んでおり、水元素を使って砂海に「潮」つまり、水をもたらす儀式を表す天賦名のようです。
※おそらく「潮」は塩の方ではなく、「(砂)海の水」という意味で使っている?
これはおそらくベンヌが通っていたナイル川が、砂漠に流れることを意味するのだと思います。
砂漠において貴重な水を持たらすナイル川はなくてはならないものであり、古代よりこうした呼び水の儀式が実際に行われていたので、そのエピソードをモチーフにしているようです。
また、この天賦は「赤冠より授かりし祝福」を付与します。
この赤冠は恐らくデシュレト(デシェレト)Deshret(赤い王冠)という古代エジプトの用語から来ています。
エジプトは北と南で因縁があり、北を治める王は白い王冠、南を治める王は赤い王冠を被ります。キャンディスは現在の南エジプト(厳密にはクシュ王国)の女王がモデルということもあり、赤冠と結び付けられたのでしょうか。
そうした経緯もあってか、キャンディスはキングデシェレトの末裔ということになっています。
※ただ実際のところデシュレト(赤い大地、赤い冠の王が治める土地)は本来ナイル川の恩恵を受けにくかったそうですが…。
固有天賦・暁の初陽へ
ベンヌは太陽神ラーと結び付けられ、夜になると死に、夜明けに生まれ変わって太陽として飛び立つので、それを意味しているのかも。
固有天賦・流羽の守り
英語ではAegis of Crossed Arrowsと表記されています。直訳すると交差した矢の神の盾という意味です。
これは二重の意味が込められていると思います。
一つ目はアンクを表しているという可能性。
交差(クロス)=首元のアンクのことだと思われ、キャンディスの天賦のラーの紋様はアンクと似た形で描かれています。
ラーが描かれた盾によって守られるという意味の天賦名でしょうか。
二つ目は水神ネイトを表しているという可能性。
女神でもあったネイトは交差した日本の矢と盾を頭に乗せた女神として有名です。
命の星座
モナいわく命の星座はその人の運命を表します。ではキャンディスはどんな運命を背負ったのでしょうか。
1重 赤砂の後嗣
モチーフで考えるならば、古代の南エジプトの女王(王位を継ぐもの)という意味でしょうし、
原神の中で考えるならばデシュレトの末裔としてデシュレトの跡を継ぎ(後嗣)、民を守る運命を背負ったと捉えることができると思います。
2重 貫月の鋒芒
貫く月の鋒芒(=きっさき)
つまり、月を象徴とするキャンディスが槍で敵を貫いて民を守るようになったという意味でしょうか。
3重 織狩の奉祀
織狩ってなんだろう…と思って中国語を見たら同じく織狩と書かれていました。
恐らく日本語に訳すときにこの単語は訳せなかったようです。中国語でも若干意味が通じない...?
自信はありませんが、狩りを織重ねる=敵を倒すという意味でしょうか。
モチーフの一つである水神・ネイトが機織りの女神だったことも関係しているかもしれません。
機織りの女神をモチーフとするキャンディスが敵を倒し、それが神(恐らくデシェレト)への祭祀になっているという意味でしょうか。
4重 戍守の誓約
戍守(じゅしゅ)=国境や辺境を守る
恐らくアアル村を守る誓約を神に対して行なったということだと思います。実際にキャンディスはアアル村の「ガーディアン」となっています。
アアルは古代エジプトにて死者の魂が旅をしてたどり着く死後の楽園を意味するため、死者の魂の守護者であるベンヌをモチーフとしているキャンディスが守る地としてぴったりの場所です。
5重 金縷の蒼瞳
金縷=金色の糸
また機織りかつ水の女神ネイトを思わせる言葉選びです。
デザインの時に話しましたが、キャンディスの青=夜空、金色=月を表すことから、金の糸=月光だと思います。
金色の青って意味が若干おかしいですが、恐らく金の左目、青の右目になったことを意味するのでしょう。多分。
英語ではもっとわかりやすくHeterochromatic Gaze (左右色違いの視線)と書かれています。
よくよく考えると、キャンディスの目って生来のものなんでしょうか。それとも後天性のものなんでしょうか…。
6重 満溢の潮汐
潮汐は太陽と月の引力によって引き起こされる潮の満ち引きを意味します。それがいっぱいになる、つまり海面が最高値まで上昇するという意味だと思います。
キャンディスの力が満ちたということを指し示すのだと思います。
まとめ
割とモチーフがわかりやすいようでわかりにくいキャラですが、セノを先に考察していたからかすごく難航することはありませんでした。
セノが死者の魂がアアルにたどり着くまでの旅路を守護するモチーフキャラなのに対し、キャンディスはアアルに辿り着いてから永遠の安らぎを守るキャラという役割があって、比較するのも楽しかったです。
これからもキャンディスが多くの方に愛されますように。