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「沖縄県人種差別撤廃条例案」


目次
前文
第1章 総則(第1条~第11条)
第2章 基本的施策(第12条~第20条)
第3章 差別的行為の解消に関する措置(第21条~第28条)
第4章 差別的行為を目的とする集会のための本県の公の施設の利用の制限(第29条・第30条)
第5章 人種等差別撤廃審議会(第31条~第35条)

前文
 沖縄県は、日本国憲法及び日本国が締結した人権に関する諸条約等の理念を踏まえ、あらゆる不当な差別の解消に向けて、一人ひとりの人間の尊厳を最優先する人権施策を、平等と多様性を尊重し、着実に実施してきた。
 しかしながら、今なお、不当な差別は依然として存在し、人種等を理由とする不当な差別的取扱い、差別的言動、インターネット等を通じて行われる人種差別を内容とする情報や悪質な虚偽情報の流布、人種差別的行為を煽る言動などの人権課題が生じている。このような状況を踏まえ、県、県民及び事業者が協力して、人種等を理由とする差別の解消と人権課題の解決に向けて、人権尊重の理念の普及をより一層推進していく必要がある。
 沖縄県はその歩んできた困難な歴史的背景を踏まえ、自由な人間は、恐怖及び欠乏からの自由を享受することであるという理想は、すべての者がその市民的及び政治的権利とともに、経済的、社会的及び文化的権利を享受できる条件がつくり出された場合にはじめて達成されることを確認し、それぞれの民族等の文化・伝統・自治を尊重しつつ、自由・民主主義・法の支配といった基本的価値観を踏まえ、人種等を理由とする差別の禁止等は、異なることへの権利、自らを異なると考える権利、および異なる者として尊重される権利と両立することを確認し、そしてすべての人種等が平等であること、すべての人種等が、人類の共同遺産を成す文明および文化の多様性ならびに豊かさに貢献することを確認する。
 ここに沖縄県は、全ての県民が不当な差別を受けることなく、個人として尊重され、平等と多様性を尊重しながら、さらなる人権尊重を推進していくため、この条例を制定する。


第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、人種等を理由とする差別の撤廃が重要な課題であることに鑑み、日本国憲法、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(1995 年条約第26号)、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(1979年条約第6号)、市民的及び政治的権利に関する国際規約(1979年条約第7号)及び本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(2016 年法律第68号)の理念に基づき、人種等を理由とする差別の禁止等の基本原則を定めるとともに、人種等を理由とする差別の撤廃に関し県の責務、基本的施策、解消に関する措置、公の施設の利用制限、人種等差別撤廃審議会の設置その他の事項を定めることにより、人種等を理由とする差別の撤廃のための施策を総合的かつ一体的に推進し、在留資格の有無を問わず外国人その他人種等による差別を受ける社会的少数者の権利利益を擁護し、もってすべての人の尊厳が尊重され、人種等による差別のない地域社会を作ることを目的として制定する。

(定義)
第2条 この条例において「人種等」とは、人種、皮膚の色、民族的若しくは種族的出身、特定の地域に複数世代にわたり定住してきた人びと及びその子孫、世系若しくは社会的身分又は国籍をいう。
2 この条例において「人種等を理由とする差別」とは、人種、皮膚の色、民族的若しくは種族的出身、特定の地域に複数世代にわたり定住してきた人びと及びその子孫、世系若しくは社会的身分又は国籍等に基づいたあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。
3 この条例において「社会的身分」とは、出生により決定される社会的な地位をいう。
4 この条例において「言動」とは、次に掲げる態様によるものを含むものとする。
一 他の言動の内容を記録した印刷物、光ディスク(これに準ずる方法にその他の物より一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)その他の物の頒布又は公然陳列の頒布又は公然陳列
二 インターネットその他の高度情報通信ネットワークを利用して他の言動を記録した文書図画又は画像等を不特定多数の者による閲覧又は視聴ができる状態に置くこと
三 前二号に定めるものの他、他の言動の内容を拡散する活動
5 この条例において「差別的取扱」とは、人種等を理由とする差別であって、取扱いによるものをいう。
6 この条例において「差別的言動」とは、人種等を理由とする差別であって、言動によるものをいう。
7 この条例において「県民」とは、本県の区域内に居住する者をいう。
8 この条例において「公の施設」とは、地方自治法第244条第1項の規定による「公の施設」であって、本県の設置・管理条例で定めるもの及びこれに準じる施設(指定管理者制度を導入したもの及び目的外使用許可等により使用させるものを含む。)をいう。

(基本原則)
第3条 人種等を理由とする差別は、職域、学校、地域その他の社会のあらゆ分野において撤廃されなければならない。

(表現の自由等への留意)
第4条 この条例の適用に当たっては、表現の自由その他の日本国憲法の保障する自由と権利を不当に侵害しないよう、留意しなければならない。

(人種等を理由とする差別の禁止)
第5条 何人も、次の各号に該当する行為(以下「差別的行為」という。)その他の人種等を理由とする差別をしてはならない。
一 特定の者に対する差別的取扱
二 侮蔑、嫌がらせその他特定の者に対する差別的言動
三 人種等に関する共通の属性を有する不特定の者に関し、社会から排除し、権利若しくは自由を制限し、又は憎悪若しくは差別の意識若しくは暴力をあおり若しくは誘発することを目的とする、公然と行われる差別的言動であって、次に掲げるもの
イ 著しい侮蔑若しくは誹謗中傷その他人種等を理由とする共通の属性を貶め又は価値の低いものとして扱うもの
ロ 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加えることを告知し、又は助長することにより脅威を感じさせるもの又は助長することにより脅威を感じさせるもの
ハ 社会からの排除を求めるもの
四 差別の意識をあおり又は誘発することを目的とする差別的言動であって、次に掲げる情報を頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示      するもの(摘示した事実の有無にかかわらない。)。
イ 人種等に関する共通の属性を有することを理由として、人を抽出し、一覧にした情報
ロ 人種等に関する共通の属性を有するものが、当該属性を有することを容易に識別することを可能とする特定の地名、人の氏、姓その他の情報

の責務)
第6条 県は、第3条に定める基本原則にのっとり、人種等を理由とする差別の撤廃に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 は、人種等を理由とする差別の撤廃に関する施策を効果的に実施するため、国、県内各市町村、人種等を理由とする差別の撤廃に関する活動を行う民間の団体その他の関係者相互間の連携協力体制の整備を行うものとする。
3 県は、県内における人種等を理由とする差別の実態を明らかにするための調査及び情報の収集を行い、前項に掲げる団体に対して必要な情報の提供及び提言等を行うように努めなければならない。

県民の責務)
第7条 県民は、第3条に定める基本原則を踏まえ、人種等を理由とする差別の撤廃について理解を深め、人種等を理由とする差別のない地域社会の実現に寄与するよう努めなければならない。
2 県民は、が実施する人種等を理由とする差別の撤廃に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)
第8条 事業者は、第3条に定める基本原則を踏まえ、人種等を理由とする差別の撤廃について理解を深め、その事業活動及び事業所の運営において、人種等を理由とする差別のない地域社会の実現にむけた必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 事業者は、が実施する人種等を理由とする差別の撤廃に関する施策にに協力するよう努めなければならない。
3 事業者は、職場における人種等を理由とする差別の撤廃に向けた方針のの策定、定期的な研修、被用者からの相談窓口の設置などの必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

(基本方針)
第9条 は、人種等を理由とする差別の撤廃に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るため、人種等を理由とする差別の撤廃に関する基本的な推進を図るため、人種等を理由とする差別の撤廃に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 県知事は、基本方針の案を作成しなければならない。県知事は、基本方針の案の作成に当たっては、第5章に定める人種等差別撤廃審議会(以下(ただし、第31条第1項を除く。)「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
3 県知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、公表しなければならない。
4 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

(財政上の措置等)
第10条 は、人種等を理由とする差別の撤廃に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

(年次報告)
第11条 は、毎年、議会に対し、人種等を理由とする差別の状況及び人種等を理由とする差別の撤廃に関して講じた施策についての報告書を提出しなければならない。


第2章 基本的施策
(相談体制の整備)
第12条 は、国及び県内各市町村との適切な役割分担を踏まえて、人種等を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制を整備するものとする。

(教育の充実等)
第13条 は、国及び県内各市町村との適切な役割分担を踏まえて、人種等を理由とする差別を撤廃するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な措置を講ずるものとする。

(啓発活動等)
第14条 は、国及び県内各市町村との適切な役割分担を踏まえて、人種等を理由とする差別の撤廃について広く一般の関心と理解を深め、人種等を理由とする差別の撤廃を妨げている諸要因の解消を目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な措置を講ずるものとする。

(インターネットを通じて行われる人種等を理由とする差別の撤廃のための自主的な取組の支援)
第15条 は、本県に関わるインターネットを通じて行われる人種等を理由とする差別を撤廃するため、差別的行為のうち、第5条第2号、第3号又は第4号に該当するものの制限等に関する事業者の削除、差止めなどその他自主的な取組を支援するために必要な措置を講ずるものとする。ただし、事業者による差別的言動の差止を支援するに当たっては、表現の自由を不当に侵害しないよう、留意しなければならない。

(被害者の救済対策の整備)
第16条 は、人種等を理由とする差別の被害者の救済のために、医療的なケア、職場や住居のあっせんなど救済のための対策を整備するものとする。

県内における活動の促進)
第17条 は、県内における人種等を理由とする差別を撤廃するため、県民又はその組織する団体その他の地域の関係者が行うその撤廃に関する自主的な活動を促進するために必要な措置を講ずるものとする。

(民間の団体等の活動の促進)
第18条 前二条に定めるもののほか、は、人種等を理由とする差別の撤廃に関する自主的な活動を行う民間の団体が果たしている役割の重要性に留意し、これらの民間の団体等の活動を促進するために必要な措置を講ずるものとする。

(施策の策定及び実施のための調査
第19条 は、人種等を理由とする差別の撤廃に関する施策の策定及び実施のため、県内における人種等を理由とする差別の実態を明らかにするための調査を行わなければならない。
2 県は、前項の調査結果を、個人情報等に留意した上で県民に公表しなければならない。

(被害者等の意見の反映)
第20条 は、人種等を理由とする差別の撤廃に関する施策の策定及び実施に当たっては、被害を受けた県民その他の関係者の意見を当該施策に反
映させるために必要な措置を講ずるものとする。


第3章 差別的行為の解消に関する措置
(調査手続の開始)
第21条 県知事は、差別的行為のうち、第1号又は第2号に該当するものが行われたと疑うに足りる相当な理由があるときは、当該行為により被害を受けた県民、その法定代理人若しくは保佐人、又は当該県民が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により又は職権で、調査手続を開始するものとする。
一 本県の区域内で行われたもの
二 本県の区域外で行われたもの(本県の区域内で行われたかどうか明ら
かでないものを含む。)で次のいずれかに該当するもの
ア 差別的行為の内容が県民に関するもの
イ 本県の区域内で行われた差別的行為の内容を本県の区域内に拡散するものであって、アに掲げる以外のもの
2 前項に該当する差別的行為のうち、第5条第3号又は第4号にあたるものについては、対象となった人種等に関する共通の属性を有する県民により構成される団体も請求することができる。

県知事による調査)
第22条 県知事は、前条第1項に定める調査手続において、必要と認めるときは、事実の調査をすることができる。
2 県知事は、前項の調査のため必要があるときは、被害者、前条の規定による請求をした者(以下「請求者」という。)、差別的行為をした疑いがある者その他の関係者に対し出頭を求め及び質問をし、並びに文書の提示を求めることができる。
3 県知事は、第1項の調査のために、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

(差別的行為該当性についての審議会の意見の聴取)
第23条 県知事は、当該行為が差別的行為に該当するかどうかについて並びに第26条第1項の措置、同条第3項の公表、第27条第1項の警告及び
同条第3項の公表、第28条第1項の命令(以下「是正措置等」と総称する。)をするべきどうか及び是正措置等の内容について、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。ただし、当該行為が差別的行為に該当しないことが県知事による調査によって明らかであるときは、この限りでない。
2 県知事は、前項ただし書の規定により審議会の意見を聴かなかったときは、理由を付して速やかにその旨を審議会に報告しなければならない。この場合、審議会は、県知事に対し、意見を述べることができる。
3 県知事は、前項後段の意見を公表しなければならない。

(審議会による調査)
第24条 審議会は、前条第1項本文の場合において、必要と認めるときは、事実の調査をすることができる。
2 審議会は、県知事又は請求者に対し、意見の陳述及び資料の提出を求めることができる。
3 審議会は、適当と認める者から事情を聴取することができる。
4 審議会は、差別的行為をした疑いがある者に対し、相当の期間を定めて、書面により意見を述べ、及び資料を提出する機会を与えなければならない。ただし、差別的行為をした疑いがある者の所在が判明しない者は、この限りではない。
5 審議会は、差別的行為をした疑いがある者から請求があった場合であって、必要があると認めるときは、口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
6 差別的行為をした疑いがある者は、前項により意見を述べるときには、審議会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
7 審議会は、必要があると認めるときは、その指名する委員に次に掲げる事項を行わせることができる。
一 第3項の規定による事情の聴取
二 第5項の規定による意見の聴取
8 審議会の調査手続は、公開しない。ただし、審議会が許可した場合を除く。
9 審議会が当該行為を差別的行為であって、第21条第1項第1号又は第2号に該当するものが行われたと認めた場合において、当該行為者が不明であるときは、県知事は、事業者に対し、当該行為に係る発信者情報その他個人識別のための情報の開示を求めることができる。
10 審議会は、調査手続を終結したときは、遅滞なく、是正措置等に関する意見書を作成し、県知事に提出しなければならない。
11 前項の意見書には、主文、事案の概要、理由を記載する。主文には、当該行為が差別的行為に該当する旨及び第5条各号の条項若しくは該当しない旨、是正措置等をするべき旨若しくは是正措置をするべきでない旨、並びに是正措置等をするべきときには是正措置等の内容を記載する。事案の概要には、当該行為の内容を記載する。理由には、当該行為が差別的行為に該当する理由若しくは差別的行為に該当しない理由、是正措置等をするべき理由若しくは是正措置等をするべきでない理由、並びに是正措置等をするべきときには当該是正措置等の内容が相当である理由を記載する。

(審議会の意見の尊重)
第25条 県知事は、是正措置等に係る判断をする場合には、前条第10項の意見書を尊重しなければならない。
2 県知事は、意見書と異なる措置をとる際には、その理由を公表しなければならない。

(差別的行為に対する是正措置及び公表)
第26条 県知事は、第21条第1項の規定による調査手続により、差別的行為であって、同項第1号又は第2号に該当するものが行われたと認めた場
合には(以下、認められた行為を、本条及び次条において「当該差別的行為」という。)、事案の内容に即して、指導、勧告その他当該差別的行為を是正するために必要な措置を講ずることができる。
2 県知事は、前項の措置について、当該差別的行為の概要、当該行為が差別的行為に該当する旨、該当する第5条各号の条項及び措置の内容を公表し
なければならない。
3 県知事は、第1項の措置について、当該差別的行為の悪質性の程度、行為後の情況、社会的影響の軽重などにより公表することが相当であると認め
るときには、当該差別的行為を行った者の氏名又は名称を公表することができる。ただし、公表の期間は、相当な期間であることを要する。
4 県知事は、第1項の規定による措置を講ずるときは、当該差別的行為を行った者に対し、書面により、措置の内容及びその理由並びに第2項及び前
項の規定による公表をする旨を通知しなければならない。ただし、当該差別的行為を行った者の所在が判明しないときは、この限りではない。
5 前項本文の通知は、当該差別的行為を行った者の住所(当該差別的行為を行った者が別に通知を受ける場所又は連絡先を市長に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
6 前項の通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
7 県知事は、請求者に対し、書面により、第1項の規定による措置を講じたときはその旨、その内容及びその理由並びに第2項の規定による公表をし
た旨を、第1項の規定による措置を講じなかったときはその旨及びその理由を、第3項の規定による公表をしたときはその旨を、第23条第1項本文又は第2項ただし書の意見があるときはその内容を並びに前条第2項の理由があるときにはその理由を、それぞれ通知しなければならない。

(差別的行為に対する警告)
第27条 県知事は、第21条第1項の規定による調査手続により、当該差別的行為が行われたと認めた場合であって、当該差別的行為をした者がさらに当該差別的行為又は当該差別的行為に類する行為をするおそれがあるときは、当該差別的行為をした者に対し、当該差別的行為又は当該差別的行為に類する行為(以下「警告対象行為」と総称する。)をしてはならない旨を警告する(以下単に「警告」という。)ことができる。
2 県知事は、警告について、当該差別的行為の概要、当該差別的行為が差別的行為に該当する旨、該当する第5条各号の条項及び警告の内容を公表し
なければならない。
3 県知事は、警告について、警告を受ける者(以下「警告対象者」という。)の氏名又は名称を公表しなければならない。ただし、公表することが相当でない場合は、この限りでない。また、公表の期間は、相当な期間であることを要する。
4 県知事は、警告をするときは、警告対象者に対し、書面により、警告の内容及びその理由並びに第2項及び前項の規定による公表をする旨を通知しなければならない。ただし、警告対象者の所在が判明しないときは、この限ではない。
5 前項本文の通知は、警告対象者の住所(警告対象者が別に通知を受ける場所又は連絡先を県知事に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)
にあてて発すれば足りる。
6 第4項本文の通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
7 県知事は、請求者に対し、書面により、第1項の規定による警告をしたときはその旨、その内容及びその理由並びに第2項の規定による公表をした旨を、第1項の規定による警告をしなかったときはその旨及びその理由を、第3項の規定による公表をしたときはその旨を、第23条第1項又は第2項の意見があるときはその内容並びに第25条第2項の理由があるときにはその理由を、それぞれ通知しなければならない。
8 県知事は、差別的言動について警告をするに当たっては、警告が表現行為に対する事前抑制となり得るものであることに鑑み、表現の自由を不当に侵害しないよう、特に留意しなければならない。

(差別的行為に対する命令)
第28条 県知事は、警告対象者が、警告を受けたにもかかわらず、警告対象行為を行い、かつ、さらに警告対象行為をするおそれがあるときは、警告
対象者に対し、次に掲げる事項の全部又は一部を命ずること(以下「命令」という。)ができる。
一 警告対象行為(以下「命令対象行為」という。)をしてはならないこと
二 命令対象行為が行われることを防止するために必要であると県知事が認める事項を履行すること
2 県知事は、命令について、命令を受ける者(以下「命令対象者」という。)が警告に反して行った警告対象行為の概要、命令対象者が警告に反して行った警告対象行為が差別的行為に該当する旨、該当する第5条各号の条項及び命令の内容並びに命令対象者の氏名及び規則で定める事項があるときは当該事項を公表しなければならない。ただし、公表の期間は、相当な期間であることを要する。
3 県知事は、命令をするときは、命令対象者に対し、書面により、命令の内容及びその理由並びに前項の規定による公表をする旨を通知しなければならない。ただし、命令対象者の所在が判明しないときは、この限りではない。
4 前項本文の通知は、命令対象者の住所(命令対象者が別に通知を受ける場所又は連絡先を県知事に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
5 第3項本文の通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
6 県知事は、請求者に対し、書面により、命令をしたときはその旨、その内容及びその理由並びに第3項の規定による公表をした旨を、命令をしなかったときはその旨及びその理由を、第23条第1項又は第2項の意見があるときはその内容を並びに第25条第2項の理由があるときにはその理由を、それぞれ通知しなければならない。
7 命令に違反した者は、5万円以下の過料に処する。
8 命令の効力は、10年間とする。
9 第2項に規定するもののほか、命令の実施に関し必要な事項は、規則で定める。
10 県知事は、差別的言動について命令をするに当たっては、命令が表現行為に対する事前抑制となり得るものであることに鑑み、表現の自由を不当に侵害しないよう、特に留意しなければならない。


第4章 差別的行為を目的とする集会のための県が管理する公の施設の利用制限
本県の公の施設の利用制限)
第29条 県知事は、本県の公の施設の利用許可の申請があった場合であって、当該利用が差別的行為を行うことを目的とするものと認めたときは、これを許可してはならない。
2 県知事は、本県の公の施設の利用許可の申請があった場合であって、当該利用が差別的行為を行うことを目的とするものと疑うに足りる充分な理由があると認められるときは、差別的行為を防止するため、警告、条件その他必要な限度で制限を付けて許可することができる。
3 県知事は、本県の公の施設の利用許可の申請に係る許可をした場合において、当該申請に係る利用が差別的行為を行うことを目的とするものであると判明したときは、当該許可を取り消さなければならない。
4 前3項に係る目的の有無は、本県の公の施設において差別的行為が行われるおそれが客観的な事実に照らして具体的に明らかに認められるか否かにより判断するものとする。
5 県知事は、本県の公の施設の利用制限に係るガイドラインを策定し、公表するものとする。この場合において、県知事は、審議会の意見を聴かなければならない。
6 県知事は、本条に基づき本県の公の施設の利用の許否を検討するに当たっては、その処分が表現行為に対する事前抑制となり得るものであることに鑑み、表現の自由を不当に侵害することのないよう、特に留意しなければならない。

(利用の許否等についての調査手続及び審議会の意見の聴取)
第30条 県知事は、本県の公の施設の利用許可の申請があった場合において、当該使用により被害を受けるおそれがある県民又は人種等に関する共通の属性を有する県民により構成される団体の請求により又は職権で、調査手続を開始するものとする。
2 第22条の規定は、前項の場合について準用する。
3 前条第1項から第3項までの処分に当たっては、県知事は、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
4 第24条及び第25条の規定は、前項の場合について準用する。


第5章 人種等差別撤廃審議会
(設置)
第31条 に、人種等差別撤廃審議会を置く。
2 審議会は、人種等を理由とする差別の撤廃及び被害者救済を図ることを任務とする。
3 審議会は、前項の任務のため、この条例に他に定めるもののほか、次に掲げる事務をつかさどる。
一 県知事の諮問に応じて人種等を理由とする差別の撤廃に関する調査をすること
二 人種等を理由とする差別の撤廃に関し、必要があると認めるときに、県知事に対し、意見を述べ又は勧告すること
4 第24条第1項から第10項まで及び第25条の規定は、前項の事務について準用する。
5 県知事は、第3項第2号の勧告に基づき講じた施策について審議会に報告しなければならない。

(組織及び運営)
第32条 審議会は、委員20人以内で組織する。
2 委員は、県知事が、人種等を理由とする差別の撤廃に関し専門的知見を有する者のうちから、県議会の同意を得て委嘱する。委嘱に当たっては、人種等の属性に関する少数者、女性又は障碍者が一定以上となるよう配慮するものとする。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(会長)
第33条 審議会に会長を置き、会長は、委員のうちから委員の互選により定める。
2 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
3 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。

(議事)
第34条 審議会は、会長が招集する。
2 審議会は、委員の2分の1以上が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

(委任)
第35条 この条例に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

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