【2024年冬アニメ】39作品の第1話を観てのざっくり感想まとめ
毎クール恒例にしているTVアニメ第1話感想、2024年1月から放送開始された作品からセレクトしてまとめました。
もう何回も言ってるけど、なぜ第1話に限ってこれをやるのかというと、毎週1エピソードずつ放送していくTVアニメというメディアにおいて、最初に視聴者の興味をどう引きつけるかという部分がかなり大きなウェイトを占めていると思っているからです。
極端な言い方をしてしまえば「第1話がつまんない作品が以後面白くなることは(ほぼ)ない」。もちろん、面白い/面白くないは絶対的評価というよりは、個人的な嗜好に合う/合わないという側面も大きいわけですが、その意味でも同じです。1クール12話が基本のフォーマットになってしまった現代のTVアニメではなおさらその傾向が強まっているとも言えます。
TVアニメの第1話には、制作スタッフがその作品で「何を見せたいか」が詰まっているはずですし、そうでなければおかしい。大袈裟に言えばそこにはスタッフと視聴者の勝負があるんですね。「パッと見どうかなと思ったけど実際に観たら面白いじゃん」って屈服させてほしい。
★は大まかに以下のようなパーソナルな指標。★3と★2の間くらいが継続視聴するかどうかの境界線。
★★★★★ すげえいい
★★★★ かなりいい
★★★ まあまあいい
★★ ちょっとキツい
★ だいぶヤバい
※掲載順は東京ローカルの放送順
1 異修羅
原作未読だけど評判が高いことは知ってる、っていう程度の前提知識。どこがそんなにすごいのか、1話の段階ではちょっとまだよくわからないかな……。このパターン、シャンフロみたいにならないといいなと思う。
★★★
2 魔法少女にあこがれて
おっぱい表現によって一部で覇権認定されていたわけだけれど、MXでおっぱいナーフされた通常版で観てもちゃんと面白かった。「魔法少女」と「悪の女幹部」という対立構造を、ミーム的なお約束に頼らずにしっかり描写していて好感。おっぱいなしでも高クオリティ。でもあとでdアニのあこがれVer.を観直します。
★★★★★
3 ダンジョン飯
今期大本命。よく知らない人は『フリーレン』と似たようなものだと思うかもしれないけど実質は全然違うというか、こちらはよくある擬似ヨーロッパ風のRPG世界的「ファンタジー」を下敷きにしながら、そこで省いたリソースをオリジナルな部分への掘り下げに惜しみなく投下しているのが原作の持ち味で、アニメでもそのいい意味での割り切りとこだわりが充分感じられる仕上がり。何よりマルシルがちゃんと可愛い。
★★★★★
4 魔都精兵のスレイブ
ザ・タカヒロワークスって感じ。ベタだけど掴みは外さないよね。
★★★
5 即死チートが最強過ぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。
俺TUEEEの最終形態だな。もはやノートに名前を書く必要すらない。本当に即死チートが最強すぎるので命の重みが異常に軽くて、これでどう話を転がすのか逆に興味が湧く。
★★★
6 超普通県チバ伝説
ローカル低予算アニメにもやり方っていうものがあるはず。
★
7 佐々木とピーちゃん
初回2話分の1時間SPにするほどの中身はないけどストレスもない。湊未來シルリン印の安定感。
★★★
8 百千さん家のあやかし王子
これはまたコッテコテの王道少女漫画設定だなあ。ターゲットじゃないから視聴継続するためには何かフックが必要だけど、それもないな……。それぞれに事情があるんだけどディスコミュニケーションがあって振り回されるヒロインに感情移入しつつ、男子側の振る舞いにキュンキュンする、っていうのが「正しい」見方だろうけれど、ただただどっちにもイライラする。
★★
9 治癒魔法の間違った使い方
現世でのキャラ紹介からテンポよく異世界転生。主人公も巻き込まれ型ながらポジティブなタイプで好感が持てる。派手さはないけど細部までシュアーな演出が行き届いていて楽しく観られそう。
★★★★
10 ぽんのみち
尾道+春場ねぎデザインの美少女(巨乳)+麻雀、欲張りすぎな気もするけどどうなんですかね。麻雀漫画の名作パロで「わかってる風」アピールもちょっと鼻につくし、劇伴も主張しすぎてていまいち。真面目に麻雀する流れではないだろうし、どちらも中途半端にならなければいいね。ところで主人公だけ広島弁(尾道弁?)だけど、それなら地元出身の声優をブッキングすべきだったのでは。
★★
11 結婚指輪物語
どうでもいいけどめいびいのアニメ化率すごいな。『黄昏乙女×アムネジア』はよかったけど、次がMAPPAなのにいまいちだった『かつ神』でションボリだったんで、今回は面白いといいな。出だしとしては可もなく不可もないけどちょっと主人公がうるさいかな。君は主役だけどメインじゃないので控えめにしてください。
★★★
12 ゆびさきと恋々
聴覚障害者を主人公に据えてのラブストーリー、というのは社会的な意義もあるだろうし、出来も悪くはないんだけど、男がキモくてダメだった。初対面で頭触ってくる奴、どんなイケメンだったとしてもキモくね? あと指のタトゥーもアウトロー感が強すぎる。
★★
13 俺だけレベルアップな件
韓国発の小説・ウェブトゥーン原作だけど日本版はかなりローカライズされてるっぽいな。とはいえ、転生ではなくて異次元とつながった現世がそれに伴って新たな理で塗り替えられて、そこで底辺から成り上がっていくという現世利益的な大筋にはやはり国民性の違いが現れている気もする。簡単に言えばよりシビアでシリアス寄りといったところか。わりと好み。あと主役の坂泰斗くん、最近よく見るね。男性声優はなかなか世代交代しないので久々の若手有望株って感じ。調べるとそこまで若くもないんだけど。
★★★★
14 青の祓魔師 -島根啓明結社篇-(第3期)
やっぱり鉄は熱いうちに打たないとダメっていうか、さすがに前期から7年も経ってしまうとよっぽど原作ファンじゃない限り話が全然わからないと思う。
★★★
15 僕の心のヤバいやつ 第2期
良くも悪くも本編は前期からずっと「まあまあ」なんだけど、OPがヤバい出来なので加点。
★★★★
16 最強タンクの迷宮攻略~体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される~
パーティ追放系の見本みたいなテンプレ展開で特筆すべきことが何もないな。
★★
17 異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。
これも赤尾でこa.k.a.三重野瞳か。今期何本あるんだ? たぶん師匠譲りですごい手が早いから重宝されてるんだろうけど、脚本家としては正直、作品によって当たり外れが大きいと思う(もちろん作品の当たり外れは脚本のせいだけではないので巡り合わせも含めての話)。これはまあまあ当たりのほうかな。
★★★
18 ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する
女子向けの転生ものは「複数回ループして最適解を模索する」的なプロットが好まれがちな気がするんだけど、まさにそれよね。5年ずつ7回目なら主観的な時間としては30年以上経っているわけで、本当はもう中年なのでは? っていうのは言ったらいかんやつか……。過去のループの記憶を活用して今度こそうまくやる、っていう生き直しサバイブ策にはパズル的な面白さがあるけど、物語的には後出しジャンケンのご都合主義にしか見えないので処理次第か。
★★
19 悶えてよ、アダムくん
『終末のハーレム』みたいな話だな。タイミング悪いというか、今期のお色気枠だと『まほあこ』との比較になってしまう。
★★
20 休日のわるものさん
ダウナー系でパンチに欠ける『カワイスギクライシス』。どうでもいいけど「名取さなのどうぶつどうなっとりますか?」はこことか『もふなで』に提供しないでどうするんだよ! と一瞬思ったんだけど、あれは那須どうぶつ王国とのコラボ案件でもあって、『もふなで』は群馬サファリパーク、こっちは上野動物園だからそれぞれ動物園違いなんだよな。
★★
21 姫様“拷問”の時間です
深夜に全力の飯テロは確かに“拷問”。個々のネタはもうほとんど出オチなのでテンポよく畳みかけて難しいことを考えさせない。姫様がチョロかわいい。
★★★★
22 SYNDUALITY Noir【第2クール】
前期から安定。2期はノワール/ミステルの二役を演じ分ける古賀葵劇場になる気配でそれも楽しみ。
★★★★
23 望まぬ不死の冒険者
こんなん前もあったな。『骸骨騎士様』か。モンスターを倒すことで肉体を少しずつ取り戻していく、という意味では『どろろ』的でもある。見た目はどうしても地味になってしまうがまずまず堅実な滑り出し。
★★★
24 道産子ギャルはなまらめんこい
原作もあんまり合わなくて途中で読むのやめちゃったんだよな。別に「ギャル」じゃなくても成立する話なんだけど、それだと地味すぎるというか、ご当地ネタを全面に押し出すと『八十亀ちゃん』と大差ないしな……。総監督湊未來・監督星野美鈴、シルリンとBLADEの共同制作は『最近雇ったメイドが怪しい』と同じ布陣で手堅くはある。
★★
25 愚かな天使は悪魔と踊る
どうでもいいけど『道産子ギャル』から続くテレ東は佐倉綾音アワーだな。どっちもそうだけど、結局ヒロインが好きになれるかどうかしか駆動できる力がないので辛いかな。
★★
26 SHAMAN KING FLOWERS -シャーマンキング フラワーズ-
これ原作好きな人は楽しいんですかね? ちょっとよくわからない。
★★
27 悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~
Aパートずっと「乙女ゲーのストーリーなぞってるような退屈な話だな」と思ってた俺、完全に脚本・演出のてのひらで踊らされてました。まさにその退屈なテンプレそのものを主人公がひっくり返すという構造の物語ではあり、タイトルからもそれは想像付けよっていう話ではあるんだけど。
★★★★
28 戦国妖狐
原作者・水上悟志という作家が持っているある種の古臭さが悪いほうに出ていると感じる。もちろんいいほうに出ればそれは「王道」の味わいを持つことになるし、『プラネット・ウィズ』はまさにそうだったと思うんだけど。戦国+妖怪バトル+世直し行脚の三題噺だけど、それぞれの要素の収まりがあまりよくないように思うし、本来バラバラの話を無理やりひとつにまとめたみたいで落ち着かない。
★★
29 外科医エリーゼ
「転生もの」のお約束というか、ある程度の暗黙の了解として、生まれ変わることによって転生先での将来への何らかのポジティブな展望とか、既存の価値観の顛倒による爽快感とか、普通はあると思うんだけど、なんかずっと湿っぽくてある意味ニューウェイブだなと思った。TVアニメの第1話としては面白くなる要素がないからダメだと思うけど。
★
30 メタリックルージュ
2020年代のTVアニメとは思えない……こんなド直球のブレランフォロワーOVAみたいなアニメが許されるのか……w 意味ありげなサイバーパンクノワール風の舞台設定にパワードスーツ(?)をまとった人造人間の美少女バトル、そのへんの企画屋がこれ出したらアホかってハネられますよ……w
個人的には出渕裕という人は多彩でありすぎるがゆえに、そしてバランス感覚に優れているがゆえに過小評価されていると思っているのだけれど、ここではその両面が存分に発揮されているように思う。前述の荒唐無稽な筋立てをギリギリのタイトロープでエンタメのラインに押しとどめている。それでも客は選ぶだろうけどね。俺は大好き。
★★★★
31 百妖譜
いかにも中華だけどスタッフは韓国っぽい名前が多いなと思ったらハオライナーズの韓国支社で作ってるのか。日本的なTVアニメのフォーマットから考えると少し間延びした感はあるけど、前後編セットの2話ずつで1テーマずつ消化していく構成っぽいな。中華アニメは固有の文法に慣れると化ける場合があるからちょっと様子見。
★★
32 月刊モー想科学
濃厚に香る高松信司臭……と思ったら弟子筋の宮脇千鶴だったのであながち間違いでもない。まあ実質美男高校の新作ですね。このノリが嫌いじゃなければハマる人もいそう。
★★★
33 勇気爆発バーンブレイバーン
「ロボットアニメ」に思い入れがないからなあ……。ロボットアニメ好きがロボットアニメ好きのために理想のロボットアニメを作ってみました、っていうのはわかるんだけど、それで? この話面白いんスか? ってなっちゃう。
★★
34 うる星やつら 第2期
良くも悪くも1期と変化なし。オノマトペをいちいち発声するのは慣れかなと思ってたけど常にあざとさの違和感が勝る。このクドさは味ではあるけれど、むしろテンポが犠牲になっているとしか言えない。画的なクオリティは申し分ないだけにもったいない。
★★★
35 魔女と野獣
雰囲気そのものは悪くないんだけど、バトルシーンでアクションを描くことを完全に諦めたカット割でちょいちょい時が飛んでるな……。クラウドハーツじゃない横浜アニラボはこんなもんか。
★★
36 最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。
総監督山内重保! 初回は絵コンテ演出が本人担当でレイアウトも間もバッチバチにキマってんだけど、残念ながら脚本がよくない。というか、説明不足のまま主人公の独白のみで丸々1話保たせるのはいくら御大でも無理よ。原作未読だから推測だけど、おそらくこれってオープニングに村を追放される具体的なシークエンスが本当はあるはずで、それを意図的に削ってると思われるんだけど、奏功しているようには見えない。
★
37 スナックバス江
ショートアニメの名手芦名みのるが監督・シリーズ構成だけに、安心して観られるのは間違いないんだけど、30分枠はちょっと冒険かな。ネタは豊富だから枠に見合った構成にはしてくると思う。EDのカラオケ映像が新規撮り下ろしっていう謎のこだわりはナイス。
★★★
38 ぶっちぎり?!
『ぶっちぎり』なら中原裕だし『ブッチギレ!』ならツインエンジンのオリジナルだけど、これはMAPPAオリジナルなのか。っていうか内海紘子だからSK∞の流れだな。BLっぽくなりすぎない男臭さの塩梅がいい。あと荒仁のお母さんがかわいいね。
★★★
39 火狩りの王 第2シーズン
入り組んだ設定を丁寧に解きほぐしながらもいよいよ話が大きく動くフェーズに入っていく2期開幕。揺るる火って人格あるんだ……AIなのね。見た目は和風ファンタジーっぽく見せかけながら根底はゴリッゴリのSFだっていう作品が大好物なので、いよいよ本領が発揮されてきて胸が高鳴る。かなたをはじめとする狩り犬たちの存在も物語上のアクセントとして活かされている。
ただまあ、WOWOWだと最後に用語解説とか一応あるので多少わからなくても補完されるけど、アマプラとか他の配信サービスで観てると結構辛いかもしれないな……。
★★★
【おまけのどうでもいい話】
本数観るの大変なので、過去に途中で視聴をやめた作品の続編などはもう最初から観ていません。今期だと主に以下の作品がそう。ある程度の本数を観ることそのものにも価値を見出してはいるけれど、別に仕事じゃないので合わないものを無理して観る必要はないとも思っている。
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あと、どの作品が、っていうのがパッと出てこないんだけど、最近、室内とかの背景の塗りがなんかちょっとおどろおどろしい感じの色味とか質感になってる(伝わる気がしない……w)作品をよく見かける気がする。『ダークギャザリング』とかなら場面にマッチすればそれでいいんだけど、普通に会話してるシーンなのに、その背景の壁がドロッとしたホラー的な色合いになってたりするの、気持ち悪いんですよね。あれ何なんだろう。日本の家屋の内実をよく知らない外国人スタッフに投げてるからなのか、それにしてもちゃんと指定したりリテイクしたりすれば済む話だと思うんだけど、そういう余裕もなくなってるのか。『ダイナミックコード』みたいな例を挙げるまでもなく、現場がヤバいアニメは背景にそれが如実に現れるんですよね。何でもかんでも高密度な作画じゃなくていいとは思ってるんですけど、最低限のパースとか整合性は取ってほしい。そっちばっかり目が行ってしまって集中できないので。
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