心を落ち着かせるために掃除する
数年前のことですが、私が働いていた職場に再雇用の男性社員Aさんがいました。Aさんは他の社員が会社に来る前に朝早く来て、職場の打ち合わせ用の共有机を雑巾で拭いて、昨日までの伝票をまとめてファイリングすることを済ませてました。ファイリングは誰かがやらなくてはいけない仕事です。共有机の掃除は、やらなくてもいい仕事ですが、打ち合わせをするきれいな机は誰にとっても気持ち良いものです。このふたつの仕事は、上司がAさんに命じたものではなく、Aさんが自主的にされていたようです。
Aさんは、再雇用になった直後は、よく若い社員と揉めたり、キレてしまって周囲からは扱いにくいと思われていましたが、数ヶ月で揉め事もなくなりました。日常的に発生する誰かがやらなくてはならない面倒くさくて、誰も褒めてくれないことはAさんが受け皿になっていました。
ここで申し上げたいのはAさんが偉いとか、若い社員に好かれる再雇用者になれとかではなくて、掃除や整理作業は、心を落ち着かせるのではないかということです。禅寺で毎朝行われる掃除と同じだと思います。
私は家では掃除はしませんが、今はAさんと同じ年齢になってからは、違う職場でAさんの真似をしてます。朝早く入れない職場ですので、夕方に掃いたり、拭いたりしてから職場を出ます。掃いたり、拭いたりは私の契約上の業務にはありませんが、誰かに迷惑をかけることはありません。褒めてもらうためでもありません。自分のためです。忙しくしたあとのガサガサとした心が落ち着きます。
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