PENPALSは俺たちの青春
Spotifyで邦ロックのプレイリストを流していたら、ふいに、PENPALSの「TELL ME WHY」が流れてきた。
慌ててSpotifyをチェックすると、初期のアルバムが軒並み配信されていた。「THERE'S NO GREATEST HITS」と「ROCK'EM ALL」は未配信だったけれど、それでも嬉しい。
Spotifyでは、PENPALSの楽曲はつい最近まで「2nd Coming」と「PLAY ROCKS」の2枚のアルバムしか配信されておらず、初期の楽曲を聴くにはCDを引っ張り出して来なければならなかった。PENPALSのCDは全て持っているけれど、スマホで手軽に聴けないのは不便だった。それがこれからはスマホでサクッと聴くことが出来る。
さっそく、アルバム「Super Powerless」を聴いた。聴いていると、何とも言えない気持ちになった。かつて、俺はこのアルバムを死ぬほど聴いていたのだ。目を閉じると、あの頃の思い出がたくさん浮かんでくる。
間違いなく、PENPALSは俺たちの青春だった。
俺がPENPALSを知ったのは、高校生の頃なので、今から20年以上前だ。
高校の帰り、バスを待つ間、駅前の小さな個人経営のCDショップで時間を潰すことが多々あった。狭い店内で、俺はCDの並んだ棚をぼんやり眺めていた。当時の俺はロックに飢えていて、常に新しくてカッコイイ音楽を探していた。その日、たまたま俺の目に留まったのが、PENPALSの「be adams e.p.」だった。なぜ、それが目に留まったのかは分からない。分からないけれど、気になる。聴いてみたい。しかし、そのCDショップには試聴機なんて気の利いたものはなかった。俺は自分の直感を信じて、そのCDを購入した。バイトもしていない金欠高校生だったので、レンタルではなく、聴いたこともないバンドのCDを買うなんて冒険だった。
帰宅してすぐ聴いて、ガッツポーズした。めちゃくちゃカッコイイじゃねーか!!!
全曲最高だけれど、「I wanna know」と「YOU LOVE US」が特に好きで、何度も何度も聴いた。友達にCDを貸して、みんなで「カッコイイよな」と言い合った。
確か、その年の夏に「ラヴソング」がリリースされて、一気にPENPALSの知名度が上がったような気がするけれど、嬉しい反面、「俺たちはもっと前からPENPALSがカッコイイことを知ってたのに」と悔しい気持ちになった。いかんせんひねくれていたもんでね(笑)
確か、サトエリが司会の深夜の音楽番組にPENPALSが出演し、ハヤシムネマサ氏が「ラヴソング」について、「自分で作ってこんなに良いと思えた曲は無い」とインタビューに答えていた。それを観て、「ラヴソング」を素直にカッコイイ曲だと思えるようになった。
PENPALSの思い出は他にもある。
大学1年生の時、俺は色んなクリエイター志望の仲間たちとアート集団を作って少しだけ活動したことがあるのだけれど、その時にPENPALSの「Cars」が好きすぎて、歌詞の「rock’n roll silvergirl」というフレーズを拝借して「シルバーガール」という小説を書いた。書きながら、ずーっとPENPALSのアルバム「Super Powerless」を流していた。
駅前のバーでアート集団の仲間たちと一晩中語り合って、そんな俺たちをマスターは優しい瞳で見守っていた。深夜の海岸線で軽トラを走らせて、俺たちは荷台に乗って大声で歌った。あの頃の俺たちは、みんなバカで、自意識過剰で、頭でっかちで、でも何もかもがキラキラしていた。今でも、「Cars」を聴くと、その頃のことを思い出す。
思い出はまだある。
大学1年生の時、高校の時からの親友と話していたら、そいつがため息混じりに、「PENPALSのI WANNA KNOWの歌詞みたいに、最近、聴きたい音楽が無いんだよ」と言った。
だったら俺たちで音楽を作ろうぜ、と俺が言うと、そいつは笑って、「そうだな。本当に音楽を作れたら最高だな」と言った。
それからしばらくして、俺とその親友はバンドを組んだ。バンドを組むまでには他にも色んな要素が重なったけれど、PENPALSの「I WANNA KNOW」の歌詞もきっかけのひとつだったことは間違いない。
他にもまだまだ思い出はあるけれど、とても書き切れない。
仲間内でカラオケに行けば、必ず誰かが「TELL ME WHY」か「IN MY BED (I've been waiting so long)」か「RIGHT NOW」を歌ったし、「ROCK'EM ALL」のステッカーは雨で真っ白になるまで原付に貼り続けていたし、本当に思い出がたくさんある。二度と戻らない青春の日々。
惜しむべきは、当時、PENPALSのライブに一度も足を運ばなかったこと。当時の俺たちにとって、ライブに行くってけっこう敷居が高かったんだよね。モッシュとか怖いし。
しかし、PENPALSが復活して活動を再開している今、必ずライブに行ってみようと思っている。ノスタルジーだけではなく、今のPENPALSを見てみたい。絶対にカッコイイだろうし。
ちなみに、復活したPENPALSのニューアルバム「1973」はめちゃくちゃカッコ良かった。それについてはまた次の機会に書きたい。
更にちなみに、ハヤシムネマサ氏のPENPALS解散後のバンドREVERSLOWやNACANOに関する思い出もあるので、それについてもいつか書きたい。
そんな感じで、PENPALSはマジでカッコイイぜ、という話。
勢い余って、何枚かCDを棚から引っ張り出してきた。まだまだあるけれど、まぁ、一部だけ。みんなもPENPALSを聴こう!