AppSheet実践編シリーズ③~AppsheetとLooker Studioを接続してみた!~
はじめに
こんにちは。ソシオネットのS@Appsheet勉強中です。寒い日が続いていますが、読者の皆さまはいかがお過ごしでしょうか?私は雪国育ちではありますが、関東の寒さは実家とはまた一味違うな、、と思う今日この頃です。(乾燥してるから??)
さて、今回は「AppsheetとLooker Studioを接続してみた!」と題して、AppsheetとLooker Studioの話をしていこうと思います。
弊社毎月開催している初心者向けAppsheet勉強会でもご説明しておりますが、手でデータを更新する従来のExcelデータ管理と比較して、Appsheetで開発したアプリでExcelデータを更新するようにすると「ダーティデータ(入力された文字や値に揺らぎがあるデータ)」の登録を著しく防ぐことができます。以下にダーティデータの例を示します。
登録されたデータによっては、データ分析して見える化することでさらに価値を生むデータもあると思いますが、この「データ分析」の大敵がダーティデータです。
データを分析するにあたって、入力値が揺らいでいたり全半角が混在していると、分析開始前にデータクレンジングが必要となり、苦労されている方も多いのではないでしょうか。
逆に言うと、Appsheetで管理されたExcelやスプレッドシートはダーティデータを防止できているので、データ分析と非常に相性がいいんですね。
そして、Appsheetと同じGoogle社のBIツールと言えば「Looker Studio」です。これは接続してみるしかないでしょう!
というのが、今回のブログの経緯となります。
なお、先ほど記載しました弊社開催のAppsheet勉強会のご案内は、本ブログの最下部にあります。毎月開催しておりますので、ご興味ある方はご参加いただければと思います!
Looker Studioとは?
そもそもですが、Looker Studioとは何でしょうか?
Looker StudioとはGoogle社が提供する無償のBIツールです。以前はGoogleデータポータルと呼ばれていました。Looker Studioの主な特徴としては、以下のようなものがあります。
無償で利用可能:Looker Studioは、ダッシュボードやレポートの作成など基本的に全機能が無償で利用可能なBIツールです。ちなみに今後、有償版であるLooker Studio Proも発表される予定です。
様々なデータに接続可能:Googleアナリティクス、Cloud SQL for MySQL、など、様々なデータソースと接続可能なコネクタが容易されています。サードパーティが提供するコネクタも合わせると600以上のコネクタが用意されています。
データの共有が容易:リンクを共有して分析結果のレポートを共有したり、PDFで出力することが可能です。また「閲覧のみ」「編集可」といった閲覧権限のコントロールも可能です。
Looker Studioについては、詳しい説明が記述されているサイトは世の中にたくさんありますので、本ブログではこれ以上の説明は省きます。ちなみにGoogle社は「Looker」という似た名称のサービスも持っていますが、これはコンセプトからして別物ですのでご注意ください。
今回使用するデータとAppsheetの設定
今回はAppsheetに登録したデータをLooker Studio側で集計をさせたいので、簡単な集計ができるような2つのテーブルをスプレッドシートで用意しました。
・「氏名」テーブル
5人の生徒を登録しています。
・「点数」テーブル
各生徒の5教科の点数を登録しています。レコード数は25レコード(5人×5教科)となります。
いずれも最初から上記のデータが存在している状態でGoogleドライブに配置してAppsheetに食べさせます。そして、5人の生徒について5教科の点数をLooker Studioで集計させる、という想定です。
なお、Appsheetに取り込んだ後の設定ですが、今回は特に何も設定しなくてOKです(!)。本来であれば「点数」テーブルの「氏名id」のデータ型をRefにして「氏名」テーブルを参照させるべきですが、今回のブログの趣旨であるLooker Studioでの集計とはあまり関係がないので、ここは端折ることにしました。
次からは、いよいよ本題のレポート設定をしていきます。以下の順序で話をしていきます。
・Looker Studioへの入り方
・データソースの設定
・テーブルの結合設定
・レポートの表示設定
Looker Studioへの入り方
早速、Looker Studioにアクセスしてみましょう。以下のサイトの最下部から「Looker Studioを試してみる」ボタンを押下してください。あるいは右上の「データポータル」ボタンを押下しても、Looker Studioに入ることができます。
Looker Studio へようこそ - データポータルのヘルプ (google.com)
データソースの設定
まずは、Looker Studioの左上にある「作成」を押下し、続けて「レポート」を押下してみましょう。
レポート作成画面に遷移します。同時にデータのレポートの追加画面がブラウザの下部から出てきますので、Google Connectorsから「Appsheet」を選択します。
アプリケーションをプルダウンから選択する画面になりますので、今回作成したAppsheetアプリを選択して「次へ」を押下します。
データソースとなるテーブルをプルダウンから選択する画面になります。1つしか選択できないので、ここでは「氏名」テーブルを選択して「次へ」を押下したあと、右下の「追加」を押下します。
※後で「点数」テーブルも追加で設定するのでご安心ください。
このレポートにデータを追加しようとしています、という画面が表示されるので、「レポートに追加」を押下します。
無題のレポートが表示されました。デフォルトで「氏名」テーブルだけの表が表示されています。
画面上部の「リソース」を押下し、続けて「追加済みのデータソースの管理」を押下します。
「データソースを追加」を押下します。
データのレポートの追加画面がブラウザの下部から出てきます。GoogleConnectorsから「Appsheet」を選択し、先ほどと同様の手順で、データソースに「点数」テーブルを追加してください。
データソースへの「点数」テーブルの追加が完了すると、レポート画面に戻ります。ここまでで必要なデータソースへの接続設定が完了しました。
テーブルの結合設定
ここからは、先ほど設定した2つのテーブルの結合設定をしていきます。レポート部分を左クリックしてフォーカスすると、右側にグラフの設定部分が表示されます。
次に「データの統合」を押下すると、データの統合画面がブラウザの下部から出てきます。ここで2つ新しい言葉が出てきますので、以下にてさっくり説明します。
・ディメンジョン:分析軸のこと。また、データソース同士を結合するための項目としても利用する。
・指標:計算・集計の元となる数値などのローデータのこと。
テーブル名がデフォルトの(Table Name)となっていますので、分かりやすくするために「氏名」という名前に変更します。
ディメンジョンには、「id」「氏名」を設定します(ドラッグアンドドロップでも設定できます)。
指標はデフォルトで「氏名」が入っていますが、これは使わないので「×」で消しておきましょう。
「氏名」テーブルの設定が終わったら「別のテーブルを結合する」を押下して、「点数」テーブルのデータソースを追加します。
2つ目のテーブルとして「点数」テーブルの設定をしていきます。
テーブル名はわかりやすくするために「点数」という名前にします。
ディメンジョンには「氏名id」を設定します。「id」は使いませんが、そのままで結構です。
また、指標には「点数」を追加します。
「点数」テーブルの設定が終わったら、「結合を設定」を押下します。
結合の設定画面が開きます。
結合演算子は「内部結合」を選択します。
結合条件は、左側のテーブルが「id(氏名)」、右側のテーブルが「氏名id(点数)」を設定します。これはテーブル間でどの項目同士を結合するか、という設定となります。AppsheetでいうところのRef設定のようなイメージです。あるいは、SQLがお分かりの方であれば、Where句の内部結合条件と言うのが一番しっくりくると思います。
データの結合設定は以上となりますので、保存ボタンを押下します。
レポートの表示設定
ここからは、レポートの見た目の設定と集計・表示するデータの設定を行っていきます。
まずは、グラフ部分の下向き「∨」を押下します。様々な様式のグラフが選択できます。今回は、デフォルトの「表」のままとしますので、何も変更せず上向き「∧」を押下します。
データソースが「混合データ」となっていることを確認します。これは2つ(以上)のテーブルを結合したものをデータソースとして指定している、という意味です。
ディメンジョンには「氏名」を設定します。
指標には「点数」を設定します。集計方法が「SUM」になっていることを確認してください。
これで設定は以上となります。レポートには5人の生徒の5教科の点数の合計の表が表示されていると思います。
本来は、点数順でソートしたり、グラフィカルに表示したり、、と、ここから見せ方を工夫できることは多いですが、今回はAppsheetとの接続がテーマですのでここまでとします。
さて、ここまでで、データソースの設定→テーブルの結合設定→レポートの表示設定、、という一連の基本的な流れを見てきましたがいかがでしょうか?
ほとんどマウスの操作だけで済むので、慣れれば誰でも簡単に設定できると思います。
パフォーマンスの観点で考えてみる
レポートの画面の右上にある詳細オプションボタンから「データの更新」ボタンを押してみましょう。再度データソースにアクセスして再集計してレポートが表示されると思いますが、皆さんの環境ではどれくらい時間がかかりましたか?
私の自宅のネットワーク環境と利用しているPCの組み合わせだと5秒ほどかかってしまいました。
普通に考えてみると、高々25レコードのレポーティングで5秒というのは、パフォーマンス的に早いとは言えないと思っています。
もっとレポートのパフォーマンスを高める方法はないのか??、ということで、データソースにAppsheetではなく、Appsheetが参照しているスプレッドシートをデータソースとして直接指定した場合も試してみました(設定方法はデータソースがAppsheetの場合とほぼ一緒なので割愛します)。
また、スプレッドシートをMicrosoftのOneDriveに置いたAppsheetをデータソースに設定した場合とも比較してみました。
結果をまとめた表は以下の通りです。
Googleドライブに配置したスプレッドシートを直接参照するのが一番早いことが分かりました。
終わりに
今回はAppsheetとLooker Studioを接続してみました。
Appsheetで作成したデータ自体は、ダーティデータがないという意味でLooker Studioで分析するのに適していますが、Looker Studioに設定するデータソースとしては、パフォーマンスの観点ではスプレッドシートを直接参照するのがよさそうです。
また、スプレッドシートの配置場所としては、やはりGoogleのサービス同士ということで、Googleドライブの方が相性は良さそうです。
ちなみに今回は紹介しませんでしたが、Appsheetをデータソースに設定した場合は、Appsheet上で設定した仮想カラムをディメンジョンや指標に使うことができます。そういうニーズがある場合はデータソースにAppsheetを指定してもよいかと思います。
今回のブログは以上です。
Appsheetでアプリを開発して、実際のビジネスの結果を蓄積したデータは宝の山と言えると思います。
このブログを参考にしていただき、ぜひデータ分析への第一歩を踏み出しましょう。何か有益な示唆が得られるかも知れませんよ!!
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