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ATC Journal

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龍谷大学社会学部・椿原ゼミによる読書案内とエッセイ。
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#LGBTQプラス

性的マイノリティはなぜ、カミングアウトをするのか。

[紹介書籍]砂川秀樹(2018) 『カミングアウト』朝日新書. 「カミングアウトは、伝える側と伝えられた側との関係が作り直させる行為だ。いや、作り直される行為の始まり、という方が正しいだろう。なぜなら、カミングアウトは伝えればそれで終わり、というものでもないからだ。」(p3) 筆者は冒頭でこのように語る。  カミングアウトをする側はもちろんのこと、された側の反応、態度などからも互いに相手のことを改めて知るのだ。さらに、性的マイノリティの当事者には、カミングアウトの先に伝え

LGBTを読みとくための「ツール」

(紹介書籍) 森山至貴(2017) 『LGBTを読みとく ─クィア・スタディーズ入門』ちくま新書.  「あなたはセクシャルマイノリティに対する偏見がありますか?」こう質問されると、ほとんどの人は、「偏見はありません。」と答えるだろう。しかし、本書の表紙には、「セクシャルマイノリティを見下す心が見え隠れする人がよく使う枕詞は『私はセクシャルマイノリティに対する偏見を持っていませんが……』です。」と書かれている。つまり、セクシャルマイノリティを無意識に傷つけてしまわないために、