ライシテは、フランス独自の概念にあらず
〔紹介書籍〕ボベロ、ジャン(2009)『フランスにおける脱宗教性の歴史』三浦信孝・伊達聖伸 訳、白水社文庫クセジュ.
〈ライシテ〉とは何なのか?それについて、しばしばムスリマのスカーフ問題と絡めて、信教の自由の抑圧という観点から批判的な論調で語られ、あるいは「フランス独特の厳格な政教分離」と形容される場合がある[1]。しかし本書によれば、ライシテは本来、教会と国家が協力関係になることを防止し、市民の自由と権利を保障すること、宗教についていえばむしろ信教の自由を確立すること