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東京#15
唯一、嫌われても良いと思っている人がいる。
友人Aとカテゴライズしている彼は、本当に酷い人間だ。アイロニストな彼は世界のあらゆる事を小馬鹿にしている。しかしながら、彼なりの芯はしっかりと通っているので、ある意味論理的というか、話していて飽きることはない。
僕は他人に好かれたいと思っている。それは自分の本性を知っているからで、それを見せてしまう事で、嫌われてしまうのではないかと酷く恐れている。
だけど友人Aに対しては例外だ。
もはや何を話そうが、それらを全てうわべである。
だからあえて気を使う必要もない。偶然に任せて、面白いことが舞い込んで、なんとなく集まる休日がちょうどいい。きっと彼も同じように思っているはずだ。歪んではいるが、そういう意味で僕は親友だと思っている。もし僕が死んで、それが彼の耳に入ることがあっても、彼は鼻で笑って皮肉を言うだろう。
もちろんそれで良い。