東京#19
こんな時代だから、誰がどんな悩みを抱えているかは分からない。どんな明るさの言葉をかけよう。
相談を受けている時、常に考えている事だ。
「大丈夫だよ」「私がついてるから一緒に頑張ろう」「分かるよ、分かる」
確かに励まされはするが、眩しすぎる。心の何処かで追い込んでいる感覚がある。時には暗がりに居たい時もあるだろう。なので、相談を受けているときは、ツマミをゆっくり回すような思いで、言葉の明るさを調整する。それでも僕は傷つけてしまう事もあるし、結果的に嘘になってしまった約束だってある。
今日、ファミレスで店員さんに荒っぽい言葉で対応する男性がいた。店員さんの去り際、男性の向かいに座っていた女性が小さく頭を下げた。その姿を店員さんは見ておらず、きっと店員さんの心の中にはトゲトゲした言葉だけが残っていることだろう。優しさというのはきっと見えにくいもので、気づいた頃には通り過ぎているものかもしれない。来年、僕は出来るだけ人の優しさに目を配ろうと思う。他人が見落としてしまうような優しさに気がつけば、その人が救われるかもしれない。
僕は今日、母親に「今年は帰省出来ないなぁ」と連絡を入れた。案の定寂しがる母ではあったが、どうか僕の優しさに気づいてほしい。いや、それはおこがましいか。やはりツマミの調節は難しい。
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