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【レビュー】終わりよければ EL最終節 レアル・ソシエダ - PAOK

ヨーロッパリーグ(EL)のリーグフェイズも遂に最終戦を迎える。
相手はEL常連、ギリシャのPAOKテッサロニキ。

レアル・ソシエダはここまで3勝1分3敗、勝ち点10の18位
仮にこの試合で負けても、かなり運が悪くない限り、決勝トーナメントPOプレーオフ進出圏内(9〜24位)でのフィニッシュとなる。

なお、PAOKの順位はソシエダより1つ上の17位で、状況はほぼ同じ。
互いに、勝って順位を上げられればプレーオフでほんの少しだけ有利、というのはある。

でもソシエダはそうした理由以上に、公式戦3連敗中という嫌な流れを断ち切るために、勝利が求められる。


EL前節、ラツィオ戦はこちらから。



チームコンディション

アイエンは前節のレッドで出場停止。


スターティングメンバー

ソシエダはターンオーバーを敢行かんこう
PAOKの方も、中心選手であるトップ下7番コンスタンテリアスを温存。

試合展開だけでなく、順位や他会場の途中経過も考慮して余力を残しておく感じが最終節っぽい。


試合結果

 2ー0

得点者:オスカルソン *2

チームスタッツ

数値は FotMob.com より

ビッグチャンス7!

シュート位置

前半

xG: 0.63

後半

xG: 1.36

個人スタッツ

攻撃陣が躍動している。



試合内容

PAOKのシステム

まずはPAOKの攻撃時4−2−3−1のシステムについて。

狙いは左右で異なる。
左サイドは左SB21番ラーマンが高い位置を取り、左WG11番タイソンがハーフレーンに下りてくるのが基本パターン。

ただし、左WG11番タイソンがいた大外のスペースを使うのは、必ずしもSB21番ラーマンではない。時にCF71番ブランドンが流れてきたり、CH22番シュヴァーブが飛び出してくることもある。

ソシエダは右SBオドリオソラが左WG11番タイソンへのマンマークに執着しすぎると、最終ラインに穴ができてしまう。


右サイドは右SB19番ジョニーが中に絞るのが特徴的。

大外へのパスコースを開ける。
前が開けば右CBがそのまま持ち運んでくることもある。

そしてセンターラインの手前ぐらいから、前を向いている時は積極的に裏のスペースを狙ってくる。

裏への抜け出しは2人でということも多く、それぞれの走り始めの位置が異なるせいでディフェンス側はなかなかオフサイドが掛けづらい。

というのが右のパターン。

なお、先ほどの右SB19番が中に入ってくる動きは、ビルドアップのやり直し局面でもよく見られる。

オスカルソンがGKまでプレスを掛けに行くと…

右SB19番ジョニーがマークのバレネチェアを引き連れて行くため、サイドでCB16番ケンジオラにフリーで受けられてしまう。
こうなると、またしてもオスカルソンが追いかける羽目に。

(渋々感満載のオスカルソン)

これは前半4分のシーン。
ソシエダの最初の大ピンチと、GKマレーロのスーパーセーブに繋がる。

そして何度もこの形で走らされたことで、オスカルソンはGKからCB19番ジョニーへのラインを警戒。前半ATアディショナルの幻のゴールにも繋がる。



修正に次ぐ修正

そんなPAOKに対してソシエダは、左SB21番ラーマンへのマークがなかなか定まらない。

後ろ(黄色エリア)は1人余ってる

ベッカーを前に出してCB5番へのプレスに当てると、ブライスが2人(22&21番)を見ることになる。

でも前述の通り左SB21番ラーマンは上がっていってしまうし、逆にDMF22番はボールを引き取りに下りていく。

前半9分。
左SB21番ラーマンにフリーで前進を許したところで、修正を試みる。

ならベッカーじゃなくて、ブライスを1列前に出してみるとどうなるか。

ベッカーはそのまま左SB21番ラーマンのマンツー。
そうなるとスビメンディも前に行かざるを得ないため、OMF2番カマラのマークは後ろに預ける。必然的に後ろは同数。

この状態で、PAOKの左WG11番タイソンの動きにオドリオソラがついていくと、まんまとやられかねない。

というわけで、その後に再度修正。

中盤4人をダイヤモンドにし、ゾーンで構えることで解決した。
当然ハイプレスにはいけないが、ベッカーが絞っているため、PAOKの左WG11番タイソンが顔を出すスペースも潰しやすい。後ろも1人余っている。

なお、このダイヤモンド型はセットした段階のみのものになる。
スビメンディとマリンの2人でPAOKの中盤3人(2&22&27)を見なくてはならない以上、2人の位置関係は縦並びにも横並びにもなっていく。

PAOKが攻撃の主眼をサイドに置いているということもあるが、スビメンディとマリンの連携の良さも際立ち、ここでの数的不利の影響を感じさせることはまるでなかった



スムーズな攻撃

ソシエダのビルドアップに対してPAOKは4−4−2。

PAOKの前線2人(2&71番)はなんとなくスビメンディへのパスコースを消す意識を持っていたが、普段のリーガなんかと比べればマークはだいぶゆるめ。

そのため、スビメンディがわりとビルドアップに絡める。
しかもPAOKの4−4−2は中央にコンパクトな形を基本としているため、ソシエダはサイドを変えつつ縦に急がなければ、前進はさほど難しくない

前半20分近くになると、PAOKはスビメンディをつかまえられてないことを踏まえてか、ディフェンスの形をマイナーチェンジ。
横並びだった中盤をこちらも前後にずらして4−1−3−2へ。

明確なスビメンディ担当を置くことで、前線2人のディフェンスをシンプルにする。

ただ、これがあまりハマらない。
スビメンディへのマンマークにより、今度はDMF27番オズドエフがブライスとマリンを見る格好になっている。

そのためブライスが引き取りにくる動きに、すぐさま対応できない。

ソシエダとしては、別にスビメンディがマークされててもブライスが前を向けるなら、それはそれで問題なしといったところ。

PAOKのプレス強度が高かった序盤こそなかなかリズムを掴めなかったが、次第にテンポ良くパスを回せる展開に。
さらに、後半に入ってPAOKの中盤が間延びしてくると、ビルドアップ〜前進というフェーズでは全く苦戦するところは見受けられなくなった。

そして前進までが上手くいっていることで、ゴール前に掛けられる人数が安定して多い。クロスがメインだったこの試合では、ボックス内の人数は多ければ多いほど良い。

7つものビッグチャンスを作り、多くの決定機を外したが、もっともっと点が取れていてもおかしくはなかった。



決勝トーナメントPO進出

これにてリーグフェイズの全試合が終了。
ソシエダは4勝1分3敗で、最終順位は13位だった。

思えばELは、ターンオーバーとの兼ね合いが難しい試合ばかりだった。
時に思わぬ敗戦もありながら、時に手痛い完敗もありながら、それでもなんとか勝ち進んでくれた。

まぁもう、とにかく嬉しい。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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