見出し画像

【レビュー】右サイドの連動 EL第6節 レアル・ソシエダ - ディナモ・キーウ

直近4連勝と波に乗るレアル・ソシエダ。
新戦術が見事にハマり、これからどんどん勝ち星を積み上げていきそうな勢いを感じる。

EL第6節となる今回の相手は36位、ディナモ・キーウ。
現在16位のソシエダは、決勝トーナメントにストレートイン(8位以内)するためにも勝ち点3が欲しいところ。


ソシエダの新戦術について解説してます



チームコンディション

オスカルソンが帰ってきた。
パチェコはお休み。

スビメンディとバレネチェアは招集されたものの、レガネス戦で負った怪我の大事を取って、この試合の登録メンバーからは外れる。
(試合当日の登録人数は23人まで)


スターティングメンバー

UEFAが試合前に出した予想フォーメーション

ディナモ・キーウの3バック型のビルドアップに対して、ソシエダがどういうマンツーを組んでハイプレスを掛けるのかが見どころ。
ちなみにEL第1節ニース戦では、相手の3バックに対してハイプレスを掛けることが出来なかった。


試合結果

 3ー0

得点者:オヤルサバル*2、ベッカー

チームスタッツ

数値は FotMob.com より

攻守に渡って完璧。

シュート位置

前半

位置、本数、ゴール数とどれを取っても申し分ない。
被シュートはPA外からの1本のみで、こちらも完璧。

後半

個人スタッツ

PrgPは相手陣内で、ゴール方向へ10m以上のパスを送った回数

オラサガスティが躍動。
スベルディアのPrgPに、積極的に縦を目指すチームの方針が見て取れる。


試合内容

マンツーマンの組み方

なにはともあれ、まずはマンツーマンの形の確認から。

現在のソシエダのシステムは、(攻)ロングボール&カウンタープレス&(守)ハイプレス。攻守の肝はプレスであり、マンツーのペアが定まらないことにはペースが握れない。


ディナモ・キーウのベースは5−4−1。

ソシエダの攻撃に対しては、1人前に出して5−3−2。

5−4−1はローブロックの時

攻撃の局面では、右WB20番カラヴァエウを前に出して4バックを形成。

3バック型じゃなかった…

やや右肩上がりの布陣になる。

これに対してソシエダのマンツーはこう。

試合開始直後から一切ずれることなくハイプレスがハマる。
正直、もうこれで守備面の話は全部終わってしまうくらいに安定する。

というわけで、ひとつだけピックアップ。

前半11分。
ディナモ・キーウのゴールキックのシーン。

MF91番がボールを引き取りに行くところを、オラサガスティがぴったりとマーク。
ディナモ・キーウはこの動きにより生まれたスペースを狙う。

ベッカーのプレスバックでマイボールに。

ディナモ・キーウの陣形が、ソシエダの左サイド側に偏る感じだったので、ベッカーもいつも以上に守備の意識を携えていたように思える。


オフェンスの話に行きます。


右サイドの連動

ディナモ・キーウのディフェンスはゾーンとマンツーの併用。

ソシエダのビルドアップ局面に対しては、CHセンターハーフ6番がウルコをマンマーク。その脇を1人ずつゾーンで守っている。
ブライスのマークは左SH15番とCB3番が担当。ブライスが15番のゾーンにいれば15番が、ライン間にいれば3番が受け持つ。

そんなディナモ・キーウに対して、ソシエダはブライスのポジショニングできっかけを作る。

ブライスのマークを2人で分担していることを逆手にとって、どちらが行くか迷わせるポジションを取る。

SH15番が来ればアランブルがフリーになり、CB3番が来れば久保が中に入ってスペースで受けるといった感じ。
おそらくオヤルサバルも裏を取る動きを見せているはず。(見切れている)

ディナモ・キーウは後ろに人数が余っている分、CB3番が出てきやすい傾向にあるが、それゆえに最終ラインに穴が生まれやすい

こちらは前半16分。
アランブルがボールを受けたのでSH15番がプレスを掛けにきたところ。

アランブルからのパスを受けられる位置にブライスがいるため、やっぱりCB3番が距離を詰めてくる。この動きを久保もアランブルも認識できているため、新たに生まれるスペースを的確に狙えている。


続いて24分。
久保が中央レーンのライン間に顔を出してきたところ。

ブライスが上がってきていないので、CB3番はゾーンを重視して久保へのプレスに行かない。久保をマークしていたWB44番も、大外にアランブルがいるせいでプレスに出られない。

久保はあっさりとターンして前進、この流れから2点目に繋がった。


最後は前半27分。
今度はオヤルサバルがCB3番の前に立ってピン留め。ブライスのマークを外させる。

CB4番ポポウはゾーン対応のため、ブライスはライン間でフリーの状態。
先ほどの久保の時もそうだったが、中央レーンのライン間はCH6番がウルコのマークに出ていく関係で、かなりスペースが生まれやすい。

スベルディアはここから右の久保へ展開。

久保が引いてきて受けることで出来た裏のスペースに、オヤルサバルが流れ、今度はオヤルサバルがいたスペースが空く。そこにブライス。

こうした右サイドでのポジションの循環と連動により、多くのチャンスを作れていた。
ディナモ・キーウのプレスが甘かったというのは多分にあるだろうが、それを差し引いても、見事な崩しだらけだった。


マッチレビューは以上です。
後半はディナモ・キーウが3バックに切り替えてきたりと、一応の変化はあったものの、ソシエダもペースをゆるめていたので割愛。


総評

この試合は直近の数試合と比べて、相手陣内でボールを保持する時間が多かった。シーズン前半にもこのような展開の試合は何度かあったが、ここまで多くのチャンスを作れたことはない。

相手がポゼッションで攻めてくるチームならカウンターで、相手が引いてカウンター狙いのチームならポゼッションで崩す。
そしてどちらのスタイルのチームであっても失点はしない。

そんな強いチームになってきている気がしてならない。

次節は首位のラツィオ

真価が問われる。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!