【レビュー】散々な試合の原因を何に求めるか 第4節 ヘタフェ - レアル・ソシエダ
ソシエダは前節のアラベス戦に敗れ、現在1勝2敗。
中3日でのアウェイゲームとなる。
対するヘタフェは前節ベティスとの試合が延期になったことを受け、中7日とかなりフレッシュな状態。
(ベティスがECLのプレーオフとブッキングしたため。なおベティスは勝利したので、ECL出場が確定した。)
前節、アラベス戦はこちらから
チームコンディション
移籍市場が閉幕。急務とされていた9番には、コペンハーゲンから期待の若手、オスカルソンが加入した。
バレネチェアとパチェコは万全ではないながらもメンバー入り。
スチッチが右足の違和感を訴え、登録されているものの出場はなし。
新CBのアゲルドは国際移籍証明書が間に合わなかったため出場不可。
待望の9番!
やっぱり期待してしまいますね。
スターティングメンバー
アランブルを左SBに置き、ハビ・ロペスを休ませる。
ワントップにはサディクが今季初先発。
試合結果
0ー0
過去イチひどい試合となった。
チームスタッツ
シュート本数の差もさることながら、相手陣内でのパス本数にエリア内タッチ数と圧倒的な差を付けられている。
なぜこんなことになったのか。
試合内容
アルグアシルの苦渋の決断
試合開始早々、ソシエダは最終ラインからのビルドアップを放棄し、ロングボールを放り込む展開にシフトした。かなり疲労が溜まっていたことを考慮し、試合前から用意していたプランだったと思われる。
そもそもの疲労の要因
アルグアシルだってやりたくてやったわけではなかっただろう。
ただスビメンディは体が重そうで、プレーにキレがない。パチェコとスベルディアはそもそも怪我明けだ。ヘタフェのハイプレスを回避できそうになければ、リスクを考慮し、ロングボール主体の攻撃に切り替えるのも分からない判断ではない。
ワントップに置くサディクが、1節2節と意外にもハイボールに競り勝つシーンを見せていたことも頭にあったかもしれない。
ただやはり空中戦はヘタフェの土俵だった。
勝敗を分けた直接的な原因
結論から言うと、散々な内容となった直接的な原因はデュエルにある。
ソシエダの中盤は全体的に背が低く、ブライスとサディクも含め、みな空中戦が得意ではない。でもそれは身長や体格差を考えれば当然の話であり、想定内の結果であったはずだ。
想定外だったのはロングボールを弾かれた後、セカンドボールの奪い合いで全くボールを収められなかったことではないだろうか。セカンドボールを収めて保持に繋げたいソシエダに対し、ヘタフェは保持にこだわらず、とにかく前線に思い切りよく蹴り返してくる。ヘタフェの方が意図するプレーの難易度が低く、またその展開に慣れている。迷うことなくプレスに集中できていたし、ルーズボールへの反応も早かった。
こうしたセカンドボールへの姿勢の違いもあって、地上戦でのデュエルにおいてもヘタフェに軍配が上がった。特にブライス、スビメンディの数字がかなり悪く、このあたりもソシエダのペースにならなかった要因と思われる。
なおバレネチェアに関しては、試合後に怪我の再発が発表されたが、スタッツを見るに試合中からすでに影響していたようだ。
何をやってもダメだった可能性
地上戦でもこれほど圧倒されていたのだから、いつものように後方から丁寧なビルドアップをしようとしても、結局ヘタフェのプレスに捕まっていた可能性は大いにある。
もちろん、サッカーには流れがあるので、ロングボールを控えていたらまた違ったゲーム展開になっていただろう。もしかしたら主導権を握ってテンポ良くゴールに運べたかもしれないし、あるいは大量失点に繋がってしまっていたかもしれない。
実際ソシエダは途中からまたロングボールを控え、ビルドアップを試みるシーンも何度かあった。しかしヘタフェのハイプレスをかいくぐるだけのキレとスタミナはなく、ミスを連発。最後までヘタフェの一方的な状況は変わらなかった。
結果としてアウェイ戦をドローで終え、勝ち点1を得れたというのは奇跡と言う他ない。
また同じことが起きる?
サブの扱い
ひどい試合ではあったが、長いリーグ戦の中ではそんなことがあっても仕方がない。それよりも今後、また同じことが起きないか?という根本的な問題をちょっと考えてみたい。
今節の内容が、過密日程とその疲労からきたものだとした場合。日程はどうにもならないので、その中で疲労をどう軽減できるかがポイントになる。
現在のソシエダはとにかく怪我人が多い。移籍の関係で一時的にスカッド(全登録選手)が定まっていなかったという事情もある。これらはある意味、仕方がない。居るメンバーでやりくりするのはどのチームにおいても同条件だ。
そこで気になるのがサブの扱いに関して。
パブロマリンは厳密には下部組織登録なのでサブではないが、ここまで全試合に帯同している。オラサガスティとウルコを含めたこの3人のMFはプレシーズンマッチで、比較的長いプレー時間を与えられた。
にも関わらず第4節終了時点でこの出場時間ということは、イマノルの求めるレベルに達していなかったのだろう。
もちろんスビメンディやブライス、セルヒオ・ゴメスと比べれば実力的に物足りない部分があるのは否めない。でもウルコもオラサガもこれからの選手だし、やる気は人一倍強いはずだ。
スビメンディやブライスと同じタスクを与えるのではなく、違う何かでシステムに組み込むことができれば、主力の負担軽減に繋がる。
たとえばウルコは21-22シーズンをCBとしてセグンダで35試合に出場した経験がある。189cmと身長にも恵まれている。5バックで守備重視にシフトする時のセンターに置いたりとか、なんとなく可能性があるような…
起用方法への言及はあまりしたくないのでここまで。
ザハリャンとスチッチの回復を待ちつつ、サブの活躍にも期待していますということで。
とりあえずイマノルさんを信じます
リーガの1シーズンは38試合、これにELとコパデルレイを合わせれば、今年も年間50試合を超えるだろう。これから増えてくる過密日程をどうターンオーバーしていくかはソシエダにとって大きな課題だ。
主力を酷使しすぎれば、またこの試合のようになってしまいかねない。
昨シーズンもなかなか結果の出ない時期や、内容の良くない時期もあった。
それでも結果6位でフィニッシュし、5期連続でUEFAの大会への出場を決めたアルグアシルの手腕を、とりあえず今はまだ全然信じている。
次は代表ウィークを挟んで、マドリー戦ですね。
だいぶ時間が空くのが救い。ケガ組がしっかり治りますように。
次節はこちらから。
サディクの話とかしてます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。