【レビュー】どっちつかずの守備 第20節 バレンシア - レアル・ソシエダ
年明けから3連勝中のレアル・ソシエダ。
リーガでは順位を争うビジャレアルに競り勝ち、コパデルレイではしっかりと試合をコントロールしてラージョを下した。
チーム好転のきっかけとなったバルセロナ戦からは10勝1分2敗と、まさに順風満帆。
今節は、最下位に沈む名門バレンシアとのアウェイ戦。
バレンシアは現在、リーガで直近7試合も勝ちをあげられていない。昨年末にバラハ監督を解任し、チームを立て直している状況にある。
直近のラージョ戦はこちらから
チームコンディション
アランブルが累積により出場停止。
オドリオソラは万全でないながらもリスト入り。
スターティングメンバー
過密日程ということで、ここでターンオーバー。
まさかの3−5−2。
バレンシアにレンタル中のサディクは怪我によりベンチ外。
試合結果
0ー1
チームスタッツ
ポゼッションのソシエダと、速攻のバレンシア。
シュート位置
前半
後半
個人スタッツ
バレンシアのゲームプラン通りにいってしまった印象。
試合内容
3−5−2の守備
まずはソシエダの守備時3−5−2が、バレンシアの攻撃時4−3−3とどのように噛み合うのかというところから。
バレンシアは攻撃時に両SBを高い位置に置き、攻撃参加させることが多い。
なので3−5−2でWBを置くと、マンツーがきれいに噛み合う。
でも実際は全然うまくいかない。
前半9分。
右WG16番ロペスの下りる動きにパチェコがついていく。すると釣り出される格好になり、裏にスペースを与えてしまう。
さらには右WG16番ロペスが大外に開いた場合。
パチェコがこれに対応すると、ボックス内に穴ができる。それを嫌ってか、SB20番フルキエの担当だったWB12番ハビ・ロペスのプレスバックに任せるという対応。これでは間に合わない。
ゾーンとマンツー併用と言えば聞こえはいいが、残念ながら前半のソシエダのディフェンスは、どっちつかずと形容する方がしっくりくる内容だった。
逆にバレンシアの方は、いくつかのシンプルなルールが徹底されていたように思う。
そのひとつが、ビルドアップの局面でのこと。
バレンシアはソシエダがハイプレスではめ込もうとする時に、ソシエダのWBの位置によって対応を変えている。
WB(12番ハビ・ロペス)がSB(20番フルキエ)にプレスを掛けてこようとしていれば、やはり大外のスペースを狙ってロングボールを放り込む。
でも、バレンシアのSBに対してソシエダのWBがプレスに来ない場合は、ロングボールを蹴ってこないことが多い。
ソシエダとしてはWBがハイプレスに参加すれば逃げられるし、参加しなければ大きく蹴ってこないしで、なんとも歯がゆい。
しかもソシエダはゾーンとマンツーを併用しているため、バレンシアのWGに外で張られると、その対応にWBが当たらなくてはならないことが多い。
そうすると、バレンシアのSB(14番ガヤ)はフリーになり、前進を許すことになってしまう。
堅守を誇るソシエダの見る影もない。
ターンオーバーとか言ってられない
1点のビハインドを負ったソシエダは、後半からいつもの4−3−3に。
勝手知ったる布陣ということで、ディフェンス面での問題は無くなる。
たまにバレンシアの迫力あるカウンターを受けるが、1点を追いかけて前掛かる以上、多少は仕方ない。
バレンシアが自陣で4−4−2のミドルブロックを構える局面では、ソシエダはライン間に人を集める。
もちろんシンプルにライン間への縦パスを狙うというのもあっただろうが、なにせバレンシアのディフェンスもコンパクト。
なので、少し位置を下げたWGを経由してポケットに侵入、という狙いも併せ持っている感じだった。
ソシエダはブライスやスビメンディを絡めた良い攻撃を何度か見せる。ゴールに近付いている感じはあるも、なかなか決定機までは作れないという状況が続く。
そんな最後の局面を打開するための切り札として、後半15分に久保とバレネチェアのサイドアタッカー2人を投入。
さらには後半30分近くにオヤルサバルとスチッチも出して、ほぼ主力組という構成になる。
だが、執念ともいえるようなバレンシアの守備の前に、ついぞ得点を奪うことは出来なかった。
総評
最下位のバレンシア相手に勝ち星を落としたのはとてもとても痛い。
とはいえ、ソシエダは過密日程の真っ最中。
次のミッドウィークにあるELラツィオ戦の相手と重要性を考えれば、このバレンシア戦をターンオーバーにあてるは当然だった。
結局は久保もオヤルサバルもブライスもスビメンディもみんな出てしまったが、そもそも中2日の後にまた中2日なんていう過密日程が悪い。
そんな中でも白熱した試合を見せてくれたのだから、負けてしまったけど文句は全くありません。
バレンシアに一言
今季前半戦、第8節で対戦した時のこと。
開幕から調子の悪かった当時のソシエダは、EL含め6試合未勝利の状況だった。しかもその間で2ゴールのみという絶望的な得点力不足。
でもバレンシア相手に、今季初の複数得点で勝利したところから流れが変わったと思っている。
バレンシアも同じようにリーガ7戦未勝利だったが、今回勝ったことでここから流れが変わるかもしれない。
今月からはサディクもお世話になっているので、今後もこっそり応援させていただきます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。