【レビュー】停滞するビルドアップはどこに向かうのか? 第7節 マジョルカ - レアル・ソシエダ
第5節マドリーとの試合から中3日。
ヨーロッパリーグの日程との兼ね合いで、前倒しとなった今回の第7節はアウェーでマジョルカと戦う。
ソシエダの戦績はここまで1勝1分3敗と全然ふるわない。
それでも、マドリー戦では課題のビルドアップに光明が見えた。今節はミッドウィーク開催。ターンオーバーで中盤のメンツが替わる中、果たしてどうなるか。
前節マドリー戦はこちら。
インテリオールの新しい連動性についても解説しています。
チームコンディション
ハビ・ロペスがハムストリングを傷め欠場
わりと軽症とのことでひと安心。
スターティングメンバー
アイエン8ヶ月振りのスタメン。長期のリハビリ、おつかれさまでした!
捻挫で休んでいたオヤルサバルも復帰。こっちは早すぎて逆に心配。ちゃんと治ってます?
中盤にはトゥリエンテスを起用し、セルヒオ・ゴメスは右WGに。
試合結果
0ー1
チームスタッツ
シュート位置が遠い。
ミドルも良いけど、やっぱりまずはゴールに近い位置からシュートを打てる形を作れないと、継続的な得点力アップには繋がらない。
ちなみに1つだけ、ゴールにやたら近いところから打っているのは久保のシュート。さすが。
個人スタッツ
トゥリエンテスは不調みたいですね。
ソシエダのビルドアップの謎
ロングボール放り込みまくり作戦
ソシエダは前節マドリー戦で上手くいっていたビルドアップの新スタイルを捨て、4節ヘタフェ戦と同様、ロングボール放り込みまくり作戦を敢行。
スベルディアがボールを持てばトゥリエンテスが、アゲルドが持てばスチッチが裏を狙う。もどかしいのはトゥリエンテスもスチッチも常に高い位置を取っているところ。
ここから右SBへ展開した場合。
スビメンディがサポートに寄ってくる。
トゥリエンテスはまたしても裏を狙って走り出す。
SBから裏へのボールが出なかったとしても、これはまだ良い。
トゥリエンテスが相手の最終ラインを引っ張り、オヤルサバルやセルヒオ・ゴメスにスペースを作っているという点で理解できる。
問題が生じるのは、再びCBを経由して逆サイドへ展開した時。
今度はスチッチが裏を狙って走る。
中盤のサポートはやっぱりスビメンディが担わなければならない。さっき右に移動したばかりなのに今度は左へ。しかも移動距離的に誰よりもポジショニングが遅くなる。
アイエンはスビメンディが来るまでパスコースが1つ少ない状況。これにより攻撃が停滞する。せっかくサイドチェンジしたのに、先に準備が整うのはマジョルカという事態。
スビメンディを待たないでバレネチェアに縦パスを入れたとしても、27番ナバーロと18番サンチェスに挟まれた時のサポートがいない。
つまり残された選択肢はスチッチ&オヤルサバルを狙うか、CBに戻すか。
そしてCBに戻した後は…
シンプルに放り込む。
そういうチームでしたっけ?
なのでもしこれをやるなら、もう一方のインテリオールが下りてきた方が良いように思う。
スビメンディも多少の自由が得られるし、流動性も生まれる気がする。
いや
要はマドリー戦で見せた釣瓶の動きをまたやってよっていうだけです。
なぜロングボールを放り込むのか
そもそもの理由について考えてみたい。
先のヘタフェ戦では、CBから前線に何度もロングボールを放り込んだ結果、ソシエダの合計シュート数は1。過去イチひどい内容の試合となった。
それでもヘタフェ戦に関しては、なんとかその理由を説明できた。
今節では、その意図さえ見えない。
ロングボールを放り込んで起点を作りたいのなら、まずオヤルサバルの起用に疑問が生じる。サディクが競り合いに強いとは言えないが、怪我明けのオヤルサバルよりは、9番プレイヤーとして獲得したオスカルソンを先発させるのが順当だろう。
でもそうはしなかったのだから、別の意図があるはずだ。
・ 予想1
オスカルソンの得意とするプレーはまだよく分かっていないが、この状況で怪我明けのオヤルサバルを出した方が期待できるのは何かと考えると、前線からのチェイシングくらいしか思い浮かばない。
つまりロングボールを放り込むが、それには競り勝てなくても良い。
マジョルカの最終ラインを低い(ゴールに近い)位置に追い込み、マジョルカのビルドアップをハメ込むプランだったのではないか。
結局そんなシーンは見られなかったが、これなら2人のインテリオールを同時に上げている理由にも一応の納得がいく。
・ 予想2
もうひとつ考えたのは、スビメンディの疲労軽減としての策。
中盤のビルドアップをすっ飛ばしてしまい、スビメンディのタスクを減らそうという意図。
スビメンディは第1節を除き、今節まで全試合フル出場している。(第1節は後半45分のみ)
トータルプレイ時間は495分(/全540分)で、フィールドプレイヤーとしては最長。替えの利かない選手であるのは間違いないが、それにしても酷使しすぎている。
ちなみにスビメンディは23-24シーズンのソシエダで最も出場している。
なのでスビメンディ酷使はある意味、平常運転ではある。
ただ今夏はオフにEUROもあった。
加えて今季はメリーノがいない。
その分、負担が増えていることは想像に難くない。
たとえば負けている試合の終盤に、スビメンディが裏抜けを狙ってスプリントする姿をよく見かけるが、あれは去年メリーノが担っていたプレーだ。
このまま去年と同じペースで出続けるのは無理がある。
そうしたスビメンディの負担軽減策として、ビルドアップ放棄、ロングボール多用の戦術を模索している可能性はないだろうか?
書いてて思うが、たぶん違う。
すみません、よく分からないです。
停滞するビルドアップはどこに向かうのか?
今後の試合の注目ポイント
どちらもあまり見たくはないが。
その他さらさらっと
ロングボール作戦は前半30分前後から少しずつ頻度が低くなっていく。
スビメンディがディフェンスラインに落ちて両SBを上げる形や、スチッチが下りてビルドアップを手伝う形など、試合の中で少しずつ改善が見られた。
後半からは久保が出場し、攻守にプラスの変化をもたらす。
ただ、結局は無得点。
xG(ゴール期待値)は0.59だし、ビッグチャンスは0。
抜本的な改善が無ければ、今後のリーガと、いよいよ来週から始まるヨーロッパリーグにも不安が漂う。
今回のレビューはあまりやる気が出てこないのでここで終わります。
チャンピオンズリーグも見たいですし。
最後まで読んでくださったのに申し訳ありません。
次節バジャドリー戦
ELニース