【レビュー】ターンオーバー失敗? EL第2節 レアル・ソシエダ - アンデルレヒト
24-25ヨーロッパリーグ(EL)第2節。
レアル・ソシエダの相手は、ベルギーリーグで最多となる34回の優勝を果たしているRSC(Royal Sporting Club)アンデルレヒト。
ソシエダのEL第1節ニース戦はアウェイだったが、今回はホーム。
アンデルレヒトがPot4枠であることも考慮すると、ソシエダにとって、リーグフェイズで最も勝っておくべき一戦となる。
ネックなのは3日後にリーガ第9節、アトレティコ戦を控えていること。
なのでターンオーバーしながら勝ってくれるのが最高だが、あれもこれもは虫が良すぎるようにも思う。
前節、ニース戦はこちらから
チームコンディション
スベルディアが休養
アンデルレヒトは、ベルギー黄金世代の1人フェルトンゲンが怪我により欠場。ちょっと見たかった。
スターティングメンバー
EL前節ニース戦に引き続き5バック。
ついにスビメンディも休ませ、考えうる限りのターンオーバーをはかる。
試合結果
1ー2
チームスタッツ
ボックス内タッチ数は前半が8で、後半37。
シュート位置
個人スタッツ
久保とバレネチェアは後半だけの出場にも関わらず PrgC が高い。サイドを攻撃の起点に出来ていたことが伺える。
試合内容
余剰な3CB
前節ニース戦同様、3CB+2WBで臨んだソシエダ。
そのビルドアップの形から確認していく。
アンデルレヒトは4−4−1−1。トップ下に位置する29番ストロイケンスが、トゥリエンテスをマンマーク。そのためソシエダの3CBに対して、アンデルレヒトは20番バスケスしかいない。
ソシエダの最終ラインは3対1と圧倒的な数的優位の状況。
パチェコとアリッツのどちらかには常にプレスがかからないので、ここからビルドアップをはかる。
パチェコが前進すると23番リッツか36番ドレイヤーが来る。かと思いきや、そうでもない。パチェコの前進に誰が対応するのかといった明確な決まりはないようだった。この辺りは右SB25番フォケットも含め、アンデルレヒトのサイドにおける守備設計はかなり甘かった印象がある。
前半16分のシーン。
アイエンが左の大外から下りてくる際に、アンデルレヒトのSB25番を引き連れてくる。それにより空いたスペースにマリンが抜け出すというパターンが何度か綺麗にハマっていた。
余談ながら、パブロ・マリンは今季プレシーズンマッチから積極的に裏抜けを狙う姿を見せていた。ただそのいずれもが、シンプルにロングボールで合わせようとする形に終始し、相手の脅威とは成り得ていなかった。
この試合のようにWBやWGと連動できれば、やはり効果的な動きであることは間違いない。以前よりも流動的に攻撃を展開できている最近のソシエダなら、マリンの裏抜けやポケット侵入といった動きも今後はより効いてくるに違いない。
それと、先制点ナイスゴールでした。
ゴール前でドフリーとはいえ、かなり難しいシュートだったはず。
素晴らしい。
話を戻して、もう少し。
前半20分。
またもアイエンが右SB25番を引っ張った裏をマリンが狙う。それに釣られて出来た中央のスペースにオスカルソンが下りてくる。
中盤の人数が多いはずのアンデルレヒトに対して、上手く連動しスペースを作れている。
その他、アンデルレヒトが中央でコンパクトな時にはロングボールも。
ブライスが裏抜けを狙って走り、アンデルレヒトの左SBエンディアイェを絞らせる。その裏をオドリオソラが突く形。
本来ソシエダは3CBのところで2人多いため、中盤以降はアンデルレヒト側に数的優位が生まれるはずではある。だがそれを感じさせないほど、賢く的確に攻撃を展開できていた。
試合の流れを完全に握り、追加点も時間の問題かと思われた。
集中力を欠いた一瞬
前半27分。
一部のアンデルレヒトサポーターが暴徒化。
観客席からの異様なざわつきがスタジアム全体に響き渡るなか、試合は中断することなく続き、その一連の流れから失点してしまった。
失点直前のシーン。
ソシエダはなんと8人でゴール前をブロック。
いったん試合を止めることだけしか頭になかったのだろう。まるで周りが見えていない。この後なんとかシュートを弾き返すものの、2度3度とセカンドボールを拾われ続け、結局攻め切られてしまった。
もちろんソシエダの選手の判断が悪かったとは思わない。
ピッチとは関係のないところで起きた行為が、試合に大きな影響を与えたことがただただ腹立たしい。
ちなみにアンデルレヒトのサポーターは、前科持ちとのこと。
去年のCLベンフィカ戦といい、直近のマドリードダービーといい、こうした一部の過激なサポーターの行為には本当にうんざり。
ソシエダはペースを握り始めていた矢先での失点。
さらにはその後の一変した展開から、アンデルレヒトに再現性のないスーパーゴールも決められ逆転を許してしまう。
下の図はアタックモメンタムという攻撃の勢いみたいなものを、スタッツを元に機械的に可視化したもの。
アンデルレヒトの1点目が、勝敗を左右する分岐点となったことが伺える。
後半 4−3−3
余裕がなくなったソシエダは後半頭から3枚替え。
いつもの4−3−3に戻す。
そうした判断からと思われる。
案の定の展開ではあったものの、意外だったのは、アンデルレヒトが久保にマーク1枚で対応してきたこと。
アンデルレヒトは中央に寄った4−4−2ブロックの位置関係をなるべく崩さないことを優先。ソシエダの両WGに対しては、その位置によってSHとSBが分担するという対応を取ってきた。
そうしたこともあり、ソシエダは久保バレネの両WGにボールを収めやすかったし、確実にゴールにも迫れていた。
それでもディフェンスの枚数自体が多い守備を崩し切るのは容易ではなく、後半16本ものシュートを放ちつつも、xG(ゴール期待値)は0.63と決定的なシーンはあまり多くはなかった。
ターンオーバー失敗?
試合内容はどうあれ、大幅にスタメンを変更して負けたんだからターンオーバーは失敗だった、と結論付けるのはまだ早い。
そもそもなんのためのターンオーバーだったのか。
その最たる目的は、次のリーガ第9節でアトレティコに勝つためだ。
アトレティコだって1週間前にマドリードダービーを戦い、ミッドウィークにはCLベンフィカ戦があった。大幅なターンオーバーをすることなく、アウェイで大敗(0-4)している。肉体的にも精神的にも疲労が蓄積されているに違いない。
一方のソシエダは次もホーム。
移動による疲労はないし、スビメンディもスベルディアもスチッチもしっかり休んだ。
アトレティコ相手には19-20シーズン以来、リーガで勝ち星を上げられていないが、今度は違う。
ソシエダに分がある。
アトレティコ戦で勝ち点3を得て、ELリーグフェイズを24位以内で抜けられれば、結果的にターンオーバーは成功だったと言えるのではないか。
大丈夫、いける。
きっとやってくれる。
そのアトレティコ戦。
EL第3節 M・テルアビブ戦。
終わりです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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