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家の猫が死んだ。このところ実家に帰ってすらいないので触ることすらなかったが、ひまな時やストレスレベルが高くなってきたとき頭の中でその湿気った温かさを思い出していた。最近はすっかり衰弱していたらしく、ある日死体が家の前に置かれていたらしい。親父からその知らせを聞いてとても悲しかった。おれはなんて自分勝手で都合のいい生き物だろうとも思った。遠い誰かの訃報を聞いても涙すらでないというのに、数え切れないほどの哺乳類の屍肉を食べてきてるというのに、身近だった哺乳類の死を悼んで感傷ポルノに浸っている。僕の右手はいったい何匹分だろう。僕の身体は何羽分だろう。ぼくの名前すら知らない小さな魂よ、小さな可愛らしさよ。おやすみなさい、おやすみなさい。お腹が空いてしまいました。君に会いたいとおもう。今は君を忘れるよ。いつか思いだすから。もう起きなくていいんだよ。お疲れ様!