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【プロボノレポート②】プロボノ参加でITを学ぶ⁈(一般社団法人トピア様)

せんだい・みやぎソーシャルハブ(以下、ハブ)では、プロボノを受け入れたい団体とプロボノに参加したい人たちをマッチングするコーディネートを行っています。

※プロボノとは
自身の経験や知識を生かしてボランティア活動や副業を行うことで社会貢献活動に携わることを指します。

そのなかで、一般社団法人 東北情報機器再生推進機構(略称:トピア)では今年の5月からプロボノの受入れを始めました。
前回のプロボノレポートでは、受入団体代表へのインタビューをお伝えしました!

今回は、プロボノとして参加しているSさんにお話を伺い、参加したきっかけや実際に参加してみた感想などを語っていただきました!

※現在は募集終了しておりますが、参考までにトピアのプロボノ募集につきましてはハブのホームページでご覧いただけます。


1.トピアについて

使えなくなったパソコンを修理して、できるだけ長く使う、処分するにしてもできるだけ資源化する活動を行っています。東北地方で年間約100万台もの使用済パソコンが発生し、そのうち8割はゴミとして廃棄されており、何の資源にもなっていません。
今回、プロボノが参加している「みやぎせんだいパソコン病院」に寄せられる相談事を解決するだけでなく、技術的な修理を行って使えなくなったパソコンを再生し、少しでも廃棄物を減らす取組みをしています。

2.プロボノに応募した経緯

Q. 今回、トピアのプロボノに応募した理由は何ですか?

本業はビルの設備管理の仕事をしていますが、以前からITやパソコンに興味があり、自主的に勉強を続けていました。
ただ、IT業界は未経験の求人が少なく、また本業で働いている会社も副業禁止だったため、まずはボランティアでIT系の業界に関われないか探していたところ、今回のプロボノ募集を見つけて応募しました。
パソコン病院での相談員としての活動を通じて、実際に手を動かしながら、コンピュータの仕組みが学べそうだと思いました。
また、日本の古い伝統である「禅」に興味があり、お金をもらわないで労働と向き合う事によって働くことの本質が見えそうという期待もありました。
 
Q. 初めてのプロボノへの参加で、不安に思っていたことはありましたか?

コミュニケーションスキルに自信がなく、パソコンのトラブル相談の接客に不安がありました。
ただ、あらかじめマニュアルが完備されていたので、実際の現場では、マニュアルに沿ってお客様に質問をしていけば相談ができるため、今のところスムーズに接客できています。

3.コーディネート、マッチングについて

Q. プロボノ申込後、コーディネートやマッチングで助かったことはありますか?

専門的なコンピュータに関するプロボノ活動は今回のトピアの求人だけだったのでまさにベストマッチングな募集をしてくれました。
ハブのプロボノ担当の名久井さんと一度面談をした後、トピアの代表の男澤さんとも一度面談がありましたが、スムーズでした。
プロボノ参加が始まった後も、名久井さんは、しばしばパソコン病院まで来てくれて、何か困ったことがないか、現状はどうかなどフォローをきめ細やかにしてくれるので助かっています。
ボランティア中の突発的な事故や損害賠償などに備えて、ボランティア保険にも加入させてもらえました。バックアップ体制がしっかりしている印象です。

今はお一人で相談を受けることも多く、代表の男澤さんからも信頼が寄せられています!

4.実際のプロボノ活動を通じて①

Q. プロボノ活動に参加してみて、何か発見や得られたものはありますか?

思いの外、本格的なことをやらせてもらえるので驚きました。
当初はパソコンのお悩み相談の対応のみと思っていましたが、パソコンの部品交換をして、より動作速度を上げてハイスペックにするメンテナンスもしています。
そのために、廃棄予定のパソコンを支給してもらって、それを分解し、一から組み直す練習もさせてもらったりもしています。
野球でいうところの素振りの練習のように、組み直しの作業を繰り返し行うことで、コンピュータに関する実践的な知識がとても深まりました。
教科書には汎用的な事しか書いてないのですが、実際に組み直すと、どのようなネジを使っているか、各部品の機能と構造、筐体の分解方法、複数のネジの管理の仕方、パソコンのオーバーホールのやり方などの具体的なノウハウが身につきました。

また、代表の男澤さんと先輩スタッフの方が、一から設計して作られたデータを消去する機械のレベルが大変高くて驚きました。
こんな見たこともない、優れた機械を設計できる素晴らしい方々と一緒に仕事ができることがうれしいです。
コンピュータについて、講座を受けて学ぼうとするとお金がかかりますが、このプロボノの業務を通じて多くの知識と経験を得ることができているので、プロボノに参加してよかったと感じています。

高性能の機械に触れられるのも、活動の魅力の一つのようです!

5.実際のプロボノ活動を通じて②

Q. プロボノ活動で困ったことや想定外の事態などはありましたか?

シフトの調整など、本業との両立が大変に感じる時があります。
休みの日を使ってのプロボノなので、時間のやりくりが大変です。
幸い、トピアに関しては1か月に何回は来てなど強制はさせられていないため、自発的なタイミングで活動できています。
金銭の支払いが生じていたら、雇用関係なので上下関係もでき、制約も多いと思いますが、プロボノだと、ある程度、自由度もあって自分のやりたいことができます。
プロボノを通じて多くのことを学べるので、プロボノ参加者にも利益があり、受入団体側にも利益がある対等なwin-winの関係が築けているのではないかと感じています。

他には、現場で一緒に活動する人の数が少ないことも悩みです。
代表の男澤さんも本業があるため、細かい質問を逐一聞くのはなかなか難しい面もあるので…
本当は、プロボノ同士で分からないことを助け合いながら解決していけると、もっと学びが深まると思っています。

あと、個人的な失敗談として、パソコンを再起不能にさせてしまったこともありました。
もう使わないパソコンを練習目的で支給してもらったのですが、Windowsの ソフトウェアアップデートをしようとしていた際、オフラインにして作業をしないといけないことを知らず、オンラインでアップデートしてしまったんです。
そうすると、設定が自動的に書き換えられてしまってログインすらできない状態になってしまい…パソコンを廃棄せざるを得なくなりました。
苦い経験ですが、これも実際にパソコンを触れているからこその経験かなと思います。

ただ、大変なことはありますが、男澤さんとはスムーズにやりとりする事ができています。
よくお昼ご飯をごちそうしてくれて、皆で中華料理を食べながら、談笑することもあります(笑)

6.今後の展望

Q. 今後の活動を続けていく中で、どういったことをやりたいですか?期待していることなどはありますか?

現在は、Linux(リナックス)の研究に着手しています。
男澤さんは今後、Windowsの OSが有料化していく可能性に備えて、Linuxをパソコン業界のスタンダードにしたい考えがあるようです。
Linuxだとソフトウェアに課金しなくても無料で使えるので、より多くの人たちにパソコンを長く使ってほしいという男澤さんの想いが叶います。
実現にはパソコンの部品を熟知して部品交換の技術を上げておく必要があるため、パソコンを分解して組み直す日々の練習が欠かせません。
また、パソコン本体の色は黒か灰色が多いと思うのですが、現在、その塗装の塗り直しを自主的に学んでおり、黒や灰色→赤色や青色に変えたりしています。
赤色や青色に塗装し直し、また、中身の部品もHDD(ハード・ディスク・ドライブ)からSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)にして、OSをWindows からLinuxに変えることで、完全Linuxのパソコンとして、トピアから多くの人の手に渡っていけば良いなと思っています。
あと、WindowsとLinuxでは操作感が違うため(例えばスタートボタンがWindowsでは左下にあるが、Linuxでは右上にあるなど)、今後Linuxを操作するための教室を開いていくことも必要です。
これらの計画は、難易度は高いですが、挑戦しがいがあると思っています。

今後ますますの発展を夢見て、日々の活動に励んでいらっしゃいます!

Q. 他のプロボノプロジェクトやNPO団体の活動にも参加されたいですか?

現在は、本業とトピアで手一杯ですが、いずれは他のプロボノプロジェクトにも参加してみたいです。特に、本業がビルの設備管理の仕事なので、土木建築業界にも興味があります。
プロボノは、実務に近い経験を積むことができ、今回のように裁量の範囲が広いと、経験の幅が広がると感じたので今後も参加したいです。


7.プロボノ参加を検討している方へメッセージ

自分で考え、実務に近い経験を積むのにプロボノは最適だと思います。
小さな団体だと、運営責任者との距離も近く、裁量を持って活動することができます。
知識に自信が無くても、興味があったらまずは気軽に問い合わせてみてほしいと思います。

\インタビューへのご協力ありがとうございました!/


8.インタビューを経て

この方のお話を伺っていると、プロボノは本当にさまざまな関わり方があり、プロボノ自身の視野を広げたり、成長にもつながるものだと感じました。
今後、幅広い方々が参加できる、課題解決のキッカケとなるプロジェクトを作っていきます!
自分はそんな役に立つスキルや経験は持っていない…と感じている方でもご自身では気づかない強みがあるはずです。
まずは、ご相談からでも、プロボノや社会貢献にご関心をお持ちの皆さんからのご連絡をお待ちしています。

今後も、プロボノに関わる団体や参加者の現場の声をお届けしていきます!
次回もどうぞお楽しみに!

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