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【キーパーソンレポート#2】相澤 寛人(あいざわ・ひろと)さん/シティタワーあすとレジデンシャル町内会会長

特集【せんだい・みやぎ発!地域の「キーパーソン」に聞いてみた!】
せんだい・みやぎソーシャルハブでは、仙台市を中心に、地域や社会貢献活動で活躍されている「キーパーソン」にインタビュー。今の活動や大切にしてきた想い、今後どんな人の力が必要かなどを語っていただき、みなさんに、「キーパーソンレポート」としてお届けします。


相澤寛人さんプロフィール

1983年生まれ。宮城県名取市出身。
2023年5月、太白区あすと長町の高層マンション「シティタワーあすとレジデンシャル」で町内会を設立し、会長を務める。



1|加入率9割以上!無理せずつながる新時代の町内会

ー「シティタワーあすとレジデンシャル町内会」の活動について聞かせてください。

地上24階建て、総戸数391戸のマンションに2023年5月に設立した町内会です。全戸の9割以上にあたる、371世帯が加入しています。
運営メンバーは役員5人で、会費は無料です。市からの助成金を原資に、広報誌の配布といった普段の活動から、季節のイベントや防災訓練の企画運営などを行っています。

直近で盛り上がったのは、2024年12月に企画したクリスマスイベントです。近くの音楽教室のオーケストラを招いての演奏会や、フォトスタジオの出張撮影会などが盛況で、住民同士の交流だけでなく地域の方とつながるきっかけにもなりました。
以前のイベントに参加した小学生が運営側に回ってくれたり、住民から新しい企画のアイデアをもらったりと、嬉しい反響も増えています。

マンション1階で行ったクリスマス会は大盛り上がり!

ー加入率がとても高いですね。どのような工夫をされているのですか?

設立時、加入したい世帯を募るのではなく、「加入したくない」世帯に手を挙げてもらいました。加入しない意思表示をした世帯以外、会員になっていただいていますが、仙台市のガイドラインなどで問題が無いことを確認しています。
加入世帯数ついては、行政からの助成金を頂く際に必要な数字として捉えているだけですので、町内会の加入有無で住民を区別していることは何もありません。

その分心がけているのは、マンション住民が敬遠しそうなことを一切しないということです。例えば、私達は会員に名簿の提出を求めていません。個人情報を取得せず、全て部屋番号だけで管理しています。会費を無料としているのも、共益費などで日頃から経済的な負担が大きく、新たな支出を嫌う住民感情を考えてのことです。結果として個人情報や会費を管理する手間やリスクを省くことができ、活動のスリム化にもつながりました。

2024年11月に行った防災訓練の様子

2|設立の動機は「行政との連携の必要性」と「個人的な興味」

ーそもそも、なぜ町内会を設立したのですか?

管理組合だけでは作ることが難しい、行政とのつながりや地域との窓口を作りたいと考えたからです。マンションで生活する上では、正直、管理組合があれば何とかなると思います。

ただ、住民同士のつながりや、マンションの外側の地域も含めたコミュニティ形成を目指すには管理組合の限界も感じ、特に行政との連携を図る上で、町内会を作ったほうが良いと考えました。

でも、一番大きかったのは、個人的な興味です。
仕事柄、起業家の方とお会いすることが多いのですが、会社を立ち上げた人はたくさんいても、町内会を作った人は聞いたことがありません。
「町内会を作ったら、ネタになるぞ」という不純な動機が働いて、今に至ります。

ー町内会設立に反発は無かったのですか?

もちろん、提案した時には、消極的な意見があったのも事実です。理解を得るために重視したのは、町内会を作るメリット・デメリットをはっきりと提示することです。

設立趣意書では、従来の町内会活動の「面倒くさい」「メリットが無い」といったマイナスイメージも記したうえで、町内会が無いことで行政や近隣からの情報が得られないといった「機会損失」が起きていること、新たな時代に合った町内会を作り、ゆるやかなコミュニティ形成を行うことで、マンションの資産価値を向上させることを強調しました。

設立にあたって、仙台市への聞き取りや先行事例の調査も行いましたが、各地で起きている「町内会の課題」を起こさないような運営の仕方を整えたつもりです。


3|地域とマンションをつなぐ「ハブ」の役割をこれからも

ー活動で大切にしている想いを教えてください。

何よりも、強制しないことです。
義務感や負担を感じさせること無く、ゆるやかにつながっていけたらと思っています。イベントを開くと本当に多くの方が参加してくださり、とてもにぎわうのですが、普段は悩みのタネである「騒音」に関する苦情はほとんどありません。

「マンションにこんなにたくさんの人が住んでいたなんて!」「活気があっていいね!」という好意的な声が多く、住民同士で話せる機会にもなっているようです。まだつながれていない方にも情報は別け隔てなく発信しているので、興味のあるところからつながれれば良いですね。
また、協力してくださる住民や地域の方々と、ウィン・ウィンの関係を築くことも常に意識しています。

ーこれから取り組みたいことや、実現したいことは何ですか?

これからも、ゆるやかにつながれる「ハブ」の役割を果たしていきたいと思っています。つながるきっかけになるように、住民それぞれの興味に刺さるコンテンツも考えていきたいですね。
これまではファミリーの多い住民層を考えて、子ども向けの企画を多く打ち出してきましたが、今後は同じく多いと思われる「夫婦だけの世帯」とどうつながるかが課題です。以前、ペット自慢のコーナーを作ったのですが、思っていたほど刺さりませんでした。最近知り合った住民の方に「コーヒーのイベントはどうか」と提案してもらったので、地域の喫茶店に協力を得られないか相談しています。長町地域にはたくさんの商工業者の方がおられますし、住民にも様々な職業やスキルの方がいらっしゃるので、今後つながりを増やしていければ良いですね。

ーそのために、どんな方の力が必要になると思いますか?

地域とマンションとをつなぐ人ですね。まずは町内会の内部で育てていきたいと考えており、役員には女性リーダー養成講座を受けるなどしてスキルを磨いている者もいます。

他にも、本当はコミュニティづくりに関わりたい、何かしてみたいという方もおられるはずです。そういった方には、まず、ご自身の趣味や興味のある分野から始めてみることをオススメします。
アイデアが皆にハマらなくても問題ないので、自分が何をやってみたいか、聞かせてほしいです。言い出しっぺが全部イチからやるのは大変ですから、運営のノウハウを持っている私たちがネタをいただく形で、一緒にやっていけたらと思っています。

もし「やってみたい」という思いを持っている方は、すでに動いている人のところに行ってみるだけでも、実現にグッと近づくと思いますよ!



この記事を書いた人
佐々木 佳(プロボノ)
フリーランス取材記者、仙台市出身・在住。東北地方の新聞社で記者として勤務後、メディアベンチャー、社会福祉法人広報を経て現職。仙台・宮城のマニアックな話題を楽しむWEBメディア『ウラロジ仙台』編集部でも活動中。


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