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【キーパーソンレポート#3】加藤 隆(かとう・たかし)さん/一般社団法人ながまちマチキチ 代表理事

特集【せんだい・みやぎ発!地域の「キーパーソン」に聞いてみた!】
せんだい・みやぎソーシャルハブでは、仙台市を中心に、地域や社会貢献活動で活躍されている「キーパーソン」にインタビュー。今の活動や大切にしてきた想い、今後どんな人の力が必要かなどを語っていただき、みなさんに、「キーパーソンレポート」としてお届けします。

加藤 隆さんプロフィール

1968年仙台市生まれ。大学卒業後、1991年ゼビオ株式会社に入社。2013年にゼビオアリーナ仙台に配属となり、営業・施設運営の兼務とともに地域連携事業「長町秋のフェスティバル」の企画・運営に携わる。
2019年に退職し長町商店街の事務局に入局。 2021年4月、まちづくり会社・一般社団法人ながまちマチキチを設立し、商店街や地域、学校と連携しながら、長町のまちづくり活動を行っている。


1|長町商店街と連携し、地域の子どもから大人までのコミュニケーションの場を作る

ー一般社団法人ながまちマチキチ(以下マチキチ)の現在の活動について聞かせてください。

仙台市太白区長町地区を拠点に、地域活性化を目指してまちづくりを行っています。「マチキチ」という名前は「まちの基地」・「まち+吉」・「マッチング基地」の3つの言葉に由来しています。
メンバーは専任の私と、各プロジェクトのリーダー4名の計5名で、長町商店街と連携しながら、長町地区でのイベントの開催やコミュニティスポットの運営などを行っています。

まず代表的なイベントの例として、「ナガマチトレジャーウォーク」や「たこっこ市」が挙げられます。

「ナガマチトレジャーウォーク」は2023年から年に3回ずつ実施してきた、家族対抗型の謎解き街歩きイベントです。長町商店街とその周辺に設けられたチェックポイントに立ち寄りながら、謎を解いて宝箱を探し、その中に入ったコインを持ち帰ります。
お店の人に声をかけるとヒントを教えてもらえたり、チェックポイントに史跡を含めたりと、地域の商店や歴史といった長町の魅力を再発見する機会になっています。

地図と宝箱。レトロな風合いを出すために地図は1枚1枚、珈琲で加工
(写真提供/加藤隆さん)

「たこっこ市」は、長町地区の蛸薬師如来堂の境内を会場にした市です。2024年にスタートし、これまでに4回開催しました。内容は、フリーマーケットや津軽三味線ワークショップ、むかしあそび、ブックトレード等です。
マチキチでは毎回、メンコ、お手玉、コマ回し、竹馬などで遊べるむかしあそびのブースを開設しています。地域の子どもからお年寄りまでが集まってきて一緒に遊ぶ、世代を超えた交流の場になっています。

「たこっこ市」開催の様子(写真提供/加藤隆さん)

ーイベント運営には人手が必要かと思いますが、どのようにされていますか?

大学生ボランティアの力を借りています。マチキチでは、周辺の大学にボランティアを募り、手を挙げてくれた学生たちでボランティア団体「ながまちマチキチユースチーム」を立ち上げました。現在14名が登録しています。(2025年1月現在) 
イベントごとに声がけし、その時に参加できる学生たちに手伝ってもらっています。
 
例えば「ナガマチトレジャーウォーク」では、2回目の開催からチェックポイントの配置やコースを考える企画から準備、当日の運営まで行う、頼もしい存在です。
 
ボランティアを通して若い人たちの活躍の場を作るとともに、月に1回食事会を行うなど、彼らが集まるコミュニケーションの場を作ることも大切にしています。

ーイベントの他にはどのような活動をされていますか?

コミュニティスポット「SABORI-BA GISUKE(サボリバギスケ)」の運営です。

SABORI-BA GISUKEの外観

「SABORI-BA GISUKE」は、仕事や家事・育児などに頑張る人がフラッと立ち寄って息抜きできる「サボリ場」をコンセプトとしています。
飲んで食べて語らう居酒屋風のスペースで、2023年9月に長町駅近くの飲食店だった場所をリノベーションしてオープンしました。
 
Facebookページから予約いただければどなたでも来ることができます。
長町商店街をはじめとする地域の方、行政関係者、町づくりに関心がある方などが訪れる、所属を超えたコミュニティの場です。時に地域や町づくりについて熱く語り合っている姿も見られます。


2|人が集まれる場をつくり、街のにぎわいにつなげる。

ー長町地区のまちづくりに関わり、「ながまちマチキチ」を立ち上げるまでの経緯について聞かせてください。

私が長町地区と関わり始めたのは、2013年からです。当時、ゼビオ株式会社の社員として、長町駅前にオープンしたばかりの施設「ゼビオアリーナ仙台」に配属されました。地域連携事業として、近隣の長町商店街と連携したイベント「長町秋のフェスティバル」の企画・運営をきっかけに、商店街の活動やイベントをお手伝いするようになりました。
 
それから数年にわたり長町商店街と関わっていく中で、徐々に地域が抱える課題を体感しました。
長町地区は交通の要所となるJRや地下鉄の駅があり、隣接するあすと長町地区や長町南地区には大型店商店街が点在するなど、仙台市内の中でも人口が増加し、発展している地域です。
 
しかし、長町商店街がある長町地区では店主の高齢化が進み、イベント運営や商店街連合会未加入のお店のケアといった業務に思うように手が回らない状況になりつつありました。
 
今は何とかなっていても、この状態が続くと商店街の活気が失われ、立ち寄る人が少なくなるという悪循環に陥るのではないか。手を打つなら今だ、という気持ちが強くなりました。
 
それでまずは、商店街で手が回らなくなっている業務をカバーする組織が必要と考え、2019年にゼビオ株式会社を退職し、長町商店街連合会の事務局に入りました。
 
さらに2021年、より多くの地域活動の受け皿になれるように法人化し、商店街の事務局機能を兼ねた一般社団法人ながまちマチキチを設立したのです。

ー活動で大切にしてきたことや想いについて教えてください。

これまでの商店街との活動を通して、「町のにぎわいには、継続的に人が集まってコミュニケーションを取れる場が欠かせない」という確信があったので、「場づくり」にはこだわってきました。

コミュニティスポット「SABORI-BA GISUKE」はもちろんのこと、イベントもコミュニケーションの場となるので、自分たちが無理のないように、継続できることをやってきました。

SABORI-BA GISUKEにて、「ながまち市民大学」のコンセプトを考えるグループワーク
(写真提供/加藤隆さん)

そのような想いで積み重ねてきたことが実を結び、多くの人とつながることができたのが一番の成果です。

例えば、地元の長町商店街からは、「トレジャーウォーク」のチェックポイントを置かせてもらったり、「たこっこ市」のむかしあそびブースで使う「コマ」を提供してもらったりと協力をいただいています。

また、「トレジャーウォーク」の参加者が、次の回には友達を誘ってリピートしてくれたり、マチキチで主催する別のイベントに来て声をかけてくれたりと、つながりが広がりつつあります。

こうした点と点の小さなコミュニティが広がることで街に来る人達が増え、街がにぎわうという循環につながればいいなと思います。

あすと長町中央公園で、新しい形のブックイベント「おそとde読書」を開催
(写真提供/加藤隆さん)


3|イベント当日のお手伝いや、チラシ作りからでも。地域のために何かしたい気持ちがある人募集中!

ー今後、実現したいことや力を入れたい活動は何ですか?

今まで開催してきたイベントやコミュニティスポットの運営を続けながら、人が集まれる場を広げていきたいです。

例えば、今考えているのが名付けて「ユース100人プロジェクト」。「ながまちマチキチユースチーム」のメンバーを現在の14人から100人に増やすというものです。さらに高校生向けのジュニアチームを立ち上げ、若者が活躍する場かつ、彼らのコミュニケーションの場を作り出していけたらと思います。

また、「SABORI-BA GISUKE」に続く2つめの拠点も計画しています。「本と学びと体験」をテーマとした施設で、長町商店街の店主を講師にしたワークショップの開催や、一つのボックスにオーナーが選書した本を置いてもらい利用者が自由に借りられる「一箱図書館」などの構想があります。

ーそのために、どんな方の力が必要だと思いますか?

私たちだけでは限りがあるので、「長町地区のために何かをしたい」という気持ちがある方に、ぜひお手伝いしていただきたいです。

「家庭や仕事の事情で毎回来られない」「地域のイベントに関わりたいけれど、きっかけがない」という方も大歓迎です。イベント当日の運営、チラシ作りだけでも、参加できるところから一緒にやっていきましょう。

思い切って行動に移してみると、今までになかった経験や人との出会いなどがあると思います。
イベントへの参加や、「SABORI-BA GISUKE」への立ち寄りなど、「ながまちマチキチ」に関わるきっかけはどのような形でも構いません。お待ちしています!



イベント情報
最新の開催情報は団体のInstagramをご覧ください。

URL

Instagram
https://www.instagram.com/nagamachi.machikichi/

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https://www.facebook.com/nagamachi.machikichi


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この記事を書いた人
鈴木 千絵(プロボノ)
宮城県育ち・在住。2018年仙台市市民活動サポートセンターで「市民ライター講座2018」を受講後、市民ライターとして東北の住民発ニュースサイト「TOHOKU360」などで取材記事を執筆。地域活性化や地域課題解決に取り組む人たちや取り組みについて発信している。




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