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ラオスの最先端アーティストと『エコ・スタジオ』

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ラオスの首都ビエンチャンの中心部から車を走らせ、南東に40分。

途中、舗装がなくなってからはガタガタ道を進んでいくと、のどかな景色の中に、突如、周囲とは明らかな異彩を放つカラフルな家が現れる。

ラオスのアニメーション監督であり、アーティストでもあるSouliya Phoumivong(スーリヤ)さんの自宅兼スタジオだ。

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スーリヤさんは、粘土を少しずつ動かして撮影することにより、まるで粘土が動いているかのように見せる『クレイアニメ』を作る映像監督。

彼が手掛ける子ども向け番組『My Village』シリーズは、国営放送にてラオス全土で放映されている。

ラオスに派遣された青年海外協力隊をはじめ、ラオ語を学びたい人もおすすめの、国民的人気アニメーションのようだ。

そして、ビエンチャン市内にあるラオス芸術大学(NIFA)のアニメーション学科で教鞭も振るう。

私がスーリヤさんと知り合ったのも、先週行ったオンラインワークショップも含め、ラオス芸術大学(NIFA)で行われている国際交流基金アジアセンター主催のアニメーションワークショップがきっかけだ。

そんなスーリヤさんの生徒からは、多くの優秀なアニメーターが育っている。昨年の映像コンペディションDigiCon6アジアの受賞者もスーリヤさんの生徒だった。

途上国ラオスの中で『アニメーション』という先鋭的な学科が存在しているのは、スーリヤさんの功績が大きいだろう。

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というのも、スーリヤさんはアニメーションを通じた彼自身の芸術家活動にも取り組んでいる。

ヨーロッパ諸国や国際連合児童基金(UNICEF)から助成金を獲得したり、オーストラリア・ブリスベンのQueensland Art Gallery/Gallery of Modern Artに招待、アウラ現代藝術振興財団の『水の越境者(ゾーミ)たち -メコン地域の現代アート-に取り上げられたりと、今、ラオスで最も活躍しているアーティストのひとりなのだ。

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そんなスーリヤさんの自宅敷地内には、アニメーション用のスタジオが3棟も連なっている。スタジオ内には、色とりどりの粘土で作られた人形たちやジオラマがところ狭しと並ぶ。

人形たちのあまりの可愛さに、見ているだけでワクワクしてしまうだろう。

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自宅兼スタジオには、ラオス芸術大学(NIFA)の生徒たちも住み込んで、共に制作を進めている。

学生たちにとっても、これ以上ない制作環境だ。

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カラフルな外観のスタジオを出ると、ニワトリが走り回り、バナナやイチゴを栽培する畑が広がっている。

まるでパーマカルチャーを実践した『エコビレッジ』だ。

エコビレッジとは
持続可能性を目標としたまちづくりや社会づくりのコンセプト。有機農法やパーマカルチャーの実践、スモールコミュニティ、持続可能性の追求する。

ラオスでは、イチゴを栽培する農家は少ない。
スーリヤさんは「イチゴは他の果物より高く売れる」と笑う。
その分、栽培も難しいようだ。

ここでは、アニメーションだけではなく、イチゴもクリエイティブしているのだ。

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スーリヤさんはヴィエンチャン郊外の農村の出身。

自分で絵を描いては川沿いで売っていたという苦労人の彼は、キャリアを自力で切り開いて今に至る。

アーティストだからといって、富裕層出身ではないのだ。

英語を独学で学び、コミュニケーションという武器を手に入れると、ラオスに滞在していたドイツ人のドキュメンタリー作家の下で通訳兼アシスタントになった。

そこで映像の基礎を一から学ぶ。

そのドイツ人が本国に帰る際、機材一式を譲り受けたというエピソードから、スーリヤさんが彼にかなり気に入られたことが伺える。

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その後、自ら申請書を書いて、日本の短期文化研修プログラムに参加した時に出会ったのが『クレイアニメ』だった。

以来、ラオスに戻ってからも独自にノウハウを研究し、クレイアニメの制作を続けている。

使用するのは、アニメ専用の日本製の粘土と決めているようだが、日本よりタイのバンコクで購入した方がなぜか値段が安いという。

日本人でも知らない情報だ。

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ラオスの首都ビエンチャンの郊外に、こんな素敵なアーティストが住んでいて、桃源郷のようなアニメーションスタジオがあるだなんて、まだ多くの日本人は知らないだろう。

しかしスーリアさんからは、今の日本が学ぶべき、本質を見出せるような気がしてならない。

ラオスのアートには、決して『途上』ではなく、『最先端』な価値を秘めている気がするのだ。

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