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カンボジアアートの父、逝く

「私は内戦の時代に育ちました。私が目にしたのは殺人と殺戮でした。しかし、絵を描くことで自分自身を表現し、気持ちを癒すことができました。そして、穏やかな気持ちになることができました。アートに助けられたのです。私にとって、アートは人生です。

『カンボジアアートの父』スレイ・バンダウル(Srey Bandaul)氏が、8月4日にCOVID-19で亡くなりました。49歳の若さでした。

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プノンペンより北西部に車で8時間、シェムリアップより西部に4時間にあるバッタンバンには、Phare Ponleu Selpakというアートスクールがあります。

絵画、音楽、デザインのみならず、アニメーションのコースもある総合アートスクールです。特に有名なのがサーカスコース。Phare Ponleu Selpakのサーカス団は世界的にも有名で、観光地シェムリアップに常設テントを持つだけではなく、世界中で公演も行なっています。

スレイ・バンダウル氏は、そんなカンボジアのアートの発信源Phare Ponleu Selpakの共同設立者でした。

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昨年WhiteCanvasを立ち上げる際にも、大変協力して頂きました。たくさんのアーティストをご紹介頂いただけではなく、ご自宅を改造したギャラリーやゲストルームも見学させてくださいました。

コロナが明けたら、ご自身でバッタンバンアートスポットをツアーしてくださるという話で盛り上がっていました。日本からのアートツアーの受け入れも、彼と一緒にできたらと思っていたので、本当に悔やまれます。

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Phare Ponleu Selpakで多くのアーティストを育てる教育者でもありましたが、彼自身も偉大なアーティストでした。

ノルウェー、フィリピン、タイ、オーストラリア、シンガポール、ニューヨーク、ロンドン、イスタンブール、ミャンマーなど、国内外で幅広く作品を展示しています。

ユーモアたっぷりに、モノ作りを楽しそうに語るスレイ・バンダウル氏はとても印象的でした。心からお悔やみ申し上げます。

最後に、スレイ・バンダウル氏のインタビューを翻訳しました。私自身も彼の背中を追って、カンボジアのアートの発展に少しでも貢献できたらと思います。

「ドローイングは、私の人生において常に強力なツールであり、Phare Visual Arts Schoolの歴史の一部でもあります。

1981年にタイの難民キャンプサイト2にいたとき、私は木の棒を使って地球上に仏教のイメージを描きました。また、キャンプで月に1回上映される中国映画のシーンからもインスピレーションを受けました。

Véronique Decrop氏(フランス人女性/Phare Ponleu Selpak設立者の一人)のアートクラスに初めて参加したとき、私は世界の観察に基づいて絵を描く方法を学びました。彼女がよく言っていたのは「見たものを描きなさい」ということでした。

現代のカンボジアの若者は、プロとしてのキャリアを築くために、より多くの選択肢を持っています。私たちの学校のカリキュラムを適応させ、仕事の機会を確保することが重要です。

学生たちには、技術的スキル、芸術に関する強力な基礎的・文化的知識、そしてプロ意識と創造性を持って与えられた問題を理解・分析・対応する能力を提供したいと考えています。私たちは、絵や芸術への情熱で結ばれた大きな家族のようになりました。次の世代に明るい未来が訪れることを心から願っています!」

"Drawing has always been a powerful tool on my life path and as part of the history of Phare Visual Arts School. When I was in the Thai refugee camp site 2 in 1981, I used a stick of wood to draw Buddhist images on the earth. I was also inspired by scenes from Chinese movies, played once a month in the camp. When I had my first class with Veronique Decrop, I learned how to draw based on observations of our world. “Draw what you see!” as she used to say. Today the youth have more choices when it comes to developing a professional career. It is important to adapt the curriculum of our school and secure job opportunities. We want to provide the students with a complete set of technical skills, a strong fundamental and cultural knowledge of the arts, and the ability to understand, analyse, and respond to a given problem with professionalism and creativity. We have become a big family, bound by the passion for drawing and art. I really hope a bright future is coming for the next generations!" "To me, art is life. I think art has helped me a lot because I grew up in the war period. What I saw was killing and slaughtering, however, I could express myself and heal my feelings through drawing. It helped me to feel peaceful.”


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