アメリカ大統領選を受けて
アメリカ大統領選の結果が出て、ドナルド・トランプ氏が再選を果たした。アメリカを追ってきた日本からすると、先行した国がどうなっていくのかを見ることには価値があるだろう。少しだが記す。
グローバルリベラリズムからの転換を志向
トランプ氏は国境を封鎖し、輸入品へ大きな関税をかけると言っている。自国第一という彼の思想が最も現れている部分であり、一見すると自国民を守る政策に見える。しかし、今の時代に自身は鎖国しながら、他国の良いところだけを吸うということがどれだけできるだろうか。輸入品の関税を上げるということは今は安い輸入品が高くなるということであり、彼を支持した貧しい労働者階級にダメージを与えるだろう。
貧富の差は縮小する?
一般に、リベラリズムの精神に基づいて規制を緩和していくと所得格差が広がっていくと言われている。今の日本でも間違いなくこれが進行しているだろう。
アメリカでも格差を感じた層がリベラリズムに反対すべくトランプ氏に投票したのだろう。しかし、彼自身は超が付く富裕層の人間である。リベラリズムをやめて大きな政府を目指すのではなく、富裕層への課税を減らし、格差を拡大させる方向に進むと予想している。そうであれば、イーロン・マスク氏が彼を支持したのは理にかなっている。そして、トランプ氏を支持した貧困層の方々にとってはなんと皮肉な話なのだろうか。
日本にいる身としてこの現象をどう見るか?
格差の拡大と自己責任論をどうしていくのかというテーマを真剣に考えるときが来たのではないかと思う。現在の日本は100年前を考えるととても治安が良く住みやすい国になっていると思うが、最近はだんだんきな臭くなってきているのを感じる。自己責任を強調すればするほど、そこから外れてしまった人を社会が包摂できなくなってしまう。日本で今まさに起きている無差別強盗は今までの政策の反動のように感じる。