【読書】事実はなぜ人の意見を変えられないのか-1
人は自分の信じるものしか信じない。信じるものの裏付けを探してさらに信じていくという「確証バイアス」があるが、本書では人間の脳の習性から影響力の与え方/受け方を解説している。
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1.「事実で人を説得できるか」
本書のタイトルを見て手に取った人にとっては、とりあえずの解説に当たりそうな章になっている。要点を絞りながら考えていきたい。
どこで子育てをするかパートナーを説得することはできるか
これは我々でも思考実験ができそうな問題だ。子育てについて多くの人が自分が育った故郷で育てるのが良いと思うだろう。しかし、パートナーとこの問題について言い争っても平行線になるだろう。子供も場所も分割できないから折衷案も見つけにくい。相手を攻撃する材料を探し続けることになる。
インターネットはバイアス増幅器
子育てに関する論議では相手に反対されればされるほど、自分の正しさを主張するためデータを集めていき確信を深めるという流れだった。それではインターネットはどうだろう。例えばGoogle検索では検索者の行動履歴や属性を見て検果を表示したり、広告を流したりしている。もっとわかりやすいのはSNSで、自分が賛同できそうな情報ばかりをフォローしていたら、いつの間にか自分が正しいことを裏付ける主張に囲まれるだろう。そうして自信を深めていくのだ。
確証バイアスを乗り越え、人を説得するためには
各々が持っている考え方は他の様々な考え方と独立しているわけではなく、複雑に絡み合っている。その信念に対して単に真っ向から対立してしまうと、相手は確証バイアスによってさらに自分の考えに固執してしまうだろう。それを避けるためには、複雑に絡んだ糸から「共通点」を探して切り口にしていくのが良いアプローチだ。相手が間違っている証拠を大量に浴びせるのではなく、相手に寄り添った情報を用いて相手が話を聴いてくれるようにするのが良いだろう。
ちょこっと感想
説得するときに自分が正しくて相手が間違っているという態度を取ってしまうことはあるあるだと思う。自分がそのような説得を受けたときは頑として反発するのに、自分が説得するときはそれをやってしまうなんて、人間は本能的に非合理的で愚かな選択をしてしまっているのだなあ。