プロDD・M ~その524

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

「ぜぇ…ぜぇ…逃げきった….」
「危なかったっすね…消し炭の魔女も本気で追ってこなくて助かった…..」
「…何奴!?」
 ソウチョウは、隠れた気配に気づいた。
「久しぶりだな」
「お前は……マルス!」


「コイケ、外を見てくれよぉ」
 ナオユの言葉に、コイケはにやりと笑った。
「戻ってきましたね、アッキー様……いや、アッキー」
 白の本拠地、正門の前に、居並ぶ屈強なアッキー軍団。
「今日、コイケの首をとる!!」
「来い、アッキー…私は逃げも隠れもしない。今日、貴様を王として据えていたことの責任を取る」
 打って出た白。両軍は正門前で大規模な戦闘を繰り広げた。
「ふん、雑魚に興味はない!Va!Vamos!さぁ行くぞ!!
 その戦闘の中をアッキーが突っ切っていく。
「アッキー様に続けェ!!」
 そして、その後を精鋭達が駆け抜ける。
 しかし、白の主戦力は全て中に待機していた。
「正門を抜けてくる奴を始末するのが俺の役目」
「あいつ1人だ!やっちまえ!!」
「1人……1人だからこそ強い。俺は白の幹部……ぼっち!!」
 幹部のオーラが向かっていくアッキー軍団を押し潰す。
「成程。ここはお前が守っていたか、シュウ」
「アッキー…最初から俺はあんたが気にくわなかった。無駄な過去をここで清算する」
「やれるもんならやってみろ」
「ふん!ぼっちで高められた俺のパンチ力は…..!!」
 シュウの拳に込められた力は、誰が見ても強力だった。
「アッキーさん!!」
 思わずライコが叫んだ。しかし、アッキーの表情は余裕そのものであった。
「ふっ…Metal the Apple!!」
「……!!」
 シュウの拳を、アッキーの硬い拳が打ち砕いた。
「ぎゃああああああああ」
「こんなところで止まってんじゃねぇ!!お前らァ!行くぞぉ!!」


「コイケ、やばいよぉ..!」
「……」
「アッキー軍団の勢い、止まりません!」
「……」
「どうすんだ!このままじゃ!」
「……」
「コイケ様!応答してください!コイケ様!」
「……」

 アッキー軍団の快進撃は続いた。
 そして、あっという間に、白は追い詰められた。
「コイケ、これが俺とお前の実力差だ」
「…….」
 その時、両サイドから残りの幹部が飛び出してきた。
「好き勝手にやらせるかよ!」
「アッキーさん!こいつらは任せて!アッキーさんはコイケを!!」
 ライコが分断すると、アッキーとコイケは2人きりの空間に入った。


 2人の空間の外。ライコは、しみじみと語る。
「アッキーさんの力は圧倒的だ。あの人が負けるはずがない…そう思ってたんですよね、ここに来るまでは」

 そして、その2人の対決は、同時に動くことで始まった。
「…!!」
「…!!」
 両者同時に前に出てぶつかり合う。
 互角。と同時に血が警告していた。遺伝子が告げる。この相手には己の全てを絞り出さねば勝てぬ、と。


 その一方でライコも、ムネッチ、ナオユと戦いを繰り広げていた。
「ちっ、約束だ、助太刀するぜ」
 ヨシケーが刀を抜き、ライコを助けようとするが、それをライコが制する。
「ヨシケー、俺の事はいい!お前は!」
 言いかけた時、ヨシケーの顔に蹴りがヒットした。
 そこにいたのはライチ。そして、ライチパーティーだった。
「白についたってわけか、ライチ」
「こちらにも事情がありましてね」
 ライチはそうなった元凶を思い出して、頭が痛くなった。
(そういえば、あいつはどこ行ったんだ?)

「あー、やはり戦場は気が晴れる。渦巻く怨嗟、血の匂い、最高…….」
「カエル…….」
「あぁ、大きな獲物を前にして、興奮が押さえきれないよ」
「それは麻呂も同じでおじゃる」
「ヒロマル、君とはもっと深く傷つけ合い、愛し合い、壊し合いたい」
 そばにいたイオリはわけのわからない言葉に困惑していた。
 そして、突然殴り合う2人に余計に困惑する。
 そんなイオリに気づいたのか、ヒロマルが助言した。
「痛みってのは怖がるもんじゃないでおじゃる。痛みってのは感じるもの。いわば味わうものでおじゃる…..」
「くくく、やはり思った通りだ、ヒロマルゥ!」
 カエルは子供のようにはしゃぎながらヒロマルを傷つけていく。
「自然と痛みが引いて、心地よくなるでおじゃる。いいか、痛みを感じるんじゃない、痛みを考えるでおじゃる」
「えぇ!?」
 イオリにはまだ理解できていない様子だった。
 そんなイオリも周囲の敵を次々と倒していく。
 その過程で、ヒロマルは続ける。
「お前はセンスはいいが、覚悟が足らないでおじゃる。覚悟ってのは努力でおじゃる。痛みを与える時は痛みを与える喜びを噛み締めるでおじゃる!」
 ヒロマルの振るった鞭が、カエルの身体を痛め付ける。
 すると、カエルも恍惚な表情でそれに応えた。
ディ・モールト、ディ・モールト非常に非常に良いぞッ!」

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