プロDD・M ~その511
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
マルスが過去へと戦いの場を移している間、現代では走馬灯戦争が大きく動いていた。
「よく眠れたかい?レジェンド」
「レジェンドちゃうわ!」
「ふふっ、調子が良さそうですね」
神父はふっと笑うと地図を取り出した。
「それか、いよいよだな」
「マルスが行方不明と聞きます。奴が戻る前にこの地図は完成される」
「くくくっ…やはり、一番の要注意人物は奴か」
「圧倒的な勢力を誇っていたスギコデパートを潰してくれるとは感謝ですよ。これで計画を進めやすくなった」
「4大組織……また悪どいことを考えものよな」
「東西南北を治める組織、それを我々が裏で牛耳り、金と力を手に入れる…..走馬灯戦争を餌にね」
「俺達になびかなかった連中は軒並み潰した。勢力図は一新されたわけだ」
「北の北極星、南の最南端…..奴らはいい線行ってたんですがね」
そこに1人の男が訪ねてきた。
「ちーっす」
「来ましたね…….ヨシケー」
「あのさぁ……この前の話なんだけど」
ヨシケーが言いかけた瞬間、レジェンドが、その目前に立っていた。
その拳は、ヨシケーの腰にある刀の柄の部分に当てられていた。
「!?」
「リタイアするか?」
「へェ~……」
ヨシケーの右手は刀を抜こうとしていた。
その一瞬をレジェンドは逃さなかったのだ。
「俺の居合を抜く前に止めたのはあんたが初めてだよ」
「俺を…試したのか?」
「はははっ、ちょっとした戯れさ~」
一触即発の空気を感じた神父が間に入って止めた。
「待て待て、せっかく決めた後任を潰す気か、レジェンド」
「レジェンドちゃうわ!」
緊張が走る。すると、辺りが急に熱くなった。
「私抜きで始めるなんて、つれないじゃない?」
圧倒的熱を纏った女が入ってきた。
「消し炭の魔女、やめろ。ここは戦う場所じゃない」
「あら?そちらのお兄さんからは殺気を感じるんだけど?」
「ヨシケーも納めろ。やりあおうってんじゃない。我々は仲間なんですよ」
その言葉を受けてヨシケーはひねくれた様子で答えた。
「手下の間違いじゃないか?」
「…….」
すると、そこにもう1人、男が入ってきた。
「おいおい、大事な話し合いだと言うから来たのに、戦争が始まっちまったのか?」
「コジオか。気にするな、じゃれあいだ」
「ふん、信じよう」
(北の悪美烈駆。あの男、危険かもしれんな…人の下に納まるような器じゃない)
アオクマ教会神父と、レジェンドの2人が密かに裏で糸を引く4大組織……北の悪美烈駆、東の状況軍団、南の灰かぶり、そして西の……
「この話を受けてくれるとは思わなかったですよ。我々の事を随分と敵視しているものだと思っていましたから」
「………時代が変われば考えも変わる。トップが変われば方針も変わる」
最後に入ってきた男は、表情を変えずに答えた。
「ふふふ…懸命な判断です」
それに対し、神父は満足そうに笑った。
会議は進み、解散となった頃、1人の怪しい男が教会へと入ってきた。
「ふふっ、ふひひひひひ……なんだか強そうな人達が集まってますねェ…….」
「何者だ?こんな奴、呼んだのか?」
ヨシケーが怪訝な顔で尋ねた。
それを遮るように、コジオが侵入者を殴った。
「知らない奴なら消せばいいだろ」
しかし、殴られた男はぐにゃりと身体を後方にしならせ、攻撃に耐えた。そして、その戻る力で、コジオに頭突きを食らわした。
「んだよ…いてぇな、てめぇ」
「ぐえっ!」
それをみて、すぐさま西の組織の男が拳を出す。だが、それを受けながら、侵入者はにやりと笑い、何か気をためる動作をすると、すぐに吐き出した。
「くおっ!」
西の男が吹き飛ばされ、入れ違いでヨシケーの剣が侵入者の喉元に迫る。
侵入者はその剣を指で止めた。
「こいつ……」
「さすがにこれはあぶねぇ」
レジェンドと消し炭の魔女も参戦し、侵入者を消しにかかる。
そして……..
数分後、床にぐしゃぐしゃにされた侵入者の身体が転がっていた。
「単身、ここに乗り込んでくるとは、参加希望者か、それともただの狂人か」
神父はその壊れた肉体を観察した。
「その二択なら…ただの狂人ね」
消し炭の魔女が指を鳴らすと、侵入者の肉体が一気に燃え上がった。
「どこの野郎か確かめなくて良かったのか?」
コジオが尋ねたその時だった。
壊れたはずの肉体が全身を燃やされながら立ち上がった。
「何!?」
「ひーーーひっひひ…今日はちょっとした顔見せだァ…….」
「馬鹿な…とっくに絶命しててもおかしくない…」
「お前らはよォ…….地獄ってやつを知ってるか?生きながら地獄に落とされる苦しみってやつをォ……」
「この狂人がァ….!」
ヨシケーの剣が侵入者の身体を両断した。
だが、直後、その身体は再びくっついた。
「いてぇ…..いてぇよぉ……ひひひ」
「…….マジかよ」
「お前らさ…1人ずつ1人ずつ…潰してやるから、楽しみに待っててくれよ」
そういって笑う狂人に神父が叫ぶ。
「何が目的です!?こんな事をして」
「あ?あっはぁ…….暇潰し」
その狂気じみた表情に、その場にいた歴戦の猛者達も、背筋が凍った。
そして、侵入者はその場を去っていった。
「お前らは生贄だ。兄さんを待つまでの暇潰しの玩具だ。楽しみだ、楽しみだよ、この手をえもっともっと血に染めて……早く僕の前に帰ってきて…….兄さん♪」
侵入者の名は、カエル。地獄から蘇りし欲望のヲタク。
第17部 白き革命の夜
「月の足跡を辿ってきたが…..これは……それにしても手羽先がうまいな」
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