プロDD・M ~その565
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
激戦の最中、2人、いや、3人は降り立った。
「乱入者か?まだ残りがいたか。だが、すぐに消える」
ヨシケーが神速の一撃を降り立った男に向けた。
「待て!ヨシケー!」
消し炭の魔女の声より早くヨシケーの刀は男を通り過ぎた。
「他愛無い」
「そうだな」
「!?」(馬鹿な、今確かに斬り捨てたはず……なのに!なのに!)「どうして俺の刀が止められているんだァーーー!」
ヨシケーの刀は、男の人差し指と中指でピタリと止められていた。
「六文屋流斬岩剣、この世に斬れぬものはなし…だったか。どんな常識も歴史も俺には通じない。まずは1人……ウタカタカタリ」
「な…..に…..を…….はぐっ」
男がもう片方の手でヨシケーに触れると、ヨシケーは泡のように消え去った。
「さぁ……もうすぐだ…….もうすぐまた君に会える」
「何を1人で想像してやがるんだい?気色の悪い」
「消し炭の……魔女。相変わらず凄まじいオーラだ」
「そういうあんたは、随分と雰囲気が変わったわね、ソウチョウ」
「…….」
「ソウチョウにだけ暴れさせては俺がいる意味がないねェ…..くっくっく。にゃー」
カエルはにやにやしながら走り出した。
「またキモいのが来たね」
「お前のことは前から気に食わなかったんだぜ!ライチ!にゃー」
「そうかい、奇遇だな、俺もだ」
「兄さんは俺だけのものなのにィィィーーーーー!にゃー」
カエルとライチの蹴りがぶつかった。強い衝撃が周囲にも伝わる。
数度の激突の後、2人は両手四つで組み合った。
「この俺がこんな醜い戦いを強いられるとね、そろそろ退場したらどうなんだい?カエル」
「お前こそその綺麗な顔に傷がつく前に、降参して走馬灯に飲まれろよ、ライチ。にゃー」
「ソウチョウ!ここは協力しよう!」
そう言ってガリはソウチョウの近くに寄ると、酒瓶の蓋を開けた。
「ぶっ…..ぐはっ……」
しかし、次の瞬間、ガリは血を吐いて倒れた。
「悪いな、ガリさん。もう…必要ないんだ」
ガリはソウチョウによって急所を貫かれていた。
「ガリさん!!」
マスターのハッチャンが叫ぶと、ソウチョウは怒鳴った。
「ここから去れ!!もうお前の戦いは終了だ!!」
「なんで!なんでェー!」
光に包まれ、ハッチャンは結界の外へと飛ばされていった。
「これで良かったのだ…」
「ソバシ」
「うん、わかった」
NDKの言葉に静かに頷いたソバシは、背後からライチのマスターであるメグタンを襲撃した。
「くっ……!」
「うまく隠れていたようだけど、俺の目はごまかせないよ」
「こんなんでやれるってのかい!」
「俺は容赦しない。NDKの為に戦う、それが俺の正義さ」
「トンジルスキー!!」
「わかったゾ☆ナイットン!」
トンジルスキーが放つビームがソウチョウを貫いた。
「追い打ちをかけるわ、業火爆炎掌!」
「ナイットン!」
次々と繰り出される攻撃。ソウチョウは跡形もなく吹き飛んだ。
「容赦ないわねェ」
それを見ていたシャクも思わず呟いた。
「哀れなものですね。私たちもそろそろ決着をつけましょう」
コイケは、シャクの方に集中しようとした。だが、彼らはそれを許さなかった。
「そんな……馬鹿な…….」
「ど、どういうことよォ…あれだけの猛攻撃を受けて、無傷!!?いいえ、まるで最初から何もなかったかのよう!!」
驚くコイケとシャクに、消し炭の魔女が叫んだ。
「あんた達!何やってるの!加勢しな!」
ただならぬ雰囲気を感じ取っていた2人は、すぐにソウチョウへ向けて動いた。
「どうやらそういうことらしいですね」
「仕方ないわねェイ!!」
「モノクローム・覇!」
「会心の一撃!」
凄まじい攻勢に、ソウチョウからの反撃はなかった。
しかし、その不気味さに、一同は恐怖を覚え始めていた。
「はぁ…..はぁ…..はぁ……」
(どういうこと……これだけの攻撃を加えているのに、まるで手応えを感じない……)
舞い上がった爆炎、煙が消えると、そこには無傷のソウチョウが立っていた。
「もう…終わりか?」
「……!!」
一同は驚きより、得体の知れない恐怖が勝っていた。
そんな中、消し炭の魔女だけは、その違和感に気づいていた。
(傷どころか、汚れの1つもない……?)
「いくら続けてくれてもいいが、お互い無駄な時間を使うだけだから、そろそろやめてくれないか?」
するするっとソウチョウが動き、トンジルスキーに向けて攻撃を仕掛けた。
「ぬるいゾ☆そんな単調な動きじゃ攻撃なんて当たらないんだゾ☆」
「馬鹿ッ……!トンジルスキー!!逃げなッ!!」
「消し……がはっ」
トンジルスキーは完全に躱したはずだった。
しかし、ソウチョウの攻撃は、トンジルスキーの肉体を貫いていた。
「!!!」
その様子を見ていたコイケも何が起こったのかわからなかった。そして、さらに吹き飛ばされたトンジルスキーの肉体がコイケとシャクにぶつかった。
「ぐはっ」
「終わりか?」
ソウチョウの変貌ぶりに、消し炭の魔女ですら緊張が走っていた。
「その力……」
「全てを思い出して…ね。かつての俺は過ちを犯した。そして、悟ったのさ」
「過ち…?」
「そう、過ちは正さねばならぬ、その為ならば、俺は怪物となろう」
「皆、集まれェ!!」
珍しく消し炭の魔女が発した大きな声に、近くにいた者全てが引き寄せられた。
「全員でかかれ!」(こいつは…確実にここで殺しておかねばならん男だ……!)
集中砲火がソウチョウを襲う。周囲を全て吹き飛ばすほどに。だが、立ち込める土煙の中、姿を再び現したその男は、まるで何事もなかったかのように、そこに立っていた。
「因果を……変えたというの……」
「何をしても無駄だ。全ての結末は、俺にとって最高の結末となる……神話級ハッピーエンド!!」
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