プロDD・M ~その548
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
各地で激戦が繰り広げられる中、その輪に入れない男がいた。
男の名は、アッキー。連れるべきヲタクを持たぬ為、参戦できずにいた。
「やはりこの結界、召喚されたヲタクを連れてないと入れないっすね、アッキーさん」
「ポッターはなぜ来ないのだ」
やれやれといった表情のライコの隣で、アッキーは怒りを滲ませていた。
「Invitation to Yaonが、いまだに承認されない。奴は俺のヲタクになる気がないって事か、バックレやがって!くそ!」
「アッキーさん、このままでは埒があかねっすよ。本来の目的を先に遂行しましょう」
「ちっ…そうだな」
その時、アッキーは気づいていた。世界に漂う群青の力が消えかけていることに。
「ソウチョウ、局面が動いたぜ。消し炭の魔女が封印された。そこら中にいたオルマも消えた。俺達も動かないのか?」
ブルジョンは、ソウチョウの真意を図りかねていた。
「必要ない。殺し合いは真の目的にあらず」
「どういうことだ?走馬灯は、ヲタクの喰らい合いの末に顕現するんじゃあないのか?」
「直にわかるさ」
ソウチョウの言葉に、ブルジョンは首をかしげた。
横でコーがブルジョンに悪態をつく。
「うるさいにゃん、このハゲ!黙ってご主人の言うことに従ってりゃいいにゃ!」
「口が過ぎるぞ、コー」
「すみませんにゃ、ご主人…」
その後、ソウチョウは悲しそうな目で呟いた。
「世界から…女神の力が失われていく…その時は……」
「消し炭の魔女を封印したようだが、この俺も消し炭級と呼ばれている」
カエルの正面から、硬い拳が打ち込まれた。
「ぐへっ…..へへへへ….やるじゃあねぇか、ナガツキィ…」
「醜悪な…我が正義の鉄槌を受けるがいい、下郎」
「何を言ってやがる。お前とは俺と同じ地獄の臭いがぷんぷんするぜェ?」
「……..罪は償わねばならない。俺は俺の過ちを浄化する。全ての元同族は排除せねばならない」
「おいおい、俺が1人でお前なんかの相手をするとでも思ってんのか…..ヨシケー!!」
「ふん!誰を呼んでいる!お前の仲間には既にガヒョが当たっている!」
「へっへへへ…..そいつあ、どうも。でも、いいのかい?あいつも消し炭級だぜ?」
ガヒョは焦りを感じていた。
(どういうわけだ…あれから、俺は血を吐くような訓練のもと、力をつけた……)
ガヒョのスピードに乗った拳、それに合わせて距離をとりつつナイフを投げても、対峙した男ヨシケーは……
(なのに…..なのに…..この男にはまるで攻撃が当たらねぇ!!)
「もう終いか?」
「とんでもねぇ…刀を抜いた所すら見えねぇのに、俺の投げナイフが地面に落ちていく」
「そう、これが俺とお前の差だ」
「へへ…..ならよォ……俺も会得したんだぜ……これならよォ……斬れねぇよなァ!!」
「……!!」
「ミエナイモノ!!さァ!どうする!ヨシケー!!」
その時、ガヒョは、初めてその刀身を見た。
「浅はかなり」
「…….ぐ、ぐあぁぁぁ」
「十傑檸檬秘伝妖刀鬼ころし…この世に斬れぬものなし」
ガヒョを斬ったヨシケーは、仲間の女がいない事に気づいた。
「マキゲ……?どこへ行った?」
「とりあえず、納まったか…」
オルマ達が消え、マルス達もひとまず安堵していた。
「ここは……」
そして、目の前に廃墟のビルがあった。
そのビルを見上げてセルーが呟く。
「シブヤアマノガワ…..かつて強者達が戦いに明け暮れた場所か……」
その時だった。
「セルー!危ない!!」
ハッチャンが叫んだ。
咄嗟に身を躱したセルーの首に薄い切り傷がついた。
マルスは攻撃の主を見た。
「躊躇いのない、一撃必殺急所狙い…..お前は」
「モミジちゃんの仇……仇の仲間は全て敵……」
「マキゲ…….!」
「仇の1人、マルス発見…..」
その頃、逃亡中のアオクマ教会神父は、シブヤの近くに潜伏していた。
もちろん走馬灯を横取りする為である。
神父はかつてレジェンドが自身に言った事を思い出していた。
「天国へ行く方法があるかもしれない」
「どういうことだ?レジェンド」
「レジェンドちゃうわ!」
「続けてくれ」
「俺の行っている天国とは、精神に関することや。精神の向かうところ…死ねってことじゃない。精神の力も進化するはずだ、そして、それの行き着く所って意味さ」
「走馬灯……」
「全ては…走馬灯だ…」
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