プロDD・M ~その500

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 戦いを終え、その役目を終えたスギコランド。
 誰もいなくなったはずの場所。瓦礫の下から何かが音を立てて現れた。
「俺様をオカヤマで1人を除けばナンバー1“アンチェイン”ナツハナと知っているのかァ!!貴様らなど天地がひっくり返ってもこの俺には勝てねぇんだぞォ!!」
 勢いよく瓦礫を撥ね飛ばして、名乗りをあげたものの、周囲には誰もいなかった。
 いや、ナツハナはそこで1人の倒れている女を見つけた。
「アルシル様!!……まだ息がある」


「ぎゃああああ」
 崩壊したスギコランド。その実験室の中から、外へ出るものがいた。
「ダメだ!止められない!」
「ぐああああああ」
 次々とやられる警備兵。そして、それは他の実験体の全てをくらい尽くした。
「ツ…..ムギ…….」
「応答願います!応答願います!本部!本部!被検体00ルンが脱走!他の…ぐああああああ」


「皆、戦い方と言うものをまるでわかっていないよね」
 スギコが倒れた場所。そこに1人の男の影があった。
 その男、ライコ。
「最後に勝つのは誰か。ふっ…..くくくく」
 そして、ライコはその場所から1つのアイテムを拾い上げた。
「あった…金貨の神器…..これがあれば…」


「あった。杖の神器…」
 ツバサと化様は、人のおちる街の奥深くに眠っていた神器の場所に辿り着いていた。
「これが…?」
「化様、これを捧げます。あなたが持つに相応しい神器だ」
「ありがとう、ツバサ。アーシ達が必ず、走馬灯を手に入れましょう」
「ええ、では、この裏切り者の始末は俺が」
 そう言って、ツバサは捕えたヤブッチを見た。
「お、おい、待て。俺はこいつらの口車にのせられたんだ、許してくれ!お前らに危害は加えねぇ!」
「ふっ…..一度でも化様を裏切った男を、この俺が許すと思うか?」
「や、やめ….ぐああああああ」


「くそ!ヨシケーを召喚するとは!!」
 逃げながら、ソウチョウが叫んだ。
「あいつら、やべぇ、やばすぎる!」
「ポッター!だが、お前のその双剣、いったい何なんだ?ヨシケーの攻撃を止めるとは」
「ふっ…俺は真実の愛に目覚めたのさ!」
「どこかで聞いた台詞だな…まぁいい..それよりも伝えねば、世界へ…!ヨシケーの復活!そして、悪美烈駆の事を!」


 仲間達を失い、血を吐いて倒れたマルス。
 そして、同じく仲間達を失い、意識を失ったガリ。
 プロDD組と六文屋の同盟はここに崩壊した。
 スギコデパート、そして、手を組んでいたゴールデンチェインも、また同じだった。
 この戦いで両者とも得るものより、失ったものが多かった。

 薄れ行く意識の中、ブルーハワイと、ツムギが必死に呼び掛けるのが聞こえていた。
 だが、それも少しずつ遠くなっていく。
 完全に、その声が途絶えた後、マルスの頭の中にはっきりと響く声があった。
「マルス…心の目を開けなさい」
「誰だ?」
「私の声を忘れるなんて」
「あ、あ、あなたは……!神々の母!」
「ふふっ、ようやく思い出したようね、マルス」
「俺はいったい今どこへ」
「激しい戦いでしたね。あなたは、生と死の狭間にいます。このままでは、あなたはカエルには勝てません」
「カエル…..くっ……」
「カエルはこの星を脅かす悪しき存在…かつて呪いの島の戦いで敗れた彼を地獄へと閉じ込めたのですが、想像以上の邪悪な力は外へと漏れ出てしまった」
「どうすれば、俺は、カエルを倒せるのでしょうか…」
「彼を止められるのは、兄であるあなただけです。でも、今のままでは厳しいでしょう。だから、私が来たのです」
「…..!!」
「これから、あなたを異なる時空へと誘います。そこであなたは、真のプロDDへとならなければならない…!」
「はい……!」
「さぁ、信じて飛び込むのです!」
「うおおお!!」
 そして、マルスは女神に言われるがまま、目の前に広がる真っ白なキャンバスへと飛び込んだ。

 次に目を開けたマルスが見たものは、無数に群がる戦士達。
 そして、それを待ち受ける屈強な男達。
 その背後に微かに見える指導者達だった。
 さらにその奥に、女神を崇める施設のようなものが見える。
 わけもわからず立っていると、背後から吹き飛ばされた。
(とんでもないパワーだ!なんだ、ここは?)
「おい!お前!こんなところで突っ立ってんじゃねぇぞ!」
「教えてくれ!ここは何処なんだ!?」
「はぁっ!?知らねぇでこんなところまで来たってのか!運のねぇ野郎だぜ!戦えるのか?そうじゃなきゃ死ぬだけだぜ!」
「戦う……?そうか…戦えるさ!俺はプロDDマルスだ!」
「DD?プロ?知らねぇな」
(俺のことを知らない?まさか…..)
 そう、そこは1万2000年前。
「ここは特区ッ!弱肉強食の地!武器をとれッ!さもなくば死ぬぞッ!ルール無用のバーリトゥード特区だ!」
「武器…ふっ!俺はこの拳が武器だ!DDパンチ!!」
 マルスは近くの男を殴り飛ばした。
 すると、先程まで話していた男が笑った。
「気に入ったァ!マルス!俺の名はセルー。特区の戦士だ


 第15部 勝者なき戦い 完

 第16部 特区~最後の戦士~

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