プロDD・M ~その529

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

「アッキー!!!!」
 立ち上がったコイケは、アッキーへと向かって来た。
 その間にポンチョが立ち塞がる。
「貴様に用はないッ!そこを退けィ!!」
「出来ない相談だな」
「何ィ!アッキーとは因縁の仲だったはず」
「ふん、男の船出を邪魔する奴がどこにいる」
「馬鹿な!その船出は、世界を不幸にする」
「それを決めるのはお前じゃない」
 コイケの拳とポンチョの剣が交錯した。
「アッキー、行け!!」
「……ポンチョ!!」
「礼はいらぬ。借りを返しただけだ。ユイの魂を救えるのは、お前だけだ!アッキー!」
「くっ……!」
 アッキーは走り出した。後ろは振り返らなかった。

 その後、コイケは、アッキーを倒したとして真に白を掌握した。
 そして、同じ四大組織の一角、悪美烈駆をも同時に抑えたことにより、さらなる名声を獲得、その影響力は増大した。
「不死王の名は血に堕ちた…そして、本人はそのまま行方不明、と。近頃、情勢が激しいな。教会のクソどもが密かに結んでいた四大組織とやらも、まともに残っているのは白だけだ」
「状況軍団も、灰かぶりも、悪美烈駆ももはや虫の息よ」
「なんてこった、これじゃまるで..あの童貞野郎の天下じゃないか!」
 2人の男が話しているところに、もう1人男がやってきた。
「よぅ…俺が不在の間に色々あったようだな。ちょっと何があったのか詳しく教えてくれるか?」
「いいぜ。まずは悪美烈駆が、アッキーについて白を襲撃し敗北。幹部の数名を失い瓦解」
「ふむ」
「状況軍団はプロDD組の侵入を許し、灰かぶりは怒りのツバサの襲撃を受けた」
「いつの間にそんなことが…今後の対策を立てるために詳しく話を聞かせてくれ」
 すると、もう1人の男が奥から現れた。
「ああ、そうだな。そして、最後に勝つのは、俺たち……..81だ」
「くくく…ソバシ、頼もしいことよ。それにまた一段と輝きを増したな、スミオ。いや、フリーダムスミオジャスティススミオ
「あんたこそ、一体どこでそんな力を手に入れたんだい?」
「ふっ……ネネネソードを失った俺は新たな力を手にした……俺はこの力で走馬灯を掴む…..」
 81大総統エーケー

「アーシをどうする気!?」
「少し静かにしろい、娘よ」
 奥の間から聞こえるのは化様の声であった。
 そして、その経緯をジャスティススミオは語り始めた。

 第17部 白き革命の夜 完
 第18部 四大組織潰し

 話は少し前に遡る。
 ツバサは各地の灰かぶりの基地を潰しながら、化様を探していた。
 なかなか有力な情報は得られなかったが、拠点を潰す度に少しずつ次へと繋がっていった。
 その小さな進歩の繰り返しを、ツバサは驚異的なスピードでこなしていた。
「ここも外れか。いや……お前、どこへ行こうとしている?」
「ひ、ひぃ!」
「逃げられるとでも思ったか?」
「お、お前、なぜこんなことをするゥ!灰かぶりに何の恨みが…」
「化様はどこだ」
「し、知らねぇ!俺は何も知らねぇ!」
「ならば、死ね」
「うがあ」
 もはや作業的なものだった。だが、この時、ツバサは違和感に気づいた。
(弱い…弱すぎる。拠点の防御がここまで脆弱とは信じがたい…まさか!)
 はっとしてツバサは死体をよく観察した。
(こいつらは…戦闘員じゃない…どこにでもいる一般人だ)

「ういっひひひ、ツバサの奴、今ごろどの辺りをうろちょろしとるんやろな」
 醜悪なオーク顔の男が、下品な笑みを浮かべていた。
「ふん、我が知謀を持ってすれば、ツバサを騙すなど容易い」
 影から現れた男は、死んだはずの男であった。
「さすがはニシさん..自らの死を偽装してここまでのことを成し遂げるとは」
「ふん、そんなに誉めるなよ。この俺の頭脳を持ってすれば当然のことだ。俺にはここまでの流れが全て読めていた」
「ぶひひ、今頃ツバサは、ニシさんによって強制的に洗脳された何の罪もない人間を、灰かぶりの構成員だと思って殺し続けているわけか」
「ふふっ、しかし、ツバサとていつまでも気づかないわけではあるまい。早く化を我が物とするぞ」
「まだ時間をかけてるんですかい?」
「…無理矢理力を奪おうとしても失敗するだけだ。じっくり確実にいく。万が一、ツバサが真実に気づいたら、足止めしろ。その時は無理にでも奪うさ」
「仰せのままに……」

 真実に気づいたツバサは、今まで潰した拠点の位置から、真の本拠地を計算していた。
(撹乱の為に配置した拠点なら、おそらく本当の拠点はここだ。ニシの頭脳もたかが知れたものよ)

「それにしても、ニシさんも心配性よな。ツバサ1人乗り込んできたところでな…」
「「「「「わしらがおるやろ」」」」」
 大勢のオルマ達が暗闇の中で蠢いていた。
「それに…..」
「安心しろ、ツバサの実力はわかっている」
 スケッチブックを持った男がゆったりと立っていた。
 オルマはそれを見て満足そうに笑う。
「こちらには、消し炭級の男……ナガツキさんがおるんや」

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