プロDD・M ~その520

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 現在。
「あの時の小僧が大きくなったもんだねぇ」
 消し炭の魔女が見つめる先には、セルーの姿があった。
「今は全てを忘れてお眠りよ……思い出しても辛いだけだから」

 第17部 白き革命の夜(続き)

「おい、カエル。あまり勝手な行動はよしてもらおうか」
 ライチは怒っていた。カエルの行動により、悪美烈駆に喧嘩を売るような形になったからだ。
(カエルとライチパーティーの繋がりがバレたらまずい…)
「おいおい、ライチぃ…ビビってんじゃあねぇぞ。俺はな、全てを見通しているんだよ」(そうさ、もうすぐ会えるね、兄さん…)
「見通している…だと」
 そこに1人の男が現れた。
「ライチパーティーだな」
「何者だ!?どうしてこの場所がわかった!?」
「っくく…そう警戒するな。今日は交渉に来たんだ」
 ライチは一目でその男の力の凄まじさを見破った。
「その頭……お前、白のオジロだな」
「おや、俺も有名になったものだな、俺が誰だかわかっているなら話は早い。ライチパーティー、俺達に協力しろ」
「なんだと」
「知っているんだぞ。お前達、悪美烈駆と敵対しているらしいじゃないか」
「悪美と……?はっ」
 ライチはこれまでのカエルの行動を思い返した。
(このバカ…..最初からこれが目的で……)
 ライチの頭の中が巡る。今、正面から白とぶつかっても勝ち目はない。ならば、流れに身を委ねるのみ。
「わかった…」
 こうしてライチパーティーは白に協力することになった。
 そして、カエルは1人、満面の笑みを浮かべていた。
(あぁ…兄さん、どこで何してるか知らないけど、これだけ派手に屍を重ねれば、きっとそっちから会いに来てくれるよね…..ふふふ)

 某所。ohashiとspeが潜伏していた。
「celuが帰ってこないだと」
「ああ、消し炭の魔女のところへ行ったきり連絡が途絶えた」
「まずいな…」
「奴の力は凄まじかった。だが、どうしてもどこかで見たことがある気がしてならない」
 そんなspeの話を聞くと、ohashiはすっと薬を渡した。
「少し疲れているんじゃないか?これを飲んでしばらく休んだ方がいい」
「そうか、ああ、すまん…」
 薬を飲んだspeはふらふらとしてから倒れ、そのまま眠ってしまった。
 その姿を見たohashiは、笑みを浮かべながら、speを運んでいくのだった。


 マルスは、過去での戦いの日々を思い出していた。
 そして、1つの結論に至った。
「そうか、セルーさん…あの時……ふっ、約束だもんな、セルーさん」
「遂に状況軍団へ乗り込むんですか?」
 ブルーハワイの問いにマルスはうなずいた。
「状況軍団は強い…組織力…それに幹部達の強さ…さらには消し炭の魔女がいるわ」
「安心しろ、ツムギ。俺はプロDD、相手が誰であろうとも全て倒してきた。今回も俺の伝説に花を添えるだけさ」
 ブルーハワイが口を挟む。
「ですが、マルスさん、さすがに正面から行くのは危険です。いったいどうやって」
「俺にいい考えがある。その為に、まずは協力者を探す」


「消し炭の魔女…大丈夫だろうか….教会の傘下になって、余計に敵を作ったのではないだろうか?」
 ノコッチは怯えていた。それを見た消し炭の魔女は優しく諭した。
「ふふ、そんなに怖がらなくても良いのです。私がついております。全て私に任せておけば良いのですよ…」
 ノコッチは、消し炭の魔女にもたれかかり、そのまま眠ってしまった。
 ノコッチ少年の寝顔を見ながら、消し炭の魔女は微笑んでいた。だが、その瞳はどこか遠くを見ているようだった。


「ここにいたのか、コイケ」
 ムネッチが話しかけると、コイケはちらりと見て、また視線を遠くへ向けた。
「少し思い出をな」
「アッキー様…..いや、アッキーのか。奴の捕縛はもうすぐだ。すぐにまた会える」
「そうだな、まぁ聞いてくれ。あれは雪が降る夜だった」

 白に入って間もない頃、私は周囲に馴染めずにいた。
 そんな中、歓迎会が催された。
 そして、アッキー様は言ったのだ。
「コイケ、俺はお前に物凄く期待している。お前が白を世界に羽ばたかせる革命の旗手となるのだ」
 あの言葉が、今までずっと私の心の支えだった。
 だからこそ、こうして白をまとめあげ、走馬灯戦争の勝利を狙える組織へと作り上げた。

「あの時はそう…まさに天にも上る心地だった」
 懐かしむようにコイケの目が緩んだ。
「…そんな優しいアッキー様をどうする気なんだ?」
 ムネッチに尋ねられたコイケは、堂々たる声で即答した。
死刑!!

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