プロDD・M ~その463

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 本気の力を解放したスミオは直線的にアッキーへの猛攻を開始した。
「ドラドラドラドラドラドラドラドラァ!」
「こいつゥ!」
「翡翠輝石のエネルギーを最大限に引き出す!これが山本本気うどんの力だァ!!」
 ラスト、強烈なパンチがアッキーの顔面を砕く。
「ぐあぁあああ!」
「ここからいなくなれー!!」
 アッキーの身体が壁をも突き破り、吹っ飛んだ。
「はぁ…はぁ…」
「スミオ!危ない!上だ!」
 マルスの声に反応し、咄嗟にスミオは上からの攻撃を避けた。
「スミオ!スミオスミオスミオスミオ!スミオォォォ!!」
「ツバサ…….」
 明らかにツバサは正気を失っていた。
「これがメルティホワイトの副作用…もうツバサは…」
「そんな…..」
 それを聞いて化様ががっくりと肩を落とした。
 そんな化様を見て心を痛めながらも、スミオはツバサに向けて拳を振り抜いた。
「うおおおお!!スミオパンァァァチ!!」
「スミオオオオオオオオ!!」
 同時に、ツバサもパンチを放ってきた。
 だが、スミオのパンチがそれに勝った。
「だああああぁぁぁぁありゃあああああ!!」
 ツバサの身体が宙に舞い、力なく地面に叩き落とされた。
「ツバサ…こんな形で…決着などしたくなかった…」
 ツバサを見下ろすスミオの表情は悲しみであった。
 だが、スミオはその悲しみを拭うように笑った。そして、化様に手を伸ばした。
 しかし、その時、命尽きたかと思われたツバサの声がした。
「ああ…そうだな」
「!!?」
 なんとツバサが立ち上がったのだ。
「メルティホワイトの力を自力でねじ伏せたのか…..!」
 戦いを見ていたアネンゴが驚嘆の声をあげた。
「あの男、底が知れないわ」
 サエカピが息を飲んだ。
 立ち上がるツバサを見た化様の目には涙が零れていた。
「アーシ、誰を信じるべきなのか本当の意味でわかりました」
 化様の腕が後ろからツバサを包んだ。
 それを見たスミオは、静かに銃を向けた。
 今にも始まろうとする2人の最後の戦いの外で、邪悪な気配はなお増すばかりだった。


 一方その頃、ルビーの光の強襲部隊の隊長を務めるキーリは困っていた。
(くそっ!くそぅ…どうしてこんなことに)

 少し前。状況軍団ラボ。
「一体、誰だ!誰がこんなことをしやがったんだーーー!!」
 ラボに戻ってきたノコッチはその惨状を見て叫んだ。
 研究の為の装置はあちこち破壊され、研究員達や警備の者達は倒されていた。
 その中の1人を見つけて、ノコッチはその男を抱え起こそうとした。
「おい、ユーガ!お前がいながら、これはどうしたんだ?!」
「ノコッチ……襲撃者だ」
「一体誰が!」
「ルビーの光…奴らバケモンだ……早く…逃げ…ろ…」
「おい、おい!ユーガ!くそっ!」
 そう言って息絶えたユーガを床に寝かせると、ノコッチは気配を感じた。
「てめぇらか…こんなことをしやがったのは、目的は何だ?」
 振り返り、敵を見たノコッチは、その瞬間に理解した。
(こいつは……尋常じゃねぇ……8,9,10人いやがる。どいつもこいつもとんでもない達人だ…)
「はじめまして、ノコッチさん。私はルビーの光のキーリ。一緒にうちの神殿まで来ていただけますか?」
(まずい…何が目的だ?ついていってもいずれ殺されるだけだ…)
「答えられないのですか?」
「なぜ俺が…嫌だと言ったら?」
「そうですね…」
(こいつは、やべぇ…俺の中の危険を知らせるシグナルがガンガン鳴ってやがるゥ…!)
 ノコッチはなんとかして逃げられないが周囲を目で探ってみたが、相手には一切の隙はなく、とても逃げられるものではなかった。
 そして、同行を拒むノコッチにキーリは非情を伝える。
「そしたら無理矢理つれていくしかありませんね。それでも抵抗されるのであれば、1つお聞きします」
「……」
 ノコッチの表情には一切の余裕はなかった。そのノコッチにキーリが続ける。
「ここにいる10人を、1人で始末できますか?」
 そんなことが出来るはずもなかった。ルビーの光の精鋭10名。涼しい顔で状況軍団のラボを潰せるほどの実力者だ。
 その時、ノコッチは自身を囲む敵よりも向こうから女の声を聞いた。
「あら~?誰かしら、あんた~?」
 ルビーの光の襲撃者達が一斉に女の方へと視線を移した。
「なんで部外者が、ここにいるのかしら?」
 その声を受けて、襲撃者の内の1人が、凄みながら女の方へと近づいた。
「何って?見てわかんねぇのか?バカ野郎。ぶっ潰しに…」
 そう言って襲撃者が、女の身体を掴もうとした瞬間、襲撃者の身体に炎が燃え広がった。
「あぎゃああああああああ!!」
 襲撃者達の警戒度が一気に跳ね上がる。
 倒れこみ、のたうち回る仲間を見て、キーリは女の正体に気づいた。
「ノコッチを連れていかれるわけにはいかない。どうしても連れていきたいなら、私からも1つ聞くわ」
(消し炭の……魔女!?)
たった10人で私を倒せるのかしら?

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