プロDD・M ~その506

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 快進撃を続けていた悪美烈駆だったが、障害が起こっていた。
「支部が潰されました…1人も…無惨な…うげっ…」
「我らに堂々と喧嘩を売るとは一体どの組織だ?」
 悪美烈駆第2支部長トガーは頭を抱えていた。
「じ、実は現場に残された文字が…..」
「何?なんと?」
「カエル…….」
「カエル…だと」
 トガーのもとにも情報は入っていた。
 かつて世界を震撼させた狂気の男カエルが召喚された、と。
「狙いは何だ…?ただ支部を叩いただけではあるまい…」

「逃げ場は最初から全部潰しておくよ、ヒロマルく~ん♪ふふふ、うふふ、あひあひ」
 闇夜の中、カエルは歩いていた。周囲には、彼の快楽の為に、命を落とした通行人達の屍が転がっていた。



「セルーさん!!」
 血を流したまま、その場に立つセルーに、スペとラルクマは声をかけた。
「おめぇら…ここが正念場だ。3人がかりで行くぞ」

「最前管理が…ここまで強かったとは…」
「お前はもう俺に触れることさえ出来ない」
「くっ…だが、俺は俺をこの世界へと導いてた神々の母の力が…うおおおおおおおお!!」
 マルスは、神々の母の力を感じていた。その真っ白な力がマルスの肉体を駆け巡っていく。
「こいつ…面白い!だが!」
 真っ白な力を使うマルスの攻撃は誰にも予測出来ないはずだった。
 だが、それでもナンビーには触れることすら出来なかった。
(なぜだ…どうしてこいつには当たらないんだ…)
「はっ!」
「ぐはっ…..」
 どんどん追い詰められていくマルス。
「神々の母の力…?足りないよ、今の君では」
「!!?」
Inchoate Atelier原初の白。俺の前では全てが無だ。お前の命もな」
「がはっぁ」
 マルスはその一撃で命を掴まれたような感覚を覚え、倒れた。

「はぁ…はぁ…」
 モリシとセルー達の戦いは激しさを増していた。
「右に回れ!ラルクマ!」
「おう!」
 セルーは指示を出しながら、モリシにあたっっていく。
「小癪!」
「おおっと左には俺がいるぜ!」
 注意が逸れたモリシにスペの蹴りが炸裂した。
「くっ!」
「そして、正面には俺だ!!」
「何を!捻り潰してくれる!!」
 力を増大させたモリシの巨大な拳が振り下ろされた。
 その拳を躱したセルーは、そのままその腕を走って上っていく。
「何ィ!!?」
「くらいなッ!乙女クライマー!!」
 顔まで到達したセルーの強烈な掌がモリシの意識を刈り取った。
「今だ!総攻撃をかけるぞ!」
「おう!」
 刈り取られかけた意識を呼び戻し、モリシも吠える。
「やらせるかァ!!」
 4つの魂が集まり、激しく散った。

「起きなさい、マルス」
「この声は……」
「最前管理組合は、女神の力を独占し、異常な力を得ています。だから、この時代の女神の力をいくら集めても、奴らに勝つことは出来ません」
「じゃあ…どうすれば……」
「私の力をあなたに預けましょう」
「あなたは…..一体…….」
「私は別次元の女神…この世界には本来干渉できないもの。ですが、あなたのそのDD力は次元の壁すらも突破したのです」
 そして、マルスの頭の中に、ぼんやりと声の主の姿が浮かんだ。
 今まで感じたこともない力が漲っていく。マルスは思わず呟いた。
「嘘…だろ」

「他愛もない。まぁ、白き力で俺に勝とうなどと…….む!?」
 ナンビーは気付いた。倒したはずのマルスから溢れ出てくる力に。
「何だ、この力は!?どこかで知っていたような、だが、知らない。一体これはどういうことなのだ…!!この世界にはないはずの力…..?…がぁ!!」
 突然立ち上がったマルスから放たれた衝撃波でナンビーは後ろに吹っ飛ばされた。
「この俺に攻撃を当てるなどと!なめるなァ!オーバーセンシティブ!!」
 己の感覚を最大まで研ぎ澄ませたナンビーだったが、マルスはまるで別人のような動きで、攻撃を命中させていく。
Paradise lost追放されし禁断の種
「まるで……追い付け……ない…….!……白が広がっていく……あぁ……」
「さらばだ、ナンビー。お前達はずっと見えちゃいなかったのさ」
「あ….あ……」
だから夢、だけど現


「終わったか。マルス」
「ああ、そっちもな、セルー」
「ふっ」
「どうだった?」
「つまらない戦いだったよ」
「俺もだ。早く終わらせよう、この間違った世界を」


 現代…
 人工島、celuセルー
「マルス…….お前は」
「マルス…聞いたことのある名だねェ…」
 celuの傍に、常人であれば燃え尽きているであろう炎があった。
「お前の方から…出向いてくるとはな…」
「ふふっ、悪いかしら?」
「何をしに来た…..消し炭の魔女……!」

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