プロDD・M ~その483

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 部屋の中は騒然としていた。
「この世界に、スギコ様を殴り飛ばせる人間がいるとは..」
 ドンとそこに立ったマルスの拳は返り血で濡れていた。
 そのまま戦いが始まるかと思いきや、椅子から立ち上がろうとしたスギコを手下達が制止した。
「おやめください、スギコ様。あなたに好き勝手に暴れられては、このスギコランドが壊れちまう」
「…….」
 スギコは無言のまま、立ち上がるのをやめた。
「おい、マルス、1人でここに乗り込んできて覚悟は出来てるんだろうな?」
 手下達に囲まれたマルスだったが、直後、後ろの方から悲鳴が聞こえた。
「ぐあああ!なんだ、こいつら!」
「おいおい、マルス、1人で突っ走んなって」
 と、現れたのはガリ達だった。
「ああ、お前らも、来たのか。これは俺の問題だ。これ以上、お前達を巻き込むつもりはない」
「バカ言うなって。俺の獲物を取るなって言ってんだよ」
 迫り来る敵をぶっとばしながら、ガリが言った。
「マルスさんが行くなら、私も行きますよ、だって私は、あなたを勝たせる軍師ですから」
「ブルーハワイ!」
 見ると、他の面々も、戦いに参加していた。
 そして、
「参ったね、俺はとんでもねえアホどもについてきちまったらしい」
「バスタースミオ!お前まで!」
 この状況に、スギコの手下は叫ぶ。
「裏切り者が!だが、この部屋の近くには我らの兵が待機している!おい!お前ら、であえっ!であえっ!」
 だが、誰も出てこなかった。
「なぜだっ!」
 すると、隣の部屋に繋がる壁がぶち抜かれ、アネンゴが現れた。
「ぎゃああああ!」
「もう状況は変わってんだよ。お前らがわらわ達を潰してえんじゃねえ、わらわ達がお前らを潰してえんだ!」
 この状況に、スギコの目の色が変わる。それを察したカリスマは突如幾つもの扉を空間に出現させた。
「ゲート……」
 その扉の中から、スギコデパートの幹部達が現れた。
「もうお前ら終わりだぞ…」
 出てきて、すぐにアルシルはブルーハワイを吹っ飛ばした。
「ぐくっ!」
「ブルーハワイ!!」
 入り口の向こう側まで吹っ飛び倒れたブルーハワイに対し、アルシルは、堂々としていた。
「なんだ、たいしたことないシル。こないだはよくもハッタリかましてくれたシル。アルシルはTO空手40段シル」

 そして、ガリの頭上から強烈な蹴りが降り注ぐ。
「イヤッハー!!」
「ハヤシか!」
「俺の酔拳が上だと言うことを思い知らせてやるぜェ!!」
「ふっ…どうやら3杯じゃ足りねぇな」

 サエカピの前に立ったのはメグタンだった。
「煙のメグタン…相手にとって不足なしね」
「ふん、サエカピとか言ったか、知らんな、貴様など。私は遥か昔より戦いの中で生きてきた。貴様の生ぬるい魔術など、稚技に等しい」
「私の魔術が生ぬるいかどうか試してみなよ。これでも私は半生をMの里で育てられたんだ」

「ストライクスミオォォォーーーー!!!」
「デュエルか!」
「てめぇだけはァ!この手でェ!!」
 猛然と斬りかかるデュエルを、ストライクはいなした。
「俺もいるぞ!」
 横から、イージススミオが参戦。それを、バスタースミオが牽制した。
「バスター!貴様も寝返るのか!」
「バカ野郎!俺達は、もともと1つのスミオだ!」

「かつて、父ライチは、初代アネンゴに敗れ、命を落としたという」
「….」
「その雪辱戦といこうか」
「上等だ、やってやる」
 ライチとアネンゴが向き合った、次の瞬間、ライチはアネンゴの視界から消えた。
「!?」
「人間の髪は痛みやすいからな、トリートメントはしているか?」
 背後に現れ、アネンゴの髪を優しく撫でるライチ。
 すぐさま裏拳でライチを殴ろうとするアネンゴ。
「懲りねぇな!」
 しかし、その拳は空を切った。
「弱い。なんて遅い拳だ。お前が初代アネンゴなら、今の一撃で俺の顔はグシャグシャに潰されていただろう」
「……」
「ふふ、育っているようだな」
「何のことだ?」
「ああ、お前が知る必要はない」

「カリスマ、どけ」
「いいや、どかないね」
「ならば、仕方ない」
「仕方ねぇのはこっちだ、マルスゥ!!」
 大声をあげたカリスマに、マルスが反応した瞬間、背後から強烈な一撃が見舞われた。
「もう1人いたか、ナツハナァ!!」
「それより、いいのか、スギコデパートの戦力はこんなもんじゃねぇ」
「何?」
「ツムギは今ごろ、既に捕えられてるだろうよ」
「!?」

「サァ、ツムギサン、大人シク来テクダサイ」
 ツムギの前に現れたのは、イーだった。
 周囲には、ノン、シ、スギエの3人が倒れていた。
 ツムギに手を伸ばすイー。
「来ないで…」
 その時、突然、イーが殴られた。
「ブホッ!」
「はぁ…はぁ…」
 イーは、殴った相手の方を見た。その女は、さっきまで倒れていたはずの女だった。
「お前の相手は、俺だろうが!」
「スギエサン……懲リナイデスネ」 

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