プロDD・M ~その523

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

「ぐあぁ」
「なんだ、こいつは!」
「兵を集めろ!」
「ダメだ…突破される…!!」
 次々と人間が飛ばされていく。
 その中心に1人の男が立っていた。
「ここも外れか」
 周りを囲んでいるはずの男達は一太刀も浴びせることが出来ずにいた。
「ちくしょう!奴に触れることすら出来ねぇ!」
「なんだってんだよ!俺たちがお前に何をした!」
 また1人1人、囲みが減っていく。
 すると、そこにオークのような男が現れた。
「ブタを飼っているのか?」
 周囲の男達がオーク顔の男の名前を呼ぶ。
「オルマさん!!」
「オルマさんが来たら安心だ!!」
 オルマはゆっくり人の間を歩いて、男に近づいた。
「ブヒ、ブヒヒ…」
「やはりブタか…ブタはブタ小屋へ行け」
「お前が侵入者かね?ブタ呼ばわりするとはいい度胸じゃないか!」
「ブタがボスとは珍しいが、わかった。他の連中には用はない」
 突如、男は、剣を天に掲げ、唱えた。
キミと流星群
 無数の斬撃が降り注ぎ、周囲の雑魚の命を奪っていく。
 それを見たオルマは笑った。
「ぐふふふ、久しぶりにいきのいい獲物や。殺りががある」
 手を広げ、その肉体を活かして突進してくるオルマに対し、男は掲げていた剣を正面に向けた。
ペイルブルードット0.12ピクセルの刺突
「ひ、ひでぶっ!!」
 その突きはオルマの命を奪ったかに見えた。
「あれ…ワシ、死んでない。ワシ、生きてる!!」
「良かったな」
「良かった!お前、いい奴!ワシを許して!」
 その時、オルマは身体の違和感に気づいた。
「う、動かせない!」
「お前の身体の自由は奪った。さぁ、吐いてもらうぞ、これから始まるのは拷問だ」
「ひ!なぜこんなことをするんや!?」
「なぜ…だと?それはお前らのボスに聞いてみろ」
「まさか……お前……」
「鈍いんだな。今さら気づいたか。化様をどこへ連れていった?」
「ひ、ひぃぃぃぃい!お、お前…..ツバサ!!」


 状況軍団のクラブ。
「すげぇぜ、警備を倒しちまった!」
 客は盛り上がっていた。
 ソウチョウが倒したのは状況軍団の幹部。だが、とどめを刺すわけにはいかないので、気絶したままになっている。
「ユーガ…こいつの名前か」
 ソウチョウは、ユーガのバケハを手にした。
「これは…..!!」
 その時、ソウチョウは足に手をかけられた。
「何!?」
「金ェ……..」
「さっきの屋台の店主か……あんたのおかげで助かったよ。悪かった、金だな。これでうまいもんでも食ってくれ」
「こんな大金….」
「いいって。今からもっとでっかい金を手に入れるからよ」

 ポッターは、騒ぎに乗じて奥へと進もうとしたが開かない扉に出くわしていた。
「これ以上は進めねぇ…..!」
 そこにソウチョウが追い付いた。
「ポッター、そのバケハを使え。その模様の中に認証できるものがある」
「あっ、開いた!」
 扉が開いて2人の目の前に飛び込んできた光景は絶望と言うに相応しかった。
「なんだい、あんたら、うちのもんじゃないねぇ?」
「け、消し炭の魔女!!?」


 そして現在。
「あいつら、一体……」
 クラブの入口付近で見張っていたマルス達の視界に現れたソウチョウとポッター。
 その様子は明らかにおかしかった。
「何かに追われている?」
 その理由はすぐにわかった。
「消し炭の魔女!?」
 炎がソウチョウとポッターに迫る。
 2人は何か言い合いをしながら、逃げていく。
「ブルーハワイ、見つけたぞ。協力者を」
「そうですね、ですが…..無事逃げられたの話です」
 ブルーハワイもこの状況に苦笑していた。


「全部お前の仕業か、ツバサ」
「オルマ、まだ生き残りがいたとはな」
「オルマは不滅なんや」
「そうか。では、あえて言おう、久しぶりだな、オルマ。食事は済んだか?」
「は?食事だァ?ワシをなめとるん…うぐぐ」
 ツバサはオルマの口にトイレットペーパーを突っ込んだ。
「げほげほ」
「さてそろそろ喋りたくなったか?」
「食わなくても腹は満たされている。灰かぶりとはそういう場所や。金と女があるのにひもじいはずがないやろ」
「化様はどこにいる?今すぐお前を引き裂いて殺してえが我慢してやる。化様をどこに連れていったか言え。出ないとお前をこれで腹一杯にしてやる」
 そう言ってツバサはホースを手にオルマを脅した。
「灰かぶりに忠誠を誓って数年。ニシさんに恩を受けてから数年。そんなワシに化様の行方を聞くのか?聞く相手を間違えたな、ツバサ」
「なら、しょうがねぇな」
 ツバサがオルマの口にホースを突っ込んだ。
 その態度に焦るオルマ。
「腹一杯になったら話せんやろ!実はワシは下っぱだからよく知らん!他の情報を教えるからホースを抜いてくれんか?」
「最初からそうしろ」
「ふぅ…ニシは生きとる」
「何!?」
「奴はコジオの傀儡に過ぎん男やったが、実は裏で力を蓄え、灰かぶりの乗っ取りを狙っとる。MGC…..奴に付き従う4人の幹部。奴らは灰かぶりだが、ちょっと毛色が違う。ただニシを守るための直属の部下や。奴らはニシの為なら灰かぶり本体をも敵に回す」
「ふん」
「お前はわかっとらんのや…ニシ直属の幹部…特に恐るべきはナガツキ…..」
「それほど強いのか?」
「そうや、ワシがあえて奴を評価するなら、ナガツキの実力は消し炭の魔女に匹敵する」
「….だが挑む価値はある」
「正気か?お前がナガツキを?笑わせるなや!」
「他の情報はないのか?」
「ワシが知っとる事は全て話したわ。せいぜい頑張るんやな、ツバサ」
「では、死ね」
「ちょっと待てや!これだけ素直に話したんや!ワシの命だけは助けてくれるんやないんか!」
「オルマを行かしておいても百害あって一利なし。せめて潔く死ね」
「や、やめ…..おべろっぱー!」
 オルマの首が飛び、肉体が消滅した。
「そもそも化様に手を出した時点で、お前らの命は詰んでるんだよ」

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