プロDD・M ~その496
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
突っ込んでくるカリスマの高速回転する鎌がマルスを切り刻む。
だが、その勢いにも耐えるマルスは、渾身の一撃をカリスマに打ち込んだ。
「だァッ…..ああああああああああああ!!」
振り下ろされたその拳は、至近距離のカリスマの顔面を見事に捉えた。
そのまま押し潰すように、地面へと拳が落とされる。
さらに、地面との間にカリスマをおいても、マルスの拳は下へ下へと打ち抜かれた。
凄まじい衝撃音。その光景を見ていたブルーハワイが呟く。
「今の衝撃で…スギコデパートが…!」
「みんなァ!離れろォ!」
アネンゴの叫び声と共に、スギコデパートは崩壊した。
いったいどちらが勝ったのか、見守る面々。そして、1つの影が崩壊した建物の瓦礫を押し退け、立ち上がった。
「マルス!」
「マルスさん!」
「マルス様!!」
口々に、仲間達がその名を呼ぶ中、男は、叫んだ。
「ツムギ……!!」
「…」
見上げるツムギの目には涙が点っていた。
「お前は俺の女だ!!!!」
「うん…」
そして、一同は大いに沸いた。
「うおおおおおお!スギコデパートが落ちたァ!!!!」
その頃、ノンとシは連携でなんとかイーを抑えていた。
「きっとマルス達がスギコを倒して、戻ってくるはず!」
「スギエの死を無駄にしないためにも~!」
2人の魔術は実際かなりの腕前だった。通常の相手なら、簡単に倒すことが出来ただろう。
だが、相手はイーであった。
「フム、上質な魔術の使い手。ここで殺すのは実に惜しい……」
「悔しいけど、今のノン達じゃ、こいつには勝てない」
後どれぐらいでマルス達が戻ってくるのか、本当に戻ってくるのか?その時間は2人にとって長く、非常に長く感じられた。
一方、カリスマを倒し、勝利に沸く一同は、ノン達のもとへと駆けつけられる状態ではなかった。
「満身創痍…ですね」
ブルーハワイの言葉に、マルスが頷いた。
その身体を、ツムギが支えていた。
「マルス様!実は、ノン達が…..」
ツムギは急いで事情を説明した。しかし、動ける者がいなかった。
唯一、ガリだけが立ち上がった。
「これは六文屋の問題だ。あいつらは、俺が連れてくる。お前達はここで勝利の余韻を味わっといてくれ」
「ガリ…..」
「ふっ、そう心配するな、すぐ戻るさ」
そう言うとガリは、ツムギに教わった場所へと向かった。
しかし、ガリが去った後、浸っている時間は…なかった。
どこからか拍手が聞こえる。
「ふふふ…まさか本当にプロDD組がスギコデパートを倒しちゃうとは…ね」
「お前…..なんで……」
「ああ…僕がピンピンしてる事について何か言いたいことがありそうですね、マルスおじさん」
「ライチッ!!!確かにお前は倒されたはず!!?」
立っていたのは、ライチだった。先程までの戦いの傷など微塵もなかった。
「よほど切羽詰まったってたんですね、こんな単純な術に引っ掛かるなんて」
「まさか…そうか…!」
マルスは思わず地面を叩いた。
「一体いつからフェイクを使っていないと錯覚していた?」
ライチの隣でメグタンも笑っている。
「今日は皆さんにお知らせがあります」
「お知らせ…だと」
「もうあなた達戦えないでしょ?ここでプロDD組はゲームオーバー…..さようなら」
「俺の仲間はやらせねぇ!」
マルスは、仲間達を見渡した。
皆、戦う姿勢を見せていた。だが、現実は残酷だった。今の状態では、おそらく万全であろう2人に敵うはずもなかった。
すると、突然、ライチが跳んだ。
直後、そこに何かが着弾した。
「おいおい…人がせっかく喜んでるところに水を差すんじゃねぇよ…」
そして、飛び込んできた男とは別に、もう1人、ゆっくりと姿を現した。
「カシワギ、1人で突っ走るんじゃない。よくやった、マルス」
「おい、赤いの。あんたがとろいんだよ」
現れたのは遊戯機構の会長ケイであった。
さらに、周囲に遊戯機構のメンバー達が展開されていることが感じられた。
「ちっ…対策してたってわけか…」
ライチも敵の勢力の多さに警戒する素振りを見せた。
「警戒するだけじゃ、俺の拳は防げねぇぜ!」
「ッ…..!!」
「ドラドラ!俺の拳はDIAMONDじゃ!!」
「こいつ….!!」
カシワギの連撃がライチのボディを攻めた。そして、怯んだところにアネンゴの拳が飛ぶ。
「わらわもまだ死んじゃあいないよ!ぬううううん!!」
「くぅ!」
ライチはかろうじて身を翻してガードしたが、その威力は凄まじかった。
(ガードの上からこの威力…化け物め…..)
「形勢逆転…だな」
マルスが言うと、ライチはにやりと笑った。
「本当にそう思いますか?おじさん」
「本当に惜しい…惜しい…が、すまない。私の野望の為にここで死んでくれ、お嬢さん方」
イーの掌にヲタクエネルギーが結集する。
(もう…ダメ…..)
そして、放たれた攻撃が、ノンとシを覆う。
「オラァ!!!」
「!!?」
しかし、その光は、2人に到達する前に消えた。
「……ガリ!!」
「間に合ったか?2人とも……スギエは?」
ガリの問いに、ノンは横に首を振った。
「……そうか。スギエ、すまない。助けてやれなかった」
ガリはスギエの亡骸に駆け寄ると、六文銭を置き目を瞑った、そこにイーの攻撃が飛ぶ。
「はっ!!」
だが、それもまたガリの拳が当たると消し飛んだ。
「イー、お前を倒す理由が出来ちまったようだな…」
「塔のヲタク…天下五拳松竹梅天のガリ…相手にとって不足なし…..」
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