プロDD・M ~その473

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

「安心しろポッター。俺にはまだ手が残されている」
 乱れ舞う酒瓶の間を縫って、ソウチョウが進む。
 しかし、接近したものの、女の手に持った酒瓶でぶん殴られ、再び後退してしまった。
「なかなかしぶとい男ね」
 頭から血を流すソウチョウを見て女が呟いた。
「悪いが、頑丈でね」
「鬱陶しい、そろそろ死なせてあげるわ」
「おい、ユニャ。お前の手はもう見切ってんだよ」
「なぜあたいの名前を!?」
「やはりそうか。大昔に見たことがある。お前の無限酒瓶流」
「無限酒瓶流は一子相伝。先代、いや先々代の関係者か?」
「ちげぇ……」
「!?」
「初代だよ」
「ぐはっ!」(見えなかった…..!)
 これまでとは明らかに違うスピードでソウチョウはユニャは吹っ飛ばした。
 ユニャはすぐに構え直し、ソウチョウを見た。
(こいつ……一体何者だ?)
「俺はとある女を追っている。その為に、クモノサーカスの首が必要だ。こんなくそったれな試練なんぞどうでもいい。だが、敢えて受けよう、つまり、そうだ。これは恋の試練」
「何を言って…..大体その女ってのはどこにいるのよ!」
「赤い糸…こいつが俺をその女へと導いてくれるだろう」
「イカれてんのかよ!酒瓶無限流の真髄見せてあげるわ!」
 その時、ポッターは見た。
(酒瓶の数が増えている…..!!)
「キャハハ!避けられるかしら!あたいのもとにたどり着けるのかしら!」
 無数に飛び交う酒瓶がソウチョウを傷つけていく。
 この合間を縫って、ユニャまで到達することは不可能に思われた。
マーブルワールド
 ソウチョウは術を唱えると、まっすぐユニャへと向かっていった。
「バカが!勝負を諦めたか!!……なっ!!」
 ユニャが驚くのも無理はなかった。ソウチョウに酒瓶が近づく度に、地面から現れた大理石の壁がそれを止めているのだ。
「確かに避けるのは難しそうだ。なら、止めちゃえばいいんだよね」
(バカな…あたいが無限酒瓶流を習得するまでなんねんかかったと….!)
「無駄な努力、ご苦労様」
「ちくしょーーーーーー!!!」


「ぐわあああああああ」
 アイ・ワナ・ビーを出すことが出来ないアッキーに、ブルジョンの容赦ない攻撃が続いた。
「アッキー様!」
 見かねたコイケが、間に入り、アッキーを守る。
「無能なリーダーを持つと苦労が絶えませんね、コイケ」
「やれやれ、その言葉、そっくりそのまま返しますよ、ブルジョン」
「は?」
「あ?」
「「オラ!」」
 その様子を隠れて観察する男の姿があった。そう、ライコであった。
(今のアッキーには群青力が足りない。群青王国も新体制で生まれ変わろうとしていると言うのに…)
 アッキーは、後ろに下がった後も自身に起こった変化に苦悩していた。
(アイ・ワナ・ビーも、ロールプレイもCOLORも青い光も出せない……力が…….一体どうして…….)
 そんなアッキーの姿を見て、ライコは冷静に考察を進めていた。
(ふむ…もはやアッキーに残る群青魂は尽きかけているな…これではよほど…プロDDマルスの方が群青魂を持っている……)

 一方、そのマルスは、スギコランドに潜入し、着々と拠点長を暗殺していた。
「敵襲!?」
 敵が何か行動を起こすよりも早く、マルスの弾丸が急所を撃ち抜く。
未来シルエット…お前の行動は全て見えている」
「く……そ……」
「3つ目の拠点無力化。そっちはどうだ?…..そうか」
「いや、こちらもたいした情報は入っていません。一旦、A地点で合流しましょう」
 通信先のブルーハワイの声に、マルスは少し落胆した。
 ツムギの正確な居場所はわからないままだった。
 気を取り直して、マルスはまた次の拠点へ向かうべく、ナガンM1895に弾丸を詰めていた。
 その時だった。背後からの音がなった。
 それは砲撃だった。激しい爆発で周囲が吹き飛んだ。
「グゥレイトォ!侵入者は跡形もなく吹っ飛んだぜ!」
 バスタースミオがガッツポーズをした直後、その背後が光った。
「はっ!?」
 咄嗟に身を翻したスミオ。その目には銃を向けるマルスが映っていた。
「見つかっちまったか」
「ひゅ~、今のを避けるのかよ、マジかよ」
「伊達にプロDDは名乗っちゃいないさ」
 発射された弾丸をスミオはぎりぎりで躱すと、すぐに銃をマルスに向けた。
 数秒、そのまま向き合う。
 そして、互いにバッと離れると、再び銃口を向けあった。
「やるな…」
「そちらこそ」
「行くぞ、ストロベリー・ガールズ!」
「撃ち合いなら負けねぇぜ!!」

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