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試合の位置づけを審判はどう考えているか?


 W杯が終わり大きなお祭りが過ぎてしまって次は
何を楽しみにしようかと考えているけど、自分の
担当試合は年末まで詰まっているタカです。
 毎年12月30日まで審判というスケジュールなので
シーズンオフの線引きが難しいですよね。

W杯を振り返って

 今回のW杯で審判員の立場から見てみると、一番
大きなトピックは「女性審判員」が男子の世界大会を
担当するということでした。

 私の予想ではほぼ第4審の担当で予選リーグ第3戦の
いわゆる消化試合で割当することで、女性を招聘した
ことに意味づけるのかと思いきや、日本の第3戦の
裏カードであった「ドイツ対コスタリカ」というリーグ
にとってかなり難しい試合にフランスのフラパールさん
を含めトリオで割り当てたことで、今後のFIFAの本気度
が伺えた大会でした。

 またその試合をしっかりとこなされた審判トリオは
ガラスの天井を打ち破った功労者とも言えます。
 この試合で批判が出ていれば、女性の進出は数年
遅れることになっていたと思います。

 こういった大きな大会では皆さんは対戦カードが
すごく気になると思いますが、審判員にとっては
どの試合が当たるか、対戦カードはどうかというのが
割当する側からのメッセージが込められている場合が
あります。

割当の位置づけを考察する

 私が全国大会をさせていただいていた時はどの試合が
当たるかで自分がこの大会の審判チームの中でどういう
位置づけにいるのかをよく考えていました。

 (※各種大会では対戦チームの地域性などを考慮する
ので、当てたい審判員を当てられない場合もあります)

 例えばどんな大会でもそうですが、開幕戦というのは
非常に重要な割当で、その大会の基準を示す意味でも
担当する審判員は大会前日(最近は事前研修)での
大会の目標や目指すものを示す必要があります。

 Jリーグで言えばゼロックススーパーカップは
その年の基準を示すことが求められ、過去そのことから
判定基準が大幅に変わった年に選手からも世間からも
批判を受けた試合がありました。

 年末が近づくこの時期はリーグの入替戦が
各カテゴリーで行われることが増えてきます。
 その割当に当たる審判員というのは次年度の
カテゴリーアップや強化の目的がある割当が
多くなります。

 チームとしても1年間戦ってきたリーグの結果として、
上位リーグのチームは降格したくない、下位リーグの
チームは何としても昇格したいという思惑が
ぶつかります。

 こういう試合が当たった時、審判員は試合前から
どのように考えているでしょうか?

試合に臨む心づもりは

 リーグ戦と違ってトーナメントなどの一発勝負の試合
というのはチームの戦術が変わることもあります。
 力の差がある試合もあれば、勢いの違いというものも
あり、リーグで見たチームと全然違う戦い方をする
チームが結構あります。
 そういったチームの思惑というのを感じ取ることが
レフェリーには求められます。

 先日のW杯決勝をネットで見ていると、本田圭佑さん
がされていた解説はそういった状況を分析した解説で、
試合のスリリングさにプラスして勉強になるなぁと
思いながら見てました。
(見れる方はぜひABEMAで再視聴してみてください)

 当初の予想と違う試合の入りをしてきた両チーム、
休養が1日違えば長いトーナメントでは動きに大きな差が
出ます。
 過去担当した総理大臣のような夏場のトーナメント
だと前半はどちらも積極的に動かない試合が多く、
後半のどのタイミングでスイッチが入るかに神経を
集中させ、そのタイミングに乗り損ねないように
することが試合をコントロールするためには重要でした。

 選手交代には監督のどのようなメッセージが
あるのか、ピッチ上の選手の意思統一が図れなければ、
チームも試合の流れをつかむことは難しいでしょう。

 そういった流れは目に見えるものではないですが、
感じ取れるようになると試合をコントロールする
手助けになります。
 選手のワンプレーが流れを変えることは
よくあります。
 個人的にはそういう流れをピッチで感じることが
出来るのが審判の楽しみでもあります。

 12月29日からは年末の風物詩高校サッカーが
開幕します。
試合前にどのようなことを考えているのかに思いを
はせてみるのも面白いかもしれませんね。



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