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29歳、妊婦になる

もうすぐ誕生日なので、ついでに昨年の振り返りでもしておくかーと思うのだけど、2021年のもろもろをすっとばしても、書きたいことがある。

それは、妊娠のこと。
そう、ついに赤ちゃんを授かったのだ。

妊娠判明

あれぇ予定日になっても生理来ないなぁ、なんか食べ物見ると微妙に気持ち悪いかも?でも気のせいかな?と思いはじめたのが、昨年の12月中旬。生理の時期になるとガクンと下がるはずの体温が高いままで、もしかしてこれは本当に…?と思い、妊娠検査薬を買いに薬局へ。

検査薬におしっこをひっかけて約1分。あんなにドキドキした1分間ってあっただろうか。一人でお尻出してドキドキして、なかなかアホみたいな状況ではあるけど、たしかに線が出た!!と見えたとたん、じわじわとした嬉しさと、飛び上がりたいような嬉しさが大波小波のように押し寄せてきた。たぶんそうとう挙動不審だったと思う。

帰ってきた夫に、水戸黄門の印籠のごとくドヤッと妊娠検査薬を見せると、一瞬固まった後、「これから、いっしょにがんばろう」と言ってくれた。

そのときはまだつわりもほとんどなく、陽性判定が出たと言っても半信半疑で、ひとまず数日後には近くの産婦人科へ。まだ子宮外妊娠の可能性もあるし、診断を受けるまでは不安だった。そこではじめて内診を受けて、中をぐるぐる探られた結果、「これですね〜」と見せられた赤ちゃんは、黒豆みたいな影でしかなく、でもなんだか、見たとたんに涙がぶわっとあふれてきてしまった。

わたしの中に、たしかに、命がある。
本当に、ここにいるんだ……。

無事に妊娠していたという安心もあいまって、何かが込み上げてきちゃったのだ、たぶん。

その日は病院を出てすぐに両親に電話して、義両親にも報告した。みんなに祝福されて、ありがたいなぁと思う反面、これはもう何がなんでも無事に産まなくちゃならないぞ…という責任が、急にズッシリとくるような感じがしていた。

つわりはつづくよ

それからの日々は、日に日にしんどくなるつわりとの闘い(現在進行形)。この「つわり」とやら、噂には聞いていたものの、聞きしに勝る強敵だった。

2ヶ月くらいのころは、お腹が空くと気持ち悪い、いわゆる「食べづわり」の状態。よしよし、お腹空かなきゃ平気なんだな、と思ったら、そんな単純なもんでもなかった。果物やらお菓子やらせんべいやら、とにかく手当たり次第に食べていたけど、味覚もなんだかいつもと違って美味しく感じなかったり、「食べたいから食べる」というより「吐き気を抑えるために食べる」というのが、だんだんしんどくなってくる。夕ごはんも、いつも通りに白米とガッツリおかずを一品、と思ったら、白米が食べられない、料理する気になれない…。

自分のよだれさえも変な味がして、唾をお皿に吐き出しながら仕事をした日もあった。

ムカムカ程度だった吐き気が、「ウッ」という吐き気になり、「オエッ」になり、「オエェ」になり、だんだんしっかりと正体を表しはじめた。あんまり吐くことがないのが不思議なくらいだったが、ある日「これはもう吐いた方が楽なのでは…?」と思って吐くのを解禁してみたら、見事にさっき食べたバナナ味のゲロが出た(汚くてごめんなさい)。

空腹時だけでなく、もう何をしていても気持ち悪い。エアコンの風も、散らかった家の中も、冷蔵庫の匂いも、スーパーの食品棚も、何もかもが気持ち悪い。起き上がってはオエェ、少し歩いてはオエェ、何かを見つめてはオエェ、とこんな調子が、眠ってるとき以外24時間、昨日も今日も明日も続くんである。

いつか終わるとわかっていても、つらい。いやほんと、もう勘弁して!!!と涙目になる日々です。

「人間一人つくってるんだもん!」

そんな母の苦しみを、赤ちゃんはちゃーんと力に変えて(?)いるようで、大学病院での検診では頭と手足の形がわかるくらいに成長していた。黒豆から人間へ、すごい速さで進化している。

家事も思うようにできない日々だけど、あるとき先輩ママの友人からもらった言葉が励みになっている。

「人間一人つくってるんだもん、何もしようとしなくていいと思うよ!」

そうだよねー、このお腹の中で、人間が一人、すごいスピードで細胞分裂しているのだ。そりゃいろんなことがおかしくもなるわ。

妊娠がわかってから急に、一人分だったはずの人生が二人分になってしまったような、自分がただの命の入れ物になったような、不思議な感覚がある。自分だけのためなら多少無理もしてしまうけど、いまは自分のためじゃなく、この子のために無理は禁物。この子にとって世界は危険だらけで、わたしたちはとても脆い。わたしはわたしを、この子を、ちゃんと守って暮らさなければ。そんな思いで過ごしている。

夫はいつもより家事を一生懸命やってくれるし、会社への送り迎えだってしてくれる(本当に助かった)けど、わたしからしたら思うところはたくさんあり、難しいなと思う。



書きたいことが溜まっていて、一気に書いてしまった。

命を授かった以上、もう引き返せない。

これからどんどんお腹が大きくなって産むまで、いや、産んでからも、この子の人生は続いて、わたしは授かる前のわたしには二度と戻れない。

そう思うと少し怖い。

これからもどんどん体が変わっていって、そのときどきの大変さがあるのだろうけど、とにかくつわり、早く終わってくれー!!

新米妊婦の日々は、まだまだつづく…。


毒にも薬にもならない文章ですが、漢方薬くらいにはなればと思っています。少しでも心に響いたら。