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俳句 2018年

昨年詠んだ俳句より。
写真を撮るように、句を読んでいます。

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秋の空はじいて眩し白帽の子ら

ぬかるみを知らせる声や秋高し

忘れても忘れてもなお金木犀

ひだまりを探して待てり冬列車

風吹けば土くれの匂い春立ちぬ

ため息を空に吐き出す木の芽時

はじまりは桜吹雪に負けながら

チューリップ植えてる人の背が丸い

降りふりて風をかたちづける桜

君を待つ春の日は指にささくれ

花水木ささやきあつて通り雨

金曜の人みな輪郭おぼろなり

のんのんとあくびをのせて春の終電

歩き出すてんとう虫や窓に影

五月まだだれもてをふれていない青

鯉のぼり違う構図で撮る人と

潮の香の坂みち梅雨をかきわけて

紫陽花は陽を抱きて雨に咲く

雲を割る空のたしかさ夏来たる

夏影の電線揺らしつつ渡る

バス停に宿とる猫の胸に傷

玉の汗つかのま項(うなじ)の冷えており

淋しさを向日葵にして昇華せり

夏憎し己も憎し日暮れどき

労働や日に日に月の丸くなる

透明に街は揺らめき台風一過

生きるのに飽きながら聞く蝉の声

桃を捥ぐやはき臀部のやうなるを

亡き人の帯で締めたる藍浴衣

何億光年の恨みか炎天や

夕焼けを吸ふほおずきや透きとほる

原爆忌風の音だけ聞いてゐる

夏過ぎて病はわれの中にあり

指沿わす君の背骨は秋の峰

顔がしょっぱい。ね。と舐めてみる夏の海

幸福の分かちがたさや日傘(ひからがさ)

九月もういちどあたらしくなる空

稲光あなたはそれを美と呼ぶけれど

皮膚一枚へだてて静か台風裡

空軽く地重くなる台風一過

乳一滴コップの中に銀河あり

墓地あゆむ時空をあまた遠くして

綿(わた)ちぎる神の手あそび秋の空

あまりにもすとんと晴れた秋の空

鈴なりに影を並べる秋の鳥

贖罪のごと更かしける夜長かな

秋雨や窓には羽根がはりついていた

黄金の粉すりつぶし秋を踏む

木枯らしや日に日に鳩の丸くなる

万象の示し合わせて冬閑か

ポインセチア思い出せない祖母の唇

南天が実を宿すころ目の翳り

掃き寄せたそばから落葉匂い立つ

見はるかすカーテンの波おおみそか

光とはあたたかきもの初日の出

初富士や稜線うかぶタブラ・ラサ

竜天に昇るお見舞い写真かな

素花

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※時系列順 
※だいたい季節順

毒にも薬にもならない文章ですが、漢方薬くらいにはなればと思っています。少しでも心に響いたら。