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「日本は給与が安い」は本当か?

「日本の給与は安い」
近年めちゃ言われているあれは、本当なのだろうか。

確かに、絶対的な額で言うと日本の給与は欧米に比べて大分安いと思う。
現在、ミュンヘンの最低時給は12.4€。
日本円にすると約2千円くらいか。
一方、東京の時給はググってみると1163円らしい。

東京がずいぶん高くなっていてびっくりだが、それでもやはりドイツの方がずいぶんたかい。

自分はIT業界にいるのだが、この業界はやはり他業界より給与は高い。

基本的に新卒でも年収50,000€くらいからスタートする事になる。
日本円だと800万円くらいか。

そして10年選手になるとやはり100,000€前後になる。
日本円だと1600万円くらいかな。

もちろんSAPとかGooglなんかの上位層はこれよりもっともっと高いが、IT業界の真ん中あたりでは大体これくらいだろうか。

まあ、どちらにせよ30歳手前で1000万円くらいの給与は、ドイツではそれなりに普通な感じではある。(大卒の中堅~大手企業では)

では、ドイツの1000万円プレーヤーはメルセデスベンツに乗って、旅行に行きまくり、広いマンションにすんで楽しい生活を満喫しているのだろうか。

残念ながら、ドイツで1000万円ではまったくそれは無理だ。

まず、ドイツは税金がアホみたいに高い。

ドイツも日本同様に累進課税だが、およそ1000万円を超えたあたりから42%くらいは税金で消えてゆく。

手元に残るのは600万円以下となる。

600万円だったら、ひと月50万円。

そして、不動産。賃貸。

ドイツの不動産はアホみたいに高い。

現在、ミュンヘンで一人暮らし用の賃貸は最低でも20万円払うことになる。
残った金額は30万円。

電気代。およそ1~2万くらいか。
暖房費。これが高い。これは年間を通して徴収され、2~4万円くらいかかる。ネットも1万円弱は払う。日本の1.5倍くらいの感じか。

そして食費。外食。
これらが本当に高い。
ざっくり言うと、日本の2倍~3倍はかかる感じだと思う。

保険、携帯、ネット。

気が付いたら30万円はほとんど消え、貯蓄に回すお金もない。

それが現実。

比較的高学歴、高収入の30歳前後の独身の男でも、頑張って節約しないと貯蓄も出来ない。それがドイツの現実。

一方、日本はどうだろう。

比較的高学歴で一部上場企業に就職すれば、30歳手前で800万円くらいは稼げている感触はある。

軽くググると日本で800万稼ぐと、手取りは630万円くらいになるらしい。税率22%ということか。

月々50万円強使えるわけだ。

さて、東京で毎月50万円の手取りがあるとどうだろう。

まず賃貸。東京の物価が高くなってきたとは言え、12万円払えば、まあ普通に住めますよね。

そして、やはり固定費・食費がドイツより圧倒的に安い。

独身で手取り50万円あれば気持ちに余裕を持って暮らせるし、NISAも5万円くらいは出来るかもだし、良い感じの生活が出来そうだ。

というわけで、結論としては、金銭面を考えるとむしろ欧の方が日本よりハードモードになる、という事だ。

若い人で欧米にあこがれている人は、しっかり認識した方が良いだろう。

もし日本で比較的高学歴で、まともな会社に勤めているのなら、その人は世界基準でも大分勝ち組だと認識した方が良いと思う。

もちろん、話はそこまで単純では無くて、ドイツの税金の高さは社会保障の厚さに直結しているし、なによりドイツの国の債務は日本より圧倒的に低い。

国としての長期的な安定性や子供の育てる上での文化性などを総合的に考慮した上で、自分はドイツにくる決断をした。

でも、もし自分がいま25歳で、比較的良い会社で日本で働けているのなら、まずは当面そこで自分の実力をつけることに集中すると思う。現時点ではそれは世界的に見ても非常に恵まれたポジションだから。

世界の経済情勢も社会情勢も刻々と変化する。まずは日本でしっかり足場を作ってから海外に出る決断をしても決しておそくはないと思う。





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