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『老い友』

両親と一緒にリンガーハットに来た。もともと他の店に行く予定だったのだが色々と都合が合わず流れ着いた。ちゃんぽんも好きなので別に不満はない。僕は野菜たっぷりちゃんぽんの大盛りを注文。お昼はあんまりお腹いっぱいにしないほうがいいと思っているのだが、外食するときはついつい食べ過ぎてしまう。最近また太った。ここ数年の体重はジェットコースターのように上下を繰り返している。最近運動の習慣をつけようと躍起になっているので、それで体重が安定すればいいのだけれど。両親は期間限定の味噌ちゃんぽんに選んだ。

注文が来る間、父の携帯を設定しなおす。父の携帯が壊れて、急ぎで必要だったので、中古ショップで全く同じiPhoneを購入した。それに、父は機械に疎いので、今までと同じように使えるものがいい。問題なく使えることを確認して、ああだこうだと携帯をいじっていると注文したちゃんぽんが届く。名前のとおり野菜がたっぷりのちゃんぽん。昔は野菜があんまり好きじゃなかった。子供の僕だったら、むしろ野菜少なめちゃんぽんをオーダーしていたに違いない。

どんどん食べ進めて程なくしてお店を出る。そのとき、窓際の席でまぁまぁなボリュームで喋るおばあちゃん二人組に気づいた。この地域は田舎でお店も少ないので、落ち着いて談笑できる数少ない場なんだろう。おばあちゃんになっても、こうやって笑い合いながら話ができるのいいな。そんなことを思いながら外に出た。

時間の経過は早い。さっきまでお昼だったのにすぐに夕方になる。父の携帯の設定をまだいじっていた。ありとあらゆるパスワードからなにからを忘れていて大変だった。疲れてしまったし、夕方なのでいつもどおり散歩をする。夕方の散歩は僕の習慣のひとつ。日が沈む前に外の空気を吸わないと風通しが悪くなる。

散歩をするとき、なんとなく口寂しくなることが多い。たぶんこれも太った原因のひとつ。今日もそんな気分だったので徒歩5分ほどのスーパーに向かう。飲み物を飲みながらぶらぶらしようと、CCレモンを買ってお店を出る。その際、駐車場の車止めに昼間とは別のおばあちゃん二人組が腰をかけてアイスのスーパーカップをスプーンでちまちま食べながら談笑していた。まるで中学男児みたいな行動だが、それがみていてとても微笑ましい。おばあちゃんというだけで、大抵の行動は許される気がする。二人もいたら無敵だ。

散歩をしながら町の様子を見回す。田舎だから何もない。寂れた建物や自然ばかり。一人で生きるには寂しい町だろう。だけど、きっと友達がいれば寂しくないんだろうな。僕がおじいちゃんになっても気軽にわいわい話せる友達がいたら嬉しい。

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